メルマガ49号

本日、玉城知事に対し「県民の命を守ることは県知事の最大の責務」であり、「沖縄を戦争に巻き込む南西諸島の軍備強化、ミサイル要塞化にはっきりと反対を表明」するよう要請を行います。来週のメルマガで要請行動の報告をいたします。また発起人の新垣邦雄さんから先週の沖縄「戦前新聞」のトピックを併載します。毎日アップしています戦前新聞をまとめ、現在の動きをよりわかりやすく解説した内容です。ぜひお読みください。

玉城デニー知事へ要請します!!

米下院議長の訪台が中国を挑発し、中国が報復的に台湾周辺で軍事演習を行い中国ミサイルが波照間島近海に飛来しました。岸田改造内閣は政権の「最重要課題」の筆頭に台湾有事を想定する「防衛力強化」を掲げました。緊張激化のきっかけが米下院議長の訪台であったにも関わらず、直後に米国の超党派議員団が台湾を訪ね蔡英文総統と会談。日本の議員団も22日に訪台、蔡総統との会談を予定しています。日米が歩調を併せて訪台による挑発を続け、それが中国側の軍事演習の強化を招き、これに対抗する形で日米がさらに軍備を強化する負のスパイラルに陥っています。「台湾有事」が現実となり、沖縄・南西諸島が戦場となる危険性がさらに高まったと認識せざるを得ません。
 「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」は本日(8月19日)、県庁を訪ね玉城知事に対する要請文を提出します。詳しくは以下にお示しする要請文をご覧ください。沖縄が戦場となる懸念がいっそう高まる中で、玉城知事に対し「県民の命を守ることは県知事の最大の責務」であり、「沖縄を戦争に巻き込む南西諸島の軍備強化、ミサイル要塞化にはっきりと反対を表明」するよう求めます。要請書に対する県の対応については次回以降のメルマガで報告します。

    玉城デニー知事への要請文       2022年8月19日
                ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会

 米中間の軍事緊張が高まるばかりです。米下院議長の訪台で嘉手納基地に電子偵察機、空中給油機が集結、F15戦闘機が続々と離陸し、臨戦態勢をうかがわせました。中国のミサイルが波照間島近海に飛来し、さらに緊張を高めました。野添文彬沖国大准教授は「今回の訪台は米中関係を危険水域まで悪化」させ、米中双方の対抗措置により「偶発的な衝突が起こる危険性」、「有事となれば沖縄は真っ先に狙われる危険性」を指摘しました(琉球新報)。
 玉城知事は「地域住民が命の危険にさらされることは絶対に許されない」、「米中の覇権争いに県民や国民が巻き込まれることがあってはならない」と述べられました。また「日本が必要以上に米国寄りで関与すれば有事の危険性が高まるばかり」とし、日米政府に対し「軍事ではなく平和外交による解決」を求める姿勢を示されました。当会は知事の見識とご発言を高く評価します。
 昨年12月、共同通信は「米軍が台湾有事で南西諸島に攻撃拠点」「日米共同作戦計画原案策定」「住民巻き添えの可能性」と報じ、米軍が中国対処のために分散展開、水のある島の40カ所を攻撃拠点に選定、陸自ミサイル部隊のある奄美、宮古、石垣島を含み、米軍がウクライナにも供与している「高軌道ロケット砲ハイマースを配置する」としています。年初の日米2+2(外務・防衛閣僚協議)で「作戦計画」の推進が報じられました。
 これに対し政府は、日米共同作戦の具体的な内容について記者会見で再三、問われながら岸防衛大臣は「答弁を控える」と拒み、国会でも、沖縄県の質問にも情報開示を拒んでいます。不誠実極まりありません。
 自衛隊のミサイル基地配備に加え、米軍の核搭載可能な中距離ミサイル、極超音速ミサイルの列島線配備計画も報道されています。軍事ジャーナリストの小西誠氏は「沖縄全体が中国へのミサイル攻撃基地」となり「中国とのミサイル戦争の戦場となりかねない」と指摘しています。
 沖縄県民は黙っているわけにはいきません。座して死を待つわけにはいかないのです。高良鉄美参院議員は憲法学者の見地から「命を脅かされる県民は反対を主張する権利がある」、また地方自治の観点から「沖縄県、知事は県民の命を守る責任がある」と指摘しています。
 県民の命を守ることは県知事の最大の責務です。玉城知事には「どこの国の軍隊であろうと、いかなる正義を名目とする戦争であろうと、この島を戦場にすることは沖縄のリーダーとして許すわけにはいかない」という決意をはっきりと内外に示していただきたい。沖縄を戦争に巻き込む南西諸島の軍備強化、ミサイル要塞化にはっきりと反対を表明していただきたい。
 そのことを強くお願いした上で、以下の事項を知事に要請いたします。

