メルマガ173号

今回のメルマガは具志堅正巳さんからの投稿です。具志堅さんは現在、監視社会ならん!市民ネット沖縄の会員、「南京・沖縄を結ぶ会」、「沖縄を再び戦勝にさせない県民の会」の運営委員など精力的に沖縄の平和運動に関わられています。今回は「監視社会ならん通信」の原稿を一部加筆修正したものの転載を許可いただきました。11月23日の県民大集会へむけて、いろいろな思いをどうつなぎ、次の世代が戦争に狩りだされないために何が必要なのかを考え、その道のりは「山あり、谷あり、ときに崖崩れありで険しかった」と本音で振り返られています。私たちがどう戦争を止めていくかを考える上でとても示唆に富んでいる本稿をぜひお読みください。

「沖縄を再び戦場にさせない」 県民大集会までの険しい道のり

戦争が廊下の奥に立っていた

 1939年に詠まれた俳句だ。その2年前盧溝橋事変が起き、日中戦争が本格化していく時代だ。いまの沖縄の島々の状況は、戦争が「廊下の奥」どころか、ズカズカと玄関から入り、居間まで来た感がする。しかも、やーにんじゅ(家人)に断りもなく、土足でだ。

 去年12月「安保3文書」閣議決定され、安倍・菅政権が着々と進めてきた「戦争ができる国」から、岸田政権は「戦争する国」へと大きく舵を切った。奄美諸島から沖縄島、宮古、八重山、与那国の島々で、自衛隊の「敵基地攻撃能力」を持ったミサイル基地や弾薬庫が次々とつくられている。これまで基地のなかった北大東島にも、空自のレーダー基地計画が進められている。「入口は小さくして後からどんどん大きくする」、まさに与那国島の二の舞いだ。

 島々で高まる「ここが戦場にされる」の声を受け、安保3文書発表5日後にして、ノーモア沖縄戦命どぅ宝の会が呼びかけ、「戦争に反対する全県組織立ち上げのための準備委員会」が開催された。それから会を重ね、今年2月「沖縄を戦場にするな!2.26緊急集会」を県庁前広場で開催、短い準備期間にしては約1600人が参加した。

 さらに5月には「5.21平和集会」を北谷町公園で開催、ミニコンサート、リレートークの他、うるま市のミサイル展のブースやキッチンカーも出て、若者や家族連れも目立ち、約2200人が集まった。この時点で呼びかけ団体・個人は当初の14から100になっていた。

 会の立ち上げから関わってきた身としては、これまでの道のりは山あり、谷あり、ときに崖崩れありで険しかったというのが正直な思いだ。まず組織づくりの問題。既存の動員力のある団体は、定款で行動範囲が定まっていて、会を主導することが困難ということで、手づくりで新しい組織をつくるしかなかった。

 また、当初から会に参加してきた若い世代から、「〇〇反対」の言葉には拒否感がある。若者に人気のあるルードアルファの『うむい』の歌詞にある「争うよりも愛しなさい」をキャチコピーにしたらと提案があった。それに対し、シニア世代から「いま戦争の危機があるのに何を悠長なことを」とか「善良な隣人ではありえない日米両軍を愛せるのか」などの反論があり、あわや分断の一歩手前まで来た。喧々諤々の議論の末、これまで参加の少なかった若い世代に窓口を広げようと、キャッチコピーに決まった。

 私も使いなれない「愛」という言葉には違和感があったので、少しむぬかんげー(物考え)してみた。去年の慰霊の日にルードアルファさんの『うむい』を目の前で聴いたことがある。沖縄戦で父を亡くした彼のおばあが涙ながらに孫に語った「争うよりも愛しなさい」には、二度と沖縄を戦場にさせないという「うちなーんちゅのうむい」が込められていた。万が一戦争になったら、まっ先に戦場に狩り出されるのは、戦争体験者でも、「戦争知らない子どもたち」世代でもなく、いまの若い世代であり、彼らの子どもたちだ。

 9月24日の「沖縄を戦場にさせない県民の会設立・キックオフ集会」が800人の参加を集め成功をおさめた。これを大きなバネとし、ホップ、ステップと跳んでジャンプの「11.23県民大集会」を成功させるためには、「小異を捨てずに大同につく」の覚悟で、ちむぐくる(肝心)あーちちばらなやーさい。

具志堅正己(監視社会ならん!市民ネット沖縄会員)

「メルマガ173号」への1件の返信

  1. あー、何ということだ。数年前まで夫と二人で働いて、遅がけだったけれど山に登りスキーを楽しみ、映画・演劇・コンサート、本もいっぱい読んでいた。だけど今は一人になって、年金も半分以下の生活。でもまわりを見渡せば、正規で働き続けた私だから年金で何とか食べていけている。災害続きのこの日本のいま、福島で、美味しそうに高級魚を食べて事実を隠そうとする政治家たち、沖縄で、戦場化する基地から命を守ろうと上がる声に行政に冷たいいじめをする政治家たち、これが自分たちの代表なのか!? 子どもたち・若者たちの心の内、金・金の世界に希望はあるか、楽しみはあるか、夢はあるのか。音楽とパホーマンス、踊りの中で、「結婚できるだろうか」と口ごもる顔は、金があってもなくても同じだ。放射能で、武器で、汚染され奪われる地球。年寄りたちが愛し楽しんだあの時代を、若者たちに渡したい!!!

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