今回のメルマガは前回に引き続き、当会共同代表の山城博治さんからの投稿です。前回は南西諸島軍事強化、ミサイル要塞化の大波が押し寄せている状況について具体的に示していただきました。本稿ではその暗澹たる状況を跳ね返し、二度と島々を戦場にしない、戦争をさせない動きが今県内外で起きつつあり、その胎動についてふれていただきました。とはいえ、止まることを知らない政府の戦争政策の強行を押しとどめるにはもっと現状を知り、結集し声を上げていくことが必要です。山城さんの11月23日の「県民大集会」への強い呼びかけをぜひお読みいただき、奥武山運動公園に足を運んでほしいと思います。よろしくお願いします。
(今週木曜日です)
「戦争準備の日米合同訓練反対!弾薬庫建設・ミサイル配備ゆるさない市民集会」のお知らせ 来る10月12日(木)に開催される集会の詳細についてチラシとあわせてご覧ください。
こちらをクリックしてください。
⇒ https://nomore-okinawasen.org/13968/
皆さんにお知らせしております『沖縄、再び戦場(いくさば)へ(仮)』スピンオフ作品ですが、まだご覧になっていない方、どうやって勧めていこうか、どんな映像なの?などいろいろと考えてらっしゃる方へ、三上さんが予告編を作成されました。前にアップしていたリンク先がエラーになっていましたので、あらためてご案内します。ぜひご覧いただき、一歩前に進めてください。受付は10月31日までに開催するものとなっています。
こちらをクリックしてご覧ください。⇒
https://youtu.be/u-n3imdtaT8?si=J0pK6QBaid4eDOaf
スピンオフ映像の詳細、開催についてはこちらをクリック
https://okinawakiroku.com/?fbclid=IwAR3OT743EhPMryc-YH8KcN_nhMYpROq2wvuVH-e5KVicq1ZV50Ke7iTLQSQ
沖縄を再び『地獄の戦場(いくさば)』にさせないために
Ⅱ.反撃に転じる沖縄
私たちは米軍辺野古新基地建設反対を訴えて活動してきた。しかしここ数年、米軍ではなく自衛隊が前面に出て、沖縄の軍事要塞化に着手して来た。そして「安保関連三文書」によって、一気呵成に米軍は端役で自衛隊が前面に戦う体制が作られようとしている。そして地元自治体の態度に示されるように反対すべき側にも困難が付きまとっている。
一方、自衛隊基地建設がはげしくなった2010年代以降、「ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会」、「宮古島平和ネットワーク」、「石垣島に軍事基地をつくらせない市民連絡会」、「(石垣)島を戦場にさせない市民の会」、「いのちと暮らしを守るオバーたちの会」、「与那国島の明るい未来を願う・いそばの会」「ミサイル配備から命を守るうるま市民の会」、「自衛隊の弾薬庫等建設に反対する沖縄市民の会」など多くの団体が立ち上げられ活動してきた。また昨年2022年1月には「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」が発足し、「安保関連三文書」の狙いを県民に訴え、自衛隊の公的施設使用やシェルター設置など自治体の対応に反対する抗議・要請行動もおこなってきた。
そして昨年末に「再びの沖縄戦に反対する全県組織立ち上げ準備委員会」を結成し、県庁広場で「島々を戦場にするな!沖縄を平和発信の場に!2・26緊急集会」を開催し1,600人が参加。さらに北谷町で「島々を戦場にするな!沖縄を平和発信の場に!5・21平和集会」を2,100人で成功させ、延々12回の会合を重ねついに7月25日正式に「沖縄を再び戦場にさせない県民の会」を設立した。
「県民の会」の共同代表に沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」代表の具志堅隆松さん、前南城市長の瑞慶覧長敏さんが就任した。女性の共同代表の人選も進める。事務局長は山城博治が務める。具志堅さんは「沖縄を戦場にさせないという一点が目的の会だ」と訴えた。7月25日現在で、60余の団体・個人が呼びかけ団体(人)となった。今後、県や県議会、各政党、オール沖縄会議、連合沖縄などの労働団体、平和団体に、保守・革新を問わず政党各党に協力を呼び掛けていく。
そして、9月24日(日)に沖縄市民会館大ホールで「県民の会」設立報告集会を開催し800人の参加を集めた。引き続き11月23日(文化の日)に那覇の県立奥武山陸上競技場で「沖縄を再び戦場にさせない県民大集会」の開催を決定した。