一、日米共同作戦計画の情報開示要求と反対表明を
 県知事の最大の使命は県民の命と安全を守ることです。二度と沖縄を戦場にしてはなりません。南西諸島に軍事拠点を置く「日米共同作戦計画」の具体的内容を明らかにするよう日米両政府に要求していただきたい。また必然的に沖縄が攻撃目標となる「日米共同作戦計画」に対し反対を表明していただきたい。

二、日米ミサイル要塞化に反対を
 軍事で軍事に対抗する「抑止」論の破綻は、米欧が武器供与したウクライナが戦場となったことで明らかです。南西諸島の日米ミサイル要塞化はミサイルで対峙する中国との「沖縄のミサイル戦場化」を招きかねません。沖縄の島々のミサイル基地化、軍備強化に反対を表明していただきたい。

三、日米、台湾・中国、国際社会に「外交解決」訴えを
 日米政府は「台湾有事」への軍事対処に前のめりの姿勢です。しかし台湾問題への軍事関与は日米中の3大大国の戦争、周辺諸国を巻き込み、核戦争、世界の終末戦争にすらエスカレートしかねません。軍事によらない対話外交による解決を日米政府、台湾・中国政府、国際社会に訴えていただきたい。

四、「有事の住民避難は不可能」表明を
 軍事専門家は「沖縄で有事下の住民避難は不可能」と断言しています。自衛隊幹部は「自衛隊に住民を避難させる余力はない。自治体にやってもらうしかない」(共同通信)と話しています。ところが国民保護計画、住民避難訓練があたかも「避難が可能」かのごとく県や自治体の責任で進められようとしています。実現不可能で戦争準備につながる保護計画、避難訓練に反対を表明していただきたい。

ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会
共同代表:石原昌家(沖縄国際大学名誉教授)、具志堅隆松(ガマフヤー代表)、ダグラス・ラミス(国際政治学者)、宮城晴美(沖縄女性史家)、山城博治(平和運動家)
呼びかけ人:新川明(沖縄タイムス元社長・会長)、高嶺朝一(琉球新報元社長)、桜井国俊(沖縄大学元学長、名誉教授)、前泊博盛(沖縄国際大学教授)、三上智恵(映画監督・ジャーナリスト)、伊佐眞一(沖縄近現代史家)、大城貞俊(作家)、与那覇有羽(与那国在住・民芸作家・民謡歌手)ほか多数

新垣邦雄(ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会発起人)

今週の南西諸島軍事強化トピック(8月8日~14日)

