メルマガ40号

「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」 賛同者・呼びかけ人の皆さま
いつも活動をご支援いただき誠にありがとうございます。
今回のメルマガは東アジア共同体研究所の緒方修さんから寄せられた、横田基地近くの福生駅ギャラリーで実施された「南西諸島ミサイル危機写真展」の報告です。

<お知らせ>
6月26日に教育福祉会館で開催した「策動される戦争に抗して 2週連続講演会」の第2回「南西諸島有事を勃発させないために」の映像をホームページで公開しています。ぜひご覧ください!!  クリック⇒  https://nomore-okinawasen.org/1977/

首都圏の横田基地・福生で南西諸島ミサイル危機写真展開催

6月中旬に東京の横田基地を視察し、下旬に周辺の福生駅プチギャラリーで南西諸島のミサイル危機と横田基地の写真展を開催した。以下は短い報告。
6月14日(火)雨の中を横田基地周辺を巡る。
バイデン大統領が着陸した時のことを聞いた。5月21日(土)22日(日)、基地内で日米友好祭が開かれた。入場者は11万人。日曜日は時間が延期された。そこへバイデン大統領が乗ったUNITED STATES OF AMERICA号が降りて来た。図ったように・・。そう、バイデンにとって集まった5~6万人は歓迎の群衆のように見えたに違いない。米大統領はそのままヘリコプターで六本木の米軍ヘリポートに移動。基地から基地へ移動しただけで、別の国に行った、とは今でも思っていないのではないか。横田基地には在日米軍の司令部がある。沖縄ではなくここが司令部だ。羽村市のホームページによれば「横田基地は、立川市、昭島市、福生市、武蔵村山市、羽村市、瑞穂町の5市1町にまたがる国内最大級の米空軍基地であるとともに、在日米軍司令官および第5空軍司令部が所在する極東における米軍の主要基地です。」周りを全て住宅に取り囲まれた基地だ。                                  戦争が始まれば、ミサイルが集中する。嘉手納基地より先に狙われるだろう。横田基地では沖縄同様に飛行機からものが落ちたり、降下練習でパラシュートが開かなかったりの事故はしょっちゅうある。PFASも以前から問題になっている。
6月25日(土)~26日(日)
横田基地近くの福生駅プチギャラリーで「南西諸島ミサイル危機写真展」を実施した。ギャラリーでの展示は、沖縄から送った南西諸島ミサイル危機の写真シリーズが6割、横田基地の写真が4割だった。地元の人も上空から見た基地の写真を見て、沖縄の普天間基地と勘違いする人もいた。ウクライナ侵攻以来、横田でも危機感が高まっている。周辺の羽村市・福生市を中心にCV22オスプレイの配備を期に毎月22日に反対行動が実施されている。隣接する児童公園への座り込みは毎月80~100人規模で行われる。基地外からは飛行機炎上の時の消火作業、緊急時の滑走路の修復作業、救助活動の様子などが見える。街の真ん中に基地があるため交通は大きく迂回せざるを得ない。横田基地からは燃料輸送機が飛び立ち、山梨の上空で訓練している。こうした写真と共に南西諸島のミサイル基地建設の模様が展示された。
入口の前でビラを配る。熱風が吹いている。気温35度。沖縄より暑い。
*東アジア共同体研究所が毎週発行しているニュースマガジンを基に再構成。
       (文責)東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター顧問 緒方修

今週の南西諸島軍事強化トピック 
(2022年7月11日~7月17日)

◇改憲早期発議へ意欲 首相、防衛力強化を言明(沖縄タイムス 2022.7.12)
https://nomore-okinawasen.org/2010/
◇伊波洋一氏インタビュー 辺野古反対民意は強固(琉球新報2022.7.12)
◇東シナ海上空で日米が共同訓練 空自・海自と米海空軍(琉球新報 2022.7.17)
https://nomore-okinawasen.org/2069/

