メルマガ172号

今回のメルマガは当会事務局長の新垣邦雄さんからの寄稿です。9月24日に開催された「沖縄を再び戦場にさせない県民の会」のキックオフ集会から見える今後の展望、市町村議員が立ち上げた議員の会の立ち上げなど、今起きている沖縄の運動の新たな波について書いていただきました。ぜひお読みください。また文中で案内されている集会や取組みにぜひご参加ください。

沖縄の団結と全国との連帯  「戦争に反対」高まる機運

9月24日「沖縄を戦場にさせない県民の会」設立・キックオフ集会、27日「ミサイル配備断念を求めるうるま市民大集会」。10月12日は、「戦争準備の日米合同訓練反対市民集会」が沖縄市の胡屋十字路で開かれる。ここにきて「沖縄を戦場にさせない」県民、市民の取り組みが大きな盛り上がりを見せている。沖縄の運動に大きな変化と新たな波が起きていることを報告したい。

 「オール沖縄」共同代表が参加
 沖縄市民会館で開かれた「沖縄を戦場にさせない県民の会」(以下「県民の会」)集会は800人が参加した。画期的だったのは「オール沖縄会議」共同代表が来賓あいさつで参加したこと。また市町村議員が立ち上げた「有志の会」が連帯あいさつし、大勢の議員が参加したこと。さらに「有志の会」議員含め、多くの若者世代、特に女性たちがマイクを握り、反対運動の前面に出てきたことだ。

 「オール沖縄会議」は辺野古新基地建設阻止で結集する全県組織だ。保革を超え、「腹六分」の結束を重視するため、台湾有事に向かう沖縄の軍事要塞化・ミサイル基地化反対を明確な活動目標に掲げてこなかった。その「オール沖縄会議」の共同代表が「県民の会」集会に参加し、「沖縄の戦場化に反対する」と表明した意義は大きい。

 「オール沖縄会議」は、市町村の「島ぐるみ会議」が支えている。辺野古新基地阻止の現場行動を支えているのは「島ぐるみ会議」の人々だ。「オール沖縄会議は沖縄の戦場化反対に取り組むべきだ」。そうした多くの声に突き上げられて「オール沖縄会議」は運動の「理念見直し」を市町村の「島ぐるみ会議」に諮っている。「県民の会」集会への共同代表の参加は、「オール沖縄会議」が全組織の総力を挙げて「沖縄の戦場化反対」行動に参画する決意表明にほかならず、沖縄県民の大同団結につながる大きな力となることを期待したい。

市町村議員「有志の会」が連帯
 若手市町村議員を中心とする「有志の会」は基地強化に反対する新たな息吹きとして注目されている。「県民の会」集会では「現在113人が参加し、さらに増え続けている」と報告された。「辺野古新基地に反対する有志の会」の看板を掲げているが、集会で連帯あいさつに立った仲宗根由美北谷町議は「県民の会と連帯し沖縄の戦場化に反対する」と高らかに宣言した。檀上に「有志の会」議員が横並びしピースサインを送る姿は大きなインパクトと勇気を与えてくれた。

若者、女性たちが立ち上がる
 マイクを握った女性たち。「祖母は家族7人を沖縄戦で失った」。「沖縄の美しい自然、文化。平和に暮らす私たちの生活を戦争で失いなくない」。女性たちの言葉は深い感動と共感で会場全体を包んだ。

 「県民の会」は11月23日に大規模な県民集会を計画している。若者たちはさまざまなアイデアを練っている。その一つ、「スイミーバイ」(反戦の絵筆)が披露された。小魚が団結する絵本「スイミー」にならう。沖縄の大衆魚「ミーバイ」にひっかけた。「一人ひとりが思いを込めた絵を持ち寄ってエネルギーを結集する大きなスイミーバイの絵を描こう」というパフォーマンスだ。

 女性たちは独自の動きも作り出している。「反戦平和」を訴えるイエローリボン着用の呼びかけ。9月30日は那覇新都心で「女性の声で政治を変えよう」スタンディング&リレートークを実施する。

