メルマガ24号

「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」 賛同者・呼びかけ人の皆さま
いつも活動をご支援いただき誠にありがとうございます。
メルマガ第24号には発起人の三上智恵さんから原稿が届いています。
ご自身の「沖縄スパイ戦史」が日隅一雄賞を受賞され、あらためて注目されています。「沖縄スパイ戦史」で警告したこととは何か、本稿であらためて訴えられています。

国土を戦場にするあらゆる「国防」策に抗う仲間を増やしていきたい         

ノーモア沖縄戦の会の呼びかけ人・賛同人の皆さま、こんにちは。発起人の三上智恵です。
第一号のメルマガを書いてから早くも今回で24号です。賛同人も2000人を超えて会は順調に成長を遂げていますが、沖縄はまだまだコロナが猛威を振るう中、遠慮なくリアルな会合をどんどん企画できる日はもう少し先になりそうです。
「メンバーになったけど,何をすれば良いかわからない」「活動が地味では?」というご指摘もごもっとも。ですが,今しばらくは,この週に二回のメルマガ,そして沖縄やこの国が戦場になって行く流れに深く関わるニュースを日々沖縄「戦前新聞」として更新していますので、会のメンバーの熱量も感じていただけると思います。ぜひこまめにホームページを開いてみてくださいね!
さて今回は、写真の記事にあるように,私が日隅一雄・情報流通促進賞の奨励賞に決まったことと映画についての話題を、と提案いただきましたので、少しだけお付き合いください。
この、弁護士でジャーナリストだった日隅一雄さんを冠した賞は,去年、私たちの会の共同代表でもあるガマフヤーの具志堅隆松さんも受賞されたものです。

広島出身で、原発問題では東電の記者会見で毎回食い下がり、「市民が隠されることなく情報を得ること」こそが民主主義の根幹を守る大切な肝であることを身をもって世に知らしめた日隅一雄さんは、10年前にまだ49歳の若さで世を去ります。沖縄密約問題はじめ人権が問われる裁判に熱心に関わって来た日隅さん。為政者や権力者に都合の悪い情報の中にこそ、私たちの人権を奪う芽がぎっしり詰まっている、という大事なメッセージを残し、それに抗う活動に光を当てるのが、この日隅一雄・情報流通促進賞というわけです。
戦没者の遺骨を軽視し、戦後処理の杜撰さから国民の関心を背けようと努めて来たこの国の政府。戦争の実態を掘り起こされ,責任を追求されたくない本音が透けています。具志堅隆松さんは半世紀に渡り黙々とボランティアで遺骨を掘り、沖縄戦の実像を明らかにするとともに、国に情報を出させ、国の責任でDNA鑑定を行うことなど求め,実現して来ました。

国が蓋をしようとしているものをこじ開けただけでなく、一人一人の骨の持っている情報を手繰り寄せる経験値や、遺骨が語る言葉まで聞き取るほどの能力を持って、粉飾された当時の戦争報道とはかけ離れた沖縄の戦場のリアルさを今も「情報」として私たちの社会に供給し続ける仕事をされています。まさにこの日隅さんの信念を体現する具志堅さんはこの賞にふさわしい受賞者であったと思いますし,私たちの「ノーモア沖縄戦の会」の共同代表にと発起人満場一致で具志堅さんにお願いすることになったのも,この島が血を流して得た教訓を私たちに伝え続けるブレない生き方や発言,熱量を私たちの会に活かしていただきたいという思いからでした。

その一年後に,同じ賞を私が受けることは身に余る評価ではありますが、このインタビューにあるように、今この国が、国民が、こぞって「結果的に国が戦場になることも辞さず」強い軍隊と軍備に守られたいと合唱していく流れを止められるとしたら、「その知恵と力は沖縄戦を体験したこの島にこそ眠っている」と信じてやって来たことが、およそ間違っていなかったのかと勇気づけられます。

今回評価の対象になったのは、映画や本、講演など一連の活動ということです。

その映画「沖縄スパイ戦史」はアマゾンプライムhttps://www.amazon.co.jp/%E6%B2%96%E7%B8%84%E3%82%B9%E3%83%91%E3%82%A4%E6%88%A6%E5%8F%B2-%E4%B8%89%E4%B8%8A%E6%99%BA%E6%81%B5/dp/B08JNSXJ7Gほかネット配信で400円ほどで見ることができます。

映画公開後1年半をかけて追加取材した新書版の「証言 沖縄スパイ戦史」も、750ページながら1700円!でネットなどで簡単に入手できますので、是非ノーモアに関心を持っていただいた方にはいずれもご覧いただきたいところです。
先日土曜日も、名護市で「沖縄スパイ戦史」の上映会があり、16歳で沖縄戦を戦った元少年ゲリラ兵の瑞慶山良光さん(93歳)がトークに駆けつけてくださいました。幼馴染み同士が武器を持って地域で戦うとはどういうことか、戦後も語れなかった深い心の傷について、また、兵隊が兵隊を殺し、住民を殺すという戦争の暗部についても会場を埋めた方々とともに確認して、恐怖と悲しみを深く心に刻む時間となりました。
この本や映画が明らかにしようとしているのは、単なる沖縄戦の秘話ではありません。「なぜ、軍隊は住民を守らなかったのか?」という沖縄戦最大の重いテーマは、軍隊の本質に迫らないとわからないし、軍隊を機能させるための法律ができた時点でもうアウトなんです。戦争マニュアルの中に「住民の活用」が書き込まれていることを私たちが知らないようでは、同じ不幸が起きる。少年兵も、本土から来た兵隊も、沖縄を守ろうと思っていたことに疑いはない。しかしなぜ守るべき沖縄県民を殺したのか?この人を鬼にするシステムを明らかにしなければ、また同じことが起きます。
 その構造に迫るために、少年兵の視点から戦争に入り、住民を死に追いやった戦争マラリアがなぜ起きたのかを理解できれば、最後の住民虐殺が起きるべくして起きたことがわかる、という作品になっています。
 例えば今、私たちを縛る特定秘密保護法、重要土地規制法、いわゆる共謀罪がなぜ怖いのか。
「この本を一冊読めば瞬く間にわかる、目からウロコ」と海渡雄一弁護士が激奨してくださったことがあります。
 国が国民を監視する、だけでなく、軍隊が国民を監視し、最後は国民が国民を監視する。今の重要土地規制法によって相互監視体制が出来上がってしまったことは肝に銘じるべきです。戦争を止める声を上げることが格段に難しくなります。
 あの時ノーモア沖縄戦の会に入って声を上げておけばよかった、あの時ならまだ大きなうねりを作ることができたのに、と後悔する日が来てからでは遅いのです。
 もったいない賞ではありますが、せっかくの受賞の話題とともに、なんとしてでも国土を戦場にするあらゆる「国防」策に抗う仲間を増やしていけたら、と願っています。今後とも一人でも多くの方に参加していただけるよう皆さんのお声かけ、よろしくお願い致します!

三上智恵(「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」発起人)

今週のピックアップ

 5月21日、名護市立中央図書館で「沖縄スパイ戦史」の上映会が行われました。会場には90人が参加しました。「島々を戦場にしない」ために、沖縄戦から何を学ぶのか、その処方箋がしめされた本作、ご覧になっていない方はぜひ、ご覧になった方もあらためて観賞をおすすめします。

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