メルマガ223号

沖縄ではうるま市の勝連陸自分屯地への地対艦ミサイル部隊配備が目前に迫っています。その中で新たにうるま市石川地区に陸自訓練場建設計画が浮上し、地元住民をはじめ市民が猛反発しています。ノーモア沖縄戦の会は2月9日、県庁記者クラブで「うるま市へのミサイル部隊配備と訓練場計画に反対」し、玉城デニー知事、うるま市長に「反対表明を求める」声明、また防衛省が進める沖縄・全国の「特定重要拠点指定による空港・港湾の軍備強化に反対」し、玉城知事、関係自治体首長にも「反対表明を求める」声明を発表しました。同席した「ミサイル配備から命を守るうるま市民の会」の宮城和之事務局次長は、「勝連分屯地に南西諸島の地対艦ミサイル部隊の連隊本部が置かれ、米海兵隊コートニー基地は、海兵沿岸連隊の司令部になる。嘉手納弾薬庫を含めうるま市が軍事要塞化する」と強い危機感を訴えました。ノーモア沖縄戦の会の「声明」をお示しし、反対行動への全国の連帯を呼びかけます。

台湾有事、基地問題についての質問状・要請事項の提出および面談説明の申し入れ

沖縄県知事と知事公室長への申し入れ文書                             2024年2月玉城デニー知事殿
知事公室長ほか担当部局様          ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会 共同代表 石原昌家 具志堅隆松 ダグラス・ラミス 宮城晴美 山城博治台湾有事、基地問題についての質問状・要請事項の提出および面談説明の申し入れ 沖縄県、玉城知事におかれては平和地域外交の推進に高く敬意を表します。特に「台湾有事」を巡る防衛省の沖縄諸島の軍備強化に関し、「敵基地攻撃につながる長射程ミサイルの配備に反対する」ことを明確に表明し、下地島空港はじめ県内の県管理空港・港湾の軍事利用を目的とする滑走路延長や港湾整備について政府への予算要請を見送り、それにより「防衛省が2024年度の予算計上を見送った」と報道された英断を高く評価します。ノーモア沖縄戦の会は22年以降、玉城知事に「質問状・要請事項」の文書を提出し、23年3月まで数回にわたって知事公室長による誠意ある面談説明を行なっていただきました。提出する「質問状・要請事項」に誠意ある対応をお願いします。 

質問状・要請事項

①うるま市陸自勝連分屯地への地対艦ミサイル配備と同市石川地区の陸自訓練場計画
 ◎防衛省は23年度中に勝連分屯地への地対艦ミサイル配備を予定し、3月までに実行される見通しです。防衛省は配備する12式地対艦ミサイルの射程を1000キロ超に延伸し25年度に配備する方針です。県、知事は「敵基地攻撃可能な長射程ミサイルは専守防衛を逸脱し憲法に反する懸念がある。長射程ミサイルの配備は攻撃目標となる危険を高める。あらたな長射程ミサイルの配備に反対する」とする趣旨の方針を表明されました。勝連分屯地に配備される12式地対艦ミサイルは中国にも届く1000キロ超射程の改良型への変更、追加配備が確実と専門家は見ています。12式ミサイルの配備を許せば敵基地攻撃可能な長射程ミサイルの配備を容認することになります。
 ●県、知事は目前に迫る勝連分屯地への地対艦ミサイル配備を中止するよう政府・防衛省に申し入れていただきたい。同様に宮古、石垣の地対艦ミサイル配備の撤去、与那国島への地対空ミサイル配備計画の中止、各種長射程ミサイルを貯蔵する沖縄市の弾薬庫建設、米軍嘉手納弾薬庫の自衛隊共同使用の中止を、政府・防衛省に申し入れていただきたい。 ◎防衛省はうるま市石川地区に陸自訓練場を新設する計画を進めています。勝連分屯地に配備される地対艦ミサイル部隊と一体的な訓練場であり、ミサイル発射機の「展開」訓練が予定されます。負担軽減に逆行する基地負担強化であり近隣の自治会、市自治会長会が「攻撃目標になりかねない」と反対しています。
 ●県、知事は石川地区への新たな陸自訓練場計画に、明確に反対を表明し、政府・防衛省に申し入れていただきたい。
 この件に関連し、以下の事項について県の見解と対応をうかがいます。
 ・勝連分屯地配備地対艦ミサイルの石川地区訓練場での「展開訓練」は、有事下でミサイル発射機が分屯地を出て展開し、ミサイル発射を行なう運用計画であることを如実に示しています。軍事専門家は「ミサイル配備基地、弾薬庫だけでなく島中が攻撃拠点となり攻撃目標となる」(小西誠氏)と指摘しています。この点について県の見解をうかがいます。
 ・石川地区訓練場のミサイル「展開訓練」は訓練にとどまるのか。有事下で実際に「ミサイル発射」の攻撃拠点となるのではないか。その懸念に対する県の見解、および「攻撃拠点」としての使用について防衛省に確認しているか、うかがいます。
 ・安保3文書、日米2プラス2で「日米施設の共同使用の拡大」が確認されています。石川地区の陸自訓練場も米軍の共同使用が想定されていないか。県として同訓練場の米軍共同使用に反対を表明していただきたい。防衛省にこの件を確認しているかうかがいます。

