メルマガ220号

今回のメルマガは具志堅農園顧問の具志堅正己さんからの投稿です。昨年末、耳を疑うような陸上自衛隊演習場新設の計画が報道されたから1か月あまり、国は地元の意向に向き合うことなく、事前説明会を今週11日に予定しています。地元区民は全会一致で反対決議をあげ、さらにうるま市石川地区にある15の自治会でつくる会長会が2月1日に開いた会合のなかで予定地が民家などに近接する訓練場の整備計画に反対することで一致しました。容赦ない軍事強化に地元住民だけでなく、市民が声をあげはじめています。具志堅さんは、ご自身が生れ育った石川で起きた米軍ジェット機墜落事故にふれ、これ以上の軍事強化に対して異議を唱えます。そして、現在の中村市長に対して、「国防は国の事項」だと逃げずに、まっ先に「計画の詳細」を国に問いただし、住民の命と生活を守るために、ありとあらゆる手を打つべきだと、鋭くその姿勢を追及します。ぜひ本稿をお読みください。

うるま市石川に陸自訓練場計画  首長は住民の命の声を聞け

今年は波乱に満ちた年になる予感がした。正月1日の能登半島地震、翌日の日航機と海保機の衝突・炎上。1月10日には辺野古大浦湾側埋め立ての石材投入、遂に沖縄県民の民意を踏みにじる代執行が強行された。
そんな中、希望が持てるニュースがあった。防衛省が今年度中予算案にうるま市石川の東山カントリークラブ跡地一帯の用地を取得する経費を計上した。自衛隊の訓練場として、ヘリの離着陸や地対艦・地対空ミサイル部隊の発射機展開、空包射撃などの訓練をするという。
それに対し、地元の旭区民自治会が臨時総会を開き、区民114人の全会一致で建設計画に反対決議をした。区民の英断にエールを送りたい。ゴルフ場に隣接して住宅地や県立石川青少年の家がある。ここは県内外の青少年が自然とふれあい、集団活動する貴重な場所だ。そのすぐ隣で戦争をする訓練、つまりは人を殺す訓練をするという、それを国はどう青少年に説明するのだろうか。
しかも旭区民は1959年6月30日、米軍ジェト機が墜落した宮森小学校の校区だ。死者18人(児童12人、住民6人)、重軽傷者210人の犠牲者が出た。特に小学2年生の校舎が直撃を受け、火だるまになった子どもたちは、水飲み場まで走り、そのまま次々と息絶えたという。反対決議をした住民には当時の事故体験者もいた。きっとあの悪夢が蘇ったことだろう。
私事だが、私は宮森小学校正門のすぐ前で1951年に生まれた。父がそこで質屋を経営したが、うまくいかず那覇に引っ越した。もし商売がうまくいき、そのままそこに住んでいたら、わたしは8歳、小学2年生だ。そのことを思うとゾッとする。
  自衛隊は同じうるま市の勝連分屯地に地対艦ミサイル配備、隣の沖縄市にミサイル弾薬庫建設計画も進めている。うるま市の中村正人市長は、訓練場に対しては「計画の詳細が不明のため」、ミサイル配備に対しては「国防に関する事項だ」として「コメントを控える」と述べている。
  国ではなく、住民の代表である首長は、「国防は国の事項だ」と逃げずに、まっ先に「計画の詳細」を国に問いただし、住民の命と生活を守るために、ありとあらゆる手を打つべきだ。それが危険を察知したときに鳴くという「炭鉱のカナリア」のような、悲痛な命の声を発している住民に応える唯一の道だ。

具志堅正己(具志堅農園顧問)
※本稿は沖縄タイムスの論壇(2024年1月30日)に掲載されたものを、具志堅さんの了解を得て転載配信しました。

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