◇防衛相「質と量 強化」(琉球新報 2022.8.13)
 8月11日に発足した岸田改造内閣は、最重要課題の筆頭に「防衛力強化」を高々と掲げた。なぜ今内閣改造なのか意味不明な、統一教会に関与する閣僚をはずして国民の批判をそらす「統一教会隠し内閣」のネーミングもあったが、筆者は「防衛力強化・戦争準備内閣」と名付けたい。本土マスコミも自民党と統一教会の関係のあらさがしにのみ終始せず、いよいよ日本が中国との戦争準備を強める問題に焦点を当てるべきだろう。
 就任した浜田靖一防衛大臣は「辺野古が唯一の選択肢」と相も変わらぬ新基地建設強行方針を明言。のみならず、「宮古島や与那国島などに自衛隊の部隊配備を進める南西シフトについて『抑止力を高めるものであり、南西諸島への防衛体制を見える形で強化する』」(沖縄タイムス)と鼻息荒く宣言した。
 浜田氏は麻生政権(2008年~)時にも防衛大臣を務め、今回は再登板。09年に与那国町を訪問。町長に「与那国を含む南西諸島の防衛のあり方も重要」と言い、自衛隊南西シフトの先鞭を付けた。琉球新報は「浜田氏の再登板で自衛隊の南西シフトはさらに加速する可能性がある」と注視する。年末の防衛3文書改定に向けて米軍も一体となる台湾有事対処強化に向けた再登板であることは間違いない。
 ペロシ米下院議長の訪台が中国の過剰反応を引き起こし、台湾周辺の緊張と日米中の関係悪化を招いた。そのターニングポイントとしてペロシ訪台が注目を浴びたが、実はその直前に日本の元防衛閣僚3氏が足並み揃えて台湾を訪ねていた。政治家要人が挑発的に台湾を訪問し、日米中関係を悪化させる先鞭も日本が担っていたのである。
 7月末に台湾を訪問したのは石破茂元防衛大臣、浜田靖一元防衛大臣、長島昭久元防衛副大臣。何とその後に浜田氏は防衛大臣に復活した。3氏は蔡英文総統と会談。共同通信配信記事を再読すると、「石破氏は日台の安全保障の認識共有化を図る必要がある」と表明。さらに「石破氏は『(日台が)共通理解を持たなければ抑止力にならない』と強調、想定される有事や条約、部隊運用など具体的な課題を日台で解決していく必要があるとした」(沖縄タイムス)というのである。
 「想定される有事や条約、部隊運用の課題解決」とは、あまりにも生々しい。防衛閣僚経験者ら軍事エキスパートによる戦争準備の提言ではないか。中国の台湾侵攻があり得るとして、台湾と日本の共同防衛の協議に踏み込んだとみなさざるを得ない。蔡総統は「台湾の主権を守るだけでなく、インド太平洋地域の平和と安定を(日本などと)共に守っていく」と表明した、という。

◇米政権、関与強調で抑止(沖縄タイムス 2022.8.9)
◇海自が米演習で「存立危機」想定 中国念頭 抑止力示す(沖縄タイムス 2022.8.9)
◇日米戦闘機10機訓練 沖縄周辺空域、9日に実施(琉球新報 2022.8.12)
◇日米が戦術訓練 沖縄の周辺空域(沖縄タイムス 2022.8.12)
 7月末から8月初めにハワイ周辺で実施されたリムパック演習(米海軍が主催、自衛隊、NATOも参加する大規模合同演習)で安保法の「存立危機事態」を想定する訓練が始めて実施されたとの報道があった。台湾有事に米軍が関与、米軍支援のため自衛隊が関与する集団的自衛権行使を想定する訓練だ。沖縄は必然的に巻き込まれる想定だ。
 米軍が数週間以内に「台湾海峡を通過」する訓練を行う。「日本の安全に関与するため」にという報道もあった。

◇県議会、中国に抗議決議 ミサイル着弾 日本政府に意見書も(琉球新報 2022.8.10)
安全強化求める 八重山市町会 離島支援も要望(沖縄タイムス 2022.8.10)
「地域に大きな不安」 与那国町議会も抗議可決(琉球新報 2022.8.10)
◇現実味帯びる沖縄の戦争 立候補者は真剣な議論を(琉球新報 2022.8.10)
 台湾有事で沖縄が戦場になることが既定事実のように報道され、事態を想定し、さらに状況を悪化させる軍事訓練が日常化している。沖縄県民は事態にどう向き合うべきか。
 沖縄県議会は8月9日、波照間島近海に中国ミサイルが飛来したことに対する抗議決議を全会一致で可決した。中国への抗議とともに、「軍事対軍事でなく、平和的な話し合い、外交交渉で解決するよう強く要求する」としている。併せて日本政府に対する「意見書」も全会一致で可決した。この中で中国の軍事演習に対する非難とともに、日本政府に対しても「米国に対しても軍事的な緊張を高める行動を自制し、政府として適切な措置を講じるよう強く要請」するとしている。また「中国および米国に対して、軍事衝突を回避するため、冷静かつ平和的な交渉で解決を図ることを要請する」ことを求めている。
 県議会決議と意見書の意義は大きい。ポイントは2つ。第一に、中国の今回の演習、ミサイル発射をとらえて、「日本、ないし日米の防衛強化」を求める文言は一切、ないこと。
岸田新内閣が「防衛強化」を最優先課題に掲げたこととの大きな違いだ。第二に、日本政府に対し、「中国、米国に対し軍事衝突回避のため平和的交渉」の働きかけを求めたことだ。与野党せめぎ合う沖縄県議会が「防衛強化」ではなく「平和的交渉」に重点を置いた判断は高く評価できる。
 しかし県内の足並みは必ずしも一致していない。県議会に続いて市町村議会が抗議、意見書を可決しているが、総じて「平和的交渉による解決」に重きを置いたものが多い。八重山市町会の県への要請は「万が一のため離島住民の避難や支援体制」など台湾に近い自治体として切実な危機感をにじませた。石垣市議会の決議は「安全保障体制の強化」を盛り込んだ。
 中国を脅威ととらえ「防衛強化」「安全保障体制の強化」を求めるか、県議会決議にあるように「軍事対軍事でなく平和的話し合い解決」を求めていくべきか。県民世論も二つの視点で揺れ動いているように思える。しかし翻って考えたい。中国が沖縄南西諸島に攻撃するとしたら、沖縄に中国に対する攻撃基地があるからにほかならない。戦争をしないためには攻撃基地を置かないこと。沖縄を戦場とすることを当然視する「防衛強化論」にだまされるわかにはいかない。