②長射程ミサイルの県内配備について。
 ◎県。知事が「新たな長射程ミサイルの配備に反対」を表明していることを前記しました。一方、政府は安保3文書に基づき、「南西諸島の防衛強化」、「敵基地攻撃能力の保有」、
「長射程ミサイルの開発、大量生産、配備」計画を掲げています。政府は配備先について明らかにしていませんが、沖縄・南西諸島であることは疑いを入れません。
 ●自衛隊の地対艦ミサイルの長射程ミサイルの改良配備、島しょ防衛用高速滑空弾の開発配備、米国から購入するトマホークミサイルの配備、米陸軍の極超音速ミサイルの列島線への配備、米海兵隊「無人ミサイル」の沖縄配備などが共同通信、地元紙の独自取材で報道されています。県、知事は自衛隊、米軍の各種の敵基地攻撃長射程ミサイルの配備について、「沖縄への配備は断じて容認できない」ことを明確に表明し、日米政府に伝達していただきたい。

③台湾有事に対処する「日米共同作戦計画」について。
 ◎共同通信は2月5日、「台湾有事に関する日米共同作戦計画の原案は昨年末に完成。日米共同演習キーン・エッジの演習結果を原案に反映させ 今年末までに正式版を策定」と報じました。石井暁記者は21年12月、「日米共同作戦計画原案」をスクープ。県内40の島々を候補地に米海兵隊が分散展開、ハイマースミサイルで中国艦船を攻撃し自衛隊が支援するー等の内容でした。その「日米共同作戦計画」が完成形になりつつあるとの事です。キーン・エッジ日米共同統合演習は「仮想敵国に中国を明示」しているとのことです。
中国との戦争シナリオにほかなりません。
 ●中国を名指しする「日米共同作戦計画」戦争シナリオに、県、知事は明確に反対し、「計画中止」を日米政府に強く申し入れていただきたい。
 関連して以下の質問を行ないます。
 ・台湾有事「日米共同作戦計画」は沖縄を中国との戦争の攻撃拠点とし、沖縄を戦場とする戦争シナリオにほかなりません。県の見解をうかがいます。
 ・21年12月の共同通信「日米共同作戦計画原案」報道で県はどう対応したか。「計画中止」を日米政府に申し入れたか。「原案」の詳細について情報開示を日米政府に申し入れたか。日米政府の対応はどうだったか。
 ・2月5日の共同通信報道をどう受け止めるか。県としての見解表明、日米政府への情報開示の要求など県の対応をうかがいます。