 参院選の大勝を受け岸田首相は、憲法改正の「早い国会発議」、「防衛力の抜本強化」を表明。「国家安全保障戦略」で敵基地攻撃能力(反撃能力)を含めた「あらゆる選択肢を検討」するとした。年末の「防衛3文書」は自衛隊・米軍との一体化、統合運用による「台湾有事」共同対処が鮮明になろう。陸自が南西諸島に配備する地対艦ミサイルは射程の900キロ(産経新聞報道1500キロ)延伸で敵基地攻撃能力を先取り、台湾有事に対処する「日米共同作戦計画原案」は米軍の「ハイマース」ロケット砲システムの導入を計画する(共同通信)。米軍はウクライナに「ハイマース」を武器供与したが、沖縄には早々と2016年に配備済みだ。「米陸軍が極超音速ミサイルを2023年末にも配備」「沖縄を含む第一列島線」(共同通信4月2日)の記事もあった。東シナ海の日米訓練が激化。沖縄のウクライナ化が迫りつつある。
 自衛隊は「島嶼防衛用高速滑空弾」の配備も計画。米軍のハイマース、極超音速ミサイルと沖縄は「最新ミサイル兵器の実験場」(小西誠氏)と化し、対中国のミサイル戦場となりかねない。小さな島に逃げ場はあるのか。
 参院選沖縄選挙区で再選を果たした伊波洋一氏は琉球新報のインタビューに「ジュネーブ条約追加議定書は、国は国民を戦争の危機にさらしてはならないと定める。住民が逃げられない島での基地建設はそれに違反する」と指摘した。逃げ場のない島のミサイル要塞化は国際人権法に反するという指摘だ。17日、那覇市内で開かれた講演会で伊波氏と国会でタッグを組む高良鉄美氏(参院議員、憲法学)は「国防は国の専権事項ではない。人権、地方自治の立場で国民(県民)は物言う権利がある」と指摘し、裁判提訴、国連への訴えなどの手立てを提言した。
 伊波氏は「安保条約は日本を守るものではない。日本を盾に米国を守るものだ」と指摘。また「南西諸島を軍事化するのではなく、平和をつくるには空白地帯をつくることが有効」と南西諸島を軍備のない「緩衝地帯」とすることを提案した。
 ウクライナ問題に詳しい羽場久美子氏(国際政治学者)は「台湾有事が起こり日本が中国との戦争に巻き込まれれば、アメリカが日本を守る可能性はほぼ皆無。日本は列島3000キロで仁王立ちし、ミサイルがアメリカに飛んでいくのを防ぐ要塞となるのだろうか。日本には何の利益もない戦争」(週刊金曜日・5月13日号)と喝破した。「今なすべきことは軍事化ではなく、沖縄を平和のハブとしてアジアの国々と安全保障ネットワークを形成すること」と提案する(同)。
羽場氏は8月に沖縄で講演を予定するという。

◇災害名目で有事訓練 米軍・自衛隊参加 玉城知事「必要」 (琉球新報 2022.7.15)
https://nomore-okinawasen.org/2046/

◇災害訓練に米軍「必要」 知事、神奈川知事と会談 (沖縄タイムス 2022.7.15)
https://nomore-okinawasen.org/2046/

 高良鉄美氏は前記の講演会で「自治体は国防を国任せずにせず住民の生命、生活の安全を守る責務がある」と指摘した。玉城デニー知事の責任は大きい。玉城知事は黒岩祐治神奈川県知事と会談。「沖縄で米軍が参加する災害訓練を受け入れる可能性について」、「可能性はある。四軍調整官にも話したい」と前向きな姿勢を示した、とされる。県政与党幹部は「訓練を名目に有事への準備にすり替えられるのは目に見えている。沖縄を有事に導く発言は軽々しすぎる」と批判した、という。
 軽率のそしりを免れないだろう。「台湾有事の住民避難は不可能」と識者は指摘している。あたかも「有事の住民避難は可能」であるかのような「災害訓練」の誘導に安易に乗るべきではない。昨年のオンライン鼎談でジャーナリスト高野孟氏は以下のように述べている。「月刊『有事研究』に日米が一体となる先島防衛が書かれている。『戦場となる候補の島嶼においては地方自治体の主導で住民の保護のための計画を策定し、住民、警察、自衛隊および米軍を交えた訓練を行って万一の事態に備える必要がある』という。住民を巻き込み、米軍も一緒の避難訓練までやるという。しかし、机上の空論、避難している間にミサイルが降ってるんだから」(東アジア共同体研究所 沖縄センター 年刊ジャーナル2号)。逃げ場のない島にミサイルが降る戦争で「住民避難」の「保護計画」はあり得ない。玉城知事は毅然として「ノー」と言うべきだ。

◇琉球新報社説 安倍元首相国葬「内心の自由に抵触する」(2022.7.16)

 安倍元首相の「国葬」が持ち上がった。琉球新報は社説で「内心の自由に抵触する国葬には反対する」とした。中央紙、地方紙のなかで明確に「反対」を掲げたのは恐らく琉球新報だけだろう。安倍氏ほど毀誉褒貶が著しい政治家はいまい。「佐藤優のウチナー評論」(琉球新報)で佐藤氏は第2次安倍政権を「2012年体制」と呼んだ。サンフランシスコ体制(1951年)で米国が望んだ日本を従える「戦争をする国」の完成形に導いたのが安倍政治だ。「国葬」は故人を偉人と讃える儀式でもある。賛否ある中で数の力で「国葬」に祀り上げるのは「内心の自由」に反する。首相在任時に安倍氏は二度まで国会で「私は立法府の長」と発言した。意図的であったろう。憲法違反、違法と学者が指摘する立法の数々を内閣法制局長の首を据え変えて強行した。
近現代史家の保坂正康氏は安倍政治を「行政独裁」と評した。「国葬」を打ち上げる前に日本を戦争をする国に、国会議席の数で従わせ、立憲主義を破壊、公文書を隠ぺい改ざん、説明しない政治、続く菅政権下では批判する学術会議会員の任命拒否への布石を打った「安倍政治」を検証することが先だろう。
 沖縄タイムス「大弦小弦」で阿部岳記者は「政府が何を言っても、内心の自由と、公職者を批判する自由を堅持する」と書いた。物言わぬ風潮に抗う新報社説、阿部記者に敬意を表したい。

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