メルマガ225号

今回のメルマガは沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」代表で当会共同代表の具志堅隆松さんからの寄稿です。
具志堅さんは明言します。米国の勢力維持のために犠牲になる必要はない。自衛隊基地が沖縄に存在し、ミサイルを配備し、中国との戦争に備えることは真っ先に、日本の自衛隊員、その家族、そして沖縄県民が犠牲になることを意味する。
そして地域の首長の責任は住民の生活と生命を守ることであり、政府のいいなりになって住民を破滅に導くことではない。
このことは、私たちが自らの命と生活をまもるための指針を明快に示しています。ミサイル配備、演習場計画の強行姿勢、際限のない日米合同訓練、空港・港湾の軍事優先化など、中国脅威を口実に、日本政府が戦争をおびき寄せようとしていることをあらためて理解するためにもぜひお読みください。

戦争招く琉球列島の自衛隊 基地撤去は首長の責任

紙幅が限られているので結論から先に言う。「全沖縄から自衛隊基地は絶対に撤去しなければならない、それが沖縄にいる自衛隊員とその在沖家族、県民の命、さらに全国民の命を中国との戦争から守ることになる」
その背景を述べる。台湾有事という言葉が使われて久しくなるが台湾有事とは、台湾の独立を阻止するために中国軍が台湾に侵攻することをいう。そして米国はそのような事態になれば台湾を防衛することを既に表明している。そのために沖縄の米軍と自衛隊は何度も中国軍攻撃の軍事訓練を重ねている。中国軍に対して攻撃すれば当然、沖縄は反撃される、つまり沖縄が戦場になるということだ。そして戦場は沖縄だけでなく日本全国に広がっていく。なぜなら中国にとって反撃対象の日米両軍基地は全国にあるからだ。
 それでは、米国は台湾防衛に固執するのだろうか。それは台湾防衛を口実に、近い将来米国を追い越すといわれている中国の国力をそぎ落としたいからである。米国は現在、経済・軍事のナンバーワンである。発展が目覚ましく、経済・軍事ともに世界の2番手にのし上がってきた中国を唯一の競争相手と公言している。
そこで米国は世界経済の3番手である日本を、台湾有事を理由に中国と戦争させて中国の弱体化を狙っているのだ。その時真っ先に犠牲になるのは戦争を決めた政治家ではなく、沖縄にいる自衛隊員である。隊員だけではない。その在沖家族も県民も犠牲になる。戦火は沖縄だけでとどまらず全国にある日米両軍基地に及ぶだろう。
これを整理すると、日中戦争の発火点は沖縄であり、戦争の引き金は沖縄から中国軍にミサイルを発射することである。これは絶対にさせてはいけない。そのためには自衛隊基地をミサイルと共に沖縄から撤去させることだ。自衛隊はその名のごとく日本を防衛するためにある。米国の勢力維持のため、犠牲になる理由はない。
 米国は中国軍を攻撃するには自衛隊の参加はもとより、宮古・八重山・与那国など離島の軍事使用が必要だとしている。そのため、これらの離島には既に自衛隊基地が造られてしまったが、たとえ住民投票などで決められたことでも、今の状況が建設当時の状況と異なるのであれば住民には撤去させる権利がある。なぜなら住民が主権者だからだ。島の未来は国が決めるのではなく、住民が決めることだ。そして知事をはじめ、地域の首長の責任は住民の生命と生活を守ることであり、政府に従い、住民を破滅に導くことではない。沖縄から自衛隊基地を撤去させ、隊員の命を守るというのは日本を戦争から守ることである。

具志堅隆松(沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」代表)
※本稿は具志堅さんのご承諾を得て、琉球新報論壇(2024年2月22日)を転載しました。

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