④「沖縄の被害」を想定する台湾有事に対処する日米作戦について。
 ◎2月7日、地元2紙報道で、岸田首相は、台湾有事による「沖縄の被害想定」について「具体的な数字を詳細に申し上げることは控える」と国会答弁し、「沖縄の被害」を想定していることが明らかになりました。極めて重大な問題です。昨年1月1日の琉球新報報道で防衛研究所・高橋杉雄防衛政策研究室長は、台湾有事が現実となった場合、中国との戦争は「半年から1年、それ以上」の長期戦を想定し、「台湾を含むこの地域はウクライナ以上に破壊される可能性が高い」と見ています。米シンクタンクCSIS報告、防衛省、民間シンクタンクも日米軍、台湾軍、中国軍の損害が甚大であり、住民被害も甚大である可能性を示唆しています。
 ●政府、首相が「沖縄の被害」を想定しながら、台湾有事に自衛隊、米軍が対処するミサイル配備など沖縄の軍備強化を進めることは沖縄県民の生命を蔑ろにするもので断じて容認できません。県、知事は強く抗議し、「県民の犠牲を前提とする沖縄の軍備強化、戦争準備に反対する」ことを表明し、ミサイル配備など軍備強化、共同作戦の中止を日米政府に強く申し入れていただきたい。
 ●共同通信石井暁記者は講演で「台湾有事に米軍が関与すれば安保法制により自衛隊が自動参戦せざるを得ない」、「嘉手納など在沖基地から台湾有事で出動することを止める」、「自衛隊が参戦することを絶対に止める」ことを提起しました。我部政明琉大名誉教授は「台湾有事に米軍が関与すれば嘉手納基地、沖縄が真っ先に標的になる」と指摘しています。県、知事は中台紛争が生じた場合、「在沖米軍基地からの出動、軍事関与することがないよう」、「自衛隊が参戦することがないよう」、日米政府に強く申し入れていただきたい。 関連して以下の質問を行います。
 ・岸田首相は台湾有事で沖縄に被害が及ぶとの認識を示しました。日米政府、自衛隊、米軍が民間施設、住民の犠牲についてどれほどの被害を想定しているか県は情報開示を求めていただきたい。この間、民間、住民被害について質問し、回答を得ているか。
 ・自衛隊、防衛省は石垣市の「離島奪還作戦」計画で、兵力の「残存率30%」まで戦い、一部を残して退却し、増援を得て戦うとの内部資料が国会質疑で明らかにされている。軍民混在する戦闘の兵力「残存率30%」の作戦計画で、石垣市民の「生存率」はどれほどか。この点を県は防衛省にただすべきだ。これまでに質問し回答を得ているか。
 ・岸田首相は上記記事で「石垣市などの先島諸島は沖縄本島や本土から遠距離の離島であり避難の困難性が高い」と国会答弁した。昨年3月、嘉数知事公室長はノーモア沖縄戦の会の申し入れの際、「先島を全島避難とする理由」の質問に対して「離島は避難困難性が高い」と説明しました。当会は「宮古、石垣に空港は一つ。人口130万人の沖縄島も空港は那覇空港一つ。嘉手納、普天間基地のある沖縄島が攻撃目標となる可能性は強く、沖縄島の方が避難困難性は高い」と追及しましたが明確な回答はありませんでした。あらためて県の見解をただします。
 ・岸田首相答弁により「先島全島避難」「沖縄島屋内避難」とする県図上住民保護計画は、政府・防衛省の「先島は批判困難性が高い」との判断によることが明らかになりました。避難計画は政府が先導し、県が追従する計画ではないか。避難・保護計画の策定経緯を明らかにしてもらいたい。
 ・「先島を全島避難」とする計画は、日米の共同作戦計画が先島に攻撃拠点を置く主戦場と位置づけている疑念を拭えません。県の認識と見解をうかがいます。
 ・沖縄島を「屋内避難」とすることに半田滋、布施祐仁氏ら軍事専門家は「自衛隊だけでなく米軍主要基地のある沖縄島は先島以上に攻撃目標となる可能性が高い。屋内避難とする合理的な理由はない」「沖縄島130万人の避難は2カ月を要する。突発する戦争で沖縄島全住民の避難は不可能なことが屋内避難にとどめる理由だ」と指摘しています。あらためて「沖縄島を屋内避難」とする県の判断理由をうかがう。
 ・戦争は突発的に起きる可能性があり、県外避難は「不可能」「実効性がない」と専門家は指摘している。避難シェルターの設置に対しても「実効性がない」と批判がある。宮古、石垣には人口5万人、沖縄島には130万人の「避難シェルター」を設置すべきではないか。不可能で実現困難な全島避難、不合理な屋内避難、全住民を収用する「避難シェルター」が非現実的である以上、それを前提とする沖縄諸島のミサイル配備、戦争準備に県、知事は反対を表明すべきではないか。県、知事の見解をうかがう。⑤特定重要拠点指定に伴う県内空港・港湾の「軍民両用」、軍事化の計画について。
◎沖縄に集中する形で政府・防衛省は全国の空港・港湾の軍備強化を進めている。県は政府の圧力に抗して、県管理空港・港湾の軍事化に向けた整備の政府に対する予算要請を見送り、「防衛省は24年度予算への計上を見送った」と報道されました。県、知事の英断を高く評価します。一方、与那国町長、石垣市長は政府・防衛省に対し空港滑走路の延長や与那国新港(軍港)の整備を要請し、政府も諦めることなく県に対して予算要請を行なうよう働きかけを続けていることが報道され、先島や久米島町の市町長が県に対して「政府に予算要請を行なうよう」要請したと報道されている。これに対し、宮古、石垣、与那国の住民、市民団体は「空港、港湾が軍事利用されれば、有事下で「攻撃目標となり、島外の避難できなくなる」と反対の声を上げています。
 国が管理し自衛隊が軍民共用する那覇空港も、自衛隊機の利用に利便を図る誘導路の増設が計画されています。年明けに羽田空港で滑走路に進入した海上保安庁機に着陸した民間航空機が接触し爆発炎上する事故が起きました。那覇空港では同様に滑走路に進入した自衛隊機と民間航空機の接触事故、民間航空機の前方を自衛隊機が横切るなど、あはや大惨事の重大事故、事態が頻発してきました。専門家は「羽田空港のような事故が那覇空港でも起きかねない。自衛隊機の配備増やスクランブル発進の増加、さらに誘導路増設による軍事使用の増加により危険性が高まる」と指摘しています。
 ●下地島空港ほか県内の県管理空港・港湾の軍事化は、ミサイル配備と同様に沖縄の島々の軍事要塞化にほかなりません。県、知事は毅然として県管理空港・港湾の軍備強化に反対し、政府への予算要請を行なわないことを求めます。
 ●那覇空港は県民の交通・運輸の基幹インフラ、県経済の柱である観光来県の「空の玄関口」です。自衛隊との「軍民共用」は県民、観光客の安全を脅かし、重大事故が度重なる中で県、市町村は「民間専用化」を強く訴えてきました。その那覇空港で自衛隊機の利便を図る誘導路増設、有事下の攻撃を想定する「滑走路修復訓練」など軍事訓練の増加は容認できません。米軍の共同使用の懸念も拭えません。空港の軍事化により「戦時に攻撃目標となり逃げることのできない空港」となれば沖縄観光へのダメージははかり知れません。県、知事は堂々と「誘導路増設」など軍備強化、訓練強化に反対し、自衛隊の共同使用を撤回させる「民間専用化」を力強く訴え続けていただきたい。

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