メルマガ229号

防衛省は「防衛力抜本的強化の進捗と予算」(2024年度予算案)の中で、沖縄をはじめとする九州や北海道、京都など全国14カ所の弾薬庫を新設する建設費222億円を計上しています。政府は2022年に改定された安保3文書に基づき、敵基地攻撃能力の保有や「継戦能力」強化のために弾薬庫を増設していく方針です。弾薬庫は攻撃対象となるため、日本全体が戦場化する恐れがさらに高まります。
今年度方針の特徴として 特に沖縄・九州と北海道に集中していることが挙げられます。陸上自衛隊沖縄訓練場(沖縄市)に5棟、奄美大島の瀬戸内分屯地(鹿児島県瀬戸内町)に3棟、大分分屯地(大分市)に3棟、えびの駐屯地(宮崎県えびの市)に2棟を新設。鹿児島県さつま町にも新設(棟数未定)していきます。
 北海道では、陸自多田分屯地(上富良野町)、白老(しらおい)駐屯地(白老町)、近文台(ちかぶみだい)分屯地(旭川市)、足寄(あしょろ)分屯地(足寄町)、沼田分屯地(沼田町)、日高分屯地(日高町)に新設。棟数はいずれも未定としています。
海自大湊地方総監部(青森県むつ市)に4棟、陸自祝園(ほうぞの)分屯地(京都府精華町)に8棟、舞鶴地区(同舞鶴市)に3棟を新設します。現在防衛省は2032年度までに大型弾薬庫130棟を建設する方針を示しています。
今回のメルマガでは西岡信之さんに過去の弾薬庫爆発事故、2024年度方針での新設が計画されている祝園ミサイル弾薬庫問題について詳しく書いていただきました。ぜひお読みください。

住宅地の近傍に弾薬庫や駐屯地があってはならない
国際法の「軍民分離」原則を今こそ、守れ

日本にも過去にあった弾薬庫大爆発事故

 私が27年間勤務していた大阪府枚方市役所。その枚方市(事故当時は、殿山町牧野村)でも過去に弾薬庫が大爆発し、遠方まで大きな被害を出した大惨事があった。禁野(きんや)火薬庫大爆発事故。禁野の地名の由来は、京都に近い枚方には京都御所の天皇・皇族が遊興の狩猟のために訪れていた場所が禁野と呼ばれ一般の民の狩猟が禁じられていた。
その禁野で米国との開戦前の1939年3月1日午前2時45分の深夜に陸軍禁野火薬庫15号倉庫で爆発事故が発生した。中国大陸から送り返されてきた重迫撃砲弾を解体中に不意に発火し、填薬弾(てんやくだん)に引火し大爆破が起こった。天地を揺るがす大爆発で、弾薬の倉庫は次々と爆発・延焼して、翌日の夜7時までに29回の爆発を記録した。死者94名、負傷者602人、近隣の家屋の全半壊焼失821戸、4400世帯以上が被災した。火薬庫の建物の屋根や壁をはじめ弾薬が飛散し、火薬庫を中心に半径2キロメートル以内はほぼ壊滅・焼失した。爆風は、隣接する現在の交野市や淀川を越え高槻市まで爆風圧が届き窓ガラスや戸障子などが壊れた。校区の殿山第一小学校は焼失した。少し離れた京阪電車本線も降り注いだ砲弾破片などで送電線・電車線・電気供給施設が破損して運転不能となり、5日後の3月6日にようやく運転再開した。消火作業等で消防団員15名と町議員1名が殉職した。1940年3月1日にその地に殉職者慰霊碑が建立され、枚方市では1989年に「枚方平和の日」を制定し、毎年平和事業に取り組んでいる。
 実は禁野火薬庫爆発事故は、この事故の前にもあった。1909年8月20日、午前2時過ぎにダイナマイトの自然発火による爆発事故が発生し、10人が負傷、約1495戸の家屋が全半壊した。
 弾薬庫の近傍がどれだけ危険か、この事故は教えてくれている。宮古島の保良弾薬庫、沖縄市の沖縄訓練場として新設されようとする弾薬庫、辺野古弾薬庫がどれだけ危ない施設なのか、防衛省や沖縄防衛局にとって、枚方市の禁野火薬庫大爆発事故は決して知られたくない歴史の事実だ。

禁野火薬庫は新しく弾薬庫に

 禁野火薬庫の大事故を受け、陸軍はその代替施設として、近傍する京都府川西村祝園(ほうその)現在は、精華町を選んだ。川西村は、広い丘陵とのどかな田園地で、当時は人口も少なく、入り組んだ浸食台地の形成によって万が一事故が発生しても被害が最小限に抑えられること。砲弾を製造していた枚方弾薬製造所、火薬を製造していた陸軍宇治火薬製造所など両施設を国鉄線路で結び搬入搬出が便利であったことから選ばれた。
 その祝園弾薬庫は、戦時体制による労働者不足から沖縄戦の軍夫と同じ様に多数の朝鮮人青年を強制的に徴用し2年間の突貫工事で完成した。広大な敷地面積は、約5万平方メートルで精華町面積の6分の1を占めている。戦後、米軍が接収し「核兵器貯蔵施設としての基地」として位置付けられ、米軍の東洋一の弾薬庫となった。1960年に陸上自衛隊関西地区補給処祝園弾薬支処として移管。近畿第3師団(兵庫県伊丹市)に弾薬を補給する機能を持っている。

「祝園ミサイル弾薬庫問題を考える住民ネットワーク」結成予定

 祝園弾薬庫は、岸田大軍拡路線によって、さらに強化・拡大されることが明らかになった。2024年度防衛省概算要求で、4つの大型弾薬庫建設(北海道多田分屯地・新設、宮崎県えびの駐屯地・新設、奄美大島瀬戸内分屯地・新設、沖縄市沖縄訓練場・新設)と並び、祝園弾薬庫に4億円の調査費用が計上された。また祝園弾薬庫内の火薬庫8棟及び弾薬庫整備場の整備、隊庁舎の建替え等の設計・工事費に102億円が計上された。しんぶん赤旗には「祝園分屯地は、本州の陸自弾薬庫施設では最大級の規模、本州の弾薬補給基地して強化が狙われています」と報じられた。
 現在、沖縄県内、南西諸島で進められている12式地対艦誘導弾ミサイル配備と同じ様に祝園においてもミサイル配備させる可能性が高まっている。精華町の住民をはじめ近隣の市町村住民・市民団体によって3月20日に「京都祝園(ほうその)ミサイル弾薬庫問題を考える住民ネットワーク」が結成される予定だ。あってはならない「台湾有事」や「朝鮮半島」が起こった場合、相手国からの報復のミサイル攻撃が予想され、研究者の調べで半径約10キロ圏内(京都南部、大阪府、奈良県に連なる京阪奈地域)は、焦土となることが考えられる。
 沖縄・南西諸島への軍事要塞化とともに全国でも進む軍事化、戦時体制づくりに反対の声をあげ、連帯して岸田政権による大軍拡路線、戦争国家体制づくりに反対し、二度と戦争を起こさせない闘いが求められている。

※本稿は、京都府精華町議会議員で相楽平和委員会代表の坪井久行氏の講演をもとに、筆者が独自に調査した内容を加えて加筆補正している。「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」においても、ぜひ坪井氏の講演企画を組んでいただければと思う。

西岡信之(沖縄国際大学・元非常勤講師:平和学)

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