メルマガ96号

今回も当会発起人の宮城恵美子さんからの寄稿です。宮城さんは規制緩和、民営化、企業統治、建築基準法緩など、あらゆる面でアメリカに従属し、そして究極の従属が集団的自衛権の容認であり、その不利益を被っているのが沖縄であると断じます。前回の寄稿をあわせてお読みいただくと、日本の米国従属の実態がより見えてくると思います。ぜひお読みください。

米国の命令で集団的自衛権導入へ~日本は隷従関係に終止符を!!

私は90年代、若者の雇用研究を行っていた。年々若者の雇用環境が厳しくなっていく事態に直面、その要因と雇用拡大を模索していた。そんな折、小泉純一郎旋風が起こった。彼は「官から民へ」と叫び、その目的は郵政民営化であった。全国あまねく存在する地域公設インフラが廃止されることに忸怩たる思いがあった。
政府に何が不都合なのか後に分かったのは、規制改革・民営化の叫びは米の要求であるということだった。年次改革要望書や後のアミテージレポートなどが対日要求書である。年次改革要望書は1994年に始まり2008年の鳩山政権時代に入った時に終了した。要望書と言うが事実上の命令書だ。
最初に出たのは商法関連で米国型企業統治の導入を目指す圧力だった。アメリカの要求理由はM&Aとかで日本企業を買収・乗っ取りしやすくすることだった。そして労働派遣法による人材派遣の自由化促進で、従来の終身雇用で定年まで安心して働き、退職金も出て、家も買える雇用形態を破壊させた。大学出ても正社員になれずボーナスも無い。それで若者の意欲は奪われたままである。
厳しい建築基準法も変えた。小売店舗を守っていた大店法廃止をして大型店出店が野放しになった。結果的に地元商店街は疲弊してきた。
米の年次改革要望書による対日要求は国内法となる。今もこの流れにあるので農協・漁協などの金融や共済も存続が危ない。立法行政の政策過程に外国人利害関係者の介入拡大も図られている。それによって政策決定過程の中で米の対日要求は即反映できる仕組みになっている。
鳩山政権で年次改革要望書は終了して代わって出てきたのがアミテージレポートだ。彼は軍事命令をよく出している。国連平和維持、活動(PKO)の法的権限の範囲拡大では自衛隊は海外に出ろと言うものだ。また、集団的自衛権の禁止は日米同盟の障害であるとして、米軍を助ける集団的自衛権導入を促した。日本の防衛産業輸出も促進させようとしている。2012年のアミテージレポートで日本の軍事化を促進させている。米要求で安倍首相は安保法制などの法律を作った。岸田首相は安保3文書を閣議決定した。敵基地攻撃能力を保有して戦争当事者に日本がなる。日本がトマホーク500発買えば、米の軍産複合体は大儲けできる。全部が米国のためだ。
最も日米の矛盾を受けているのは沖縄だ。米に従属して戦争主役にさせられる「悪友関係」の「走り役」日本は勇気をもって米国に話して、隷属関係に終止符を打つために議論を開始すべきである。政治家にも期待したい。

※この原稿は2023年1月16日の琉球新報に掲載されたもののタイトルを一部修正し、宮城さんの了解を得て転載したものです。

宮城恵美子(ISF理事・ノーモア沖縄戦命どぅ宝の会発起人)

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