こうした中で画期的なことは、若者とシニア世代に橋がかけられる動きである。辺野古新基地建設反対運動の現場に限らず、若者の姿が見えないことに、60年、70年の安保世代は焦燥を感じてきた。「県民の会」準備会の会議の中で、若者から「先輩たちの活動に尊敬と感謝はあるが、若者は憎しみや怒りのエネルギーが満ちている場所にはいかない」と衝撃的な問題提起を受けた。当初は反発も含め議論が続いた。そして2・26集会の名称をめぐる議論で、若い女性からスローガンに「争うよりも愛しなさい」を加えてほしいと提案され、シニア世代は驚愕したが受け入れを決断した。そして集会でも若者が前に出てくれるようになった。彼らは運動を拒んでいるのではない。そこに入る扉が見出せなかっただけだ。彼らは対話を求めている。積極的な意見交換・交流で大きな動きにつなげていきたい。
Ⅲ 玉城県政も平和外交を開始
昨年12月17日に石垣市議会では、陸上自衛隊石垣駐屯地への「反撃能力を持つミサイル配備は容認できない」意見書が、一部保守系議員も含め賛成多数で採択された。市長は「国防は国の専権事項」と言い続けているが、市民には大きな後押しになる。
今年3月31日に沖縄県議会は「沖縄を再び戦場にしないよう日本政府に対し対話と外交による平和構築の積極的な取り組みを求める意見書」を賛成多数で採択した。玉城デニー知事は「反撃能力ある装備の県内移設に反対」を明言し、6月に東京を訪れ、反撃能力のあるミサイルなどを県内に配備しないよう政府に要請した。さらに玉城知事は7月5日から訪中し李首相と面会した。玉城知事は李首相との会談で「日本と中国の友好関係に貢献したい。安定的、建設的な対話によって地域の平和が保たれるようにしたい」と述べた。李首相は知事の要請に対し「地方や民間交流は重要で、地域間交流を支持する」と応えた。軍事緊張が渦巻く中でまさにタイムリーな訪中であり発言であった。沖縄大衆は「中国・琉球の歴史を通じた交流のさらなる発展を希望している」ことが知事の口から述べられ、沖縄が決して中国と戦火を交えることを望んでいないことを知事は伝えた。これに先立ち、習近平国家主席は「(福建省)福州市で働いた際、琉球との交流の根源が深いと知った」と発言、6月4日付の共産党機関紙・人民日報が一面で報じた。
日本政府の対中国強硬論のみが突出する中にあって、戦争ではなく平和の構築を願う県民の思いが中国に届けられた画期的で歴史的な出来事であった。知事は平和のメッセージを送り、私たちは最前線の現場で、その知事を支え連帯して取り組んでいく。
Ⅳ 反撃の展望
いよいよ沖縄の反撃が始まる。私たちは再びの沖縄戦を許さない。78年前の惨禍を繰り返させない、その決意で総決起し反撃する。「無謀な戦争に入るな!」「ミサイルよりは対話を!」を掲げて、全県下にそして全国に訴えて政府の暴走を止めていく。9月24日の「県民の会」設立・キックオフ集会、11月23日の県民大集会はその出発点だ。
8月8日に麻生自民党副総裁が訪台し、「日本、台湾、米国をはじめとした有志の国に、非常に強い抑止力を機能させる覚悟が求められている。戦う覚悟だ」「金をかけて防衛力をもっているだけではだめだ。台湾海峡の安定のために使う明確な意思を相手に伝えて、それが抑止力になる」と暴言を吐いた。自民党の鈴木政調副会長は麻生発言に関し「政府内部を含め、調整をした結果だ」と述べた。中国は激しく反発している。
「県民の会」は8月13日に、麻生発言に抗議する緊急集会を那覇市で開き、発言は和平の芽を摘み取るもので、県民に「戦争を覚悟せよ」と語ったに等しいと批判し、麻生氏や岸田文雄首相に謝罪と発言撤回を求める宣言を採択した。岸田政権の安保政策が中国政府にどのように映っているかが真剣に問われなければならない。自衛隊が沖縄の先島の島々に持ち込んだ短距離の対空ミサイルや対艦ミサイルの配備で終わるならまだしも、「敵基地攻撃能力」を実行するために長距離ミサイルを開発配備する事態に至れば状況は一変し緊張は高まる。最大の課題は、沖縄・南西諸島全域へのミサイル配備、とりわけ政府が開発を進める射程1,000㎞以上の長距離ミサイルの配備を食い止めることである。一触即発の軍事緊張をつくらせない。私たちの大衆運動がそのことをどこまで担えるか。困難な課題ではあるが、今後そのことを最大の目標に運動を取り組んでいく。
沖縄・南西諸島だけの問題ではない。熊本では自衛隊司令部の地下化、大分の弾薬庫設置などすでに報じられている。「重要土地規制法」による指定地区域が東京横田、神奈川座間、横須賀などでも具体化している。
11・23県民大集会は日本を戦場にさせない運動の出発点として全国に呼応を訴えたい。10月だけでも千葉、神奈川、東京、埼玉、静岡、名古屋、大阪、兵庫などでオルグを受け入れていただく。私たちは力の限り闘う。全国の皆さんが我が事として共闘されることを期待します。
山城博治(当会共同代表、「沖縄を再び戦場にさせない県民の会」事務局長)