8月8日
https://nomore-okinawasen.org/2290/
県漁連「中国演習中止を」週明けにも国に要請(琉球新報 2022.8.7)

8月9日
https://nomore-okinawasen.org/2298/
制服組 防衛予算を査定 文民統制の逸脱懸念(沖縄タイムス 2022.8.9)
米政権、関与強調で抑止(沖縄タイムス 2022.8.9)
海自が米演習で「存立危機」想定 中国念頭 抑止力示す(沖縄タイムス 2022.8.9)

8月10日
https://nomore-okinawasen.org/2331/
現実味帯びる沖縄の戦争 立候補者は真剣な議論を(琉球新報 2022.8.10)
中国から見た復帰50年 メディアはどう伝えたか 泉川友樹(沖縄タイムス 2022.8.10)
県議会、中国に抗議決議 ミサイル着弾 日本政府に意見書も(琉球新報 2022.8.10)
社説 制服組が予算査定 原則をなし崩しにするな(琉球新報 2022.8.10)
ミサイルに県議会抗議 中国演習禁止求めて決議  /  与那国議会も全会一致 住民不安と外交解決訴え(沖縄タイムス 2022.8.10)
中国演習「自制要求を」 県漁連 政府申し入れ 県に要請(沖縄タイムス 2022.8.10)
安全強化求める 八重山市町会 離島支援も要望(沖縄タイムス 2022.8.10)
「地域に大きな不安」 与那国町議会も抗議可決(琉球新報 2022.8.10)
「有事に備える議論」に憂慮(沖縄タイムス 2022.8.10)

8月11日
https://nomore-okinawasen.org/2359/
中国演習 中止を要請 県「政府の情報不十分」(沖縄タイムス 2022.8.11)
馬毛島基地の安全対策説明 防衛相が西之表市に(沖縄タイムス 2022.8.11)
中国軍、台湾演習を終了 海峡巡視を常態化へ(沖縄タイムス 2022.8.11)
中国から見た復帰50年 メディアはどう伝えたか 日米同盟への不満 詳報 戦争危惧の声や独立論取材(沖縄タイムス 2022.8.11)

8月12日
https://nomore-okinawasen.org/2370/
中国演習中止 国に要請 県、事前情報提供も(琉球新報 2022.8.12)
台湾有事なら日本に影響 中国軍事演習 介入阻止へ圧力重視(沖縄タイムス 2022.8.12)
日米戦闘機10機訓練 沖縄周辺空域、9日に実施(琉球新報 2022.8.12)
日米が戦術訓練 沖縄の周辺空域(沖縄タイムス 2022.8.12)
旧盆の嘉手納 岩国からF35 普天間へ移動(沖縄タイムス 2022.8.12)
平和外交に徹せよ (琉球新報 2022.8.12)

8月13日
https://nomore-okinawasen.org/2378/
防衛相「質と量 強化」(琉球新報 2022.8.13)
訪台中止「あしき前例に」同行米議員「緊迫化」批判に反論(沖縄タイムス 2022.8.13)
ドローンの規制 保良訓練場追加 防衛相20日から禁止(沖縄タイムス 2022.8.13)

8月14日
https://nomore-okinawasen.org/2395/
現状変更へ中国が挑発 特別寄稿 度が過ぎる台湾包囲(2022.8.14)

   文責 新垣邦雄(ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会 発起人)

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