 「県民の会」は、市民運動の性格が強い。既成の政党や労組の縦割り組織でなく、「賛同する団体、個人」の党派を越えた自由参加を基調とする。その中で、市町村議員「有志の会」や若者世代、女性たちが活動の中心を担う動きは、これまで政治に距離を置いていた県民の草の根的な「戦争反対」運動の広がりを予感させる。

 27日「ミサイル配備断念を求めるうるま市民大集会」にはうるま市民だけでなく那覇、名護などからの参加もあり、520人が参加した。市町村議員「有志の会」からも多数が駆け付けた。ミサイル配備を容認するうるま市長に配備断念要求と説明会を求める署名活動がスタートした。反戦平和運動の全国組織「ZENKO」も「台湾有事NO! 沖縄戦を繰り返すな」の全国署名活動で連帯した。

「大分敷戸市民の会」が連帯メッセージ
 うるま市民集会で特筆されるのは大分の「大分敷戸ミサイル弾薬庫問題を考える市民の会」が連帯メッセージを寄せてくれたことだ。大分では「住宅密集地の真ん中」にある自衛隊基地に「長射程ミサイルの弾薬庫建設」、「長射程ミサイル部隊の配備」が計画されている。台湾有事をにらむ「戦争準備」は沖縄だけでなく九州でも始まっている。大分の「市民の会」は、有事に「攻撃目標になる」と強い危機感を抱き、戦場化に反対する「沖縄・九州の連帯」をメッセージで伝えた。「ZENKO」の「沖縄戦を繰り返すな」全国署名活動と同様に、「日本が戦争をする国となり戦場となることに反対する」国内各地の連帯行動が動き出している。

 「弾薬庫建設に反対する沖縄市民の会」は、「うるま市のミサイル配備」と「沖縄市の弾薬庫建設」に反対すると同時に10月14日から始まる大規模な日米合同演習「レゾリユート・ドラゴン」の中止を訴える「沖縄市胡屋十字路集会・デモ行進」を提起した。嘉手納爆音、普天間爆音訴訟団、中部地区労など多くの団体が実行委員会に加わる。10月12日の胡屋十字路集会は千人規模を目指し、米軍嘉手納基地のメインゲート(第2ゲート)に向かうデモと、ミサイル弾薬庫を容認する沖縄市長への抗議を込めて沖縄市役所に向かうデモの二手に分かれて行動を展開する。
 沖縄島(本島)は、「自衛隊基地だけでなく米軍の主要基地があり、先島以上に台湾有事で攻撃目標、戦場となる危険性は大きい」と半田滋氏、布施祐仁氏ら軍事に詳しいジャーナリストが指摘している、軍事専門家は「台湾有事に米軍が関与すれば嘉手納が最初の標的になる」と指摘している。その危機感を背に、ミサイルが配備される「うるま市民の会」、ミサイル弾薬庫を抱える「沖縄市民の会」が沖縄島の反対運動の前面に立ち、けん引役を担う意義は大きい。

 前記したように9月24日「県民の会」集会には800人が参加した。11月23日の「県民大集会」は「万人規模」の結集を目指している。9月24日のキックオフ集会の10倍、100倍のエネルギーが必要になる。「オール沖縄」の参画、市町村議員「有志の会」、そして若者、女性たちの〝草の根〟の運動の広がりをいかに大きく作り出せるかがカギを握る。9月24日集会には自治労など有力労組の組織参加はなかった。市民運動的な広がりと同時に、「オール沖縄」や労組、それを束ねる「平和運動センター」などの組織行動も成否を握る重要な要素となるだろう。

全国から奥武山公園に結集を
 ノーモア沖縄戦の会は、11月23日「県民大集会」と併せて、全国から集う団体、有志が一堂に会する「全国会議=意見交換会」を考えている。また全国の参加団体を案内する嘉手納基地、普天間基地、うるま市勝連陸自ミサイル基地、沖縄市ミサイル弾薬庫などの「視察学習」をうるま市民の会、沖縄市民の会と相談している。
 沖縄の新たな反対運動の息吹、取り組みに呼応し、全国の多くの団体、有志が沖縄の「11・23県民大集会」に結集してほしい。

新垣邦雄(当会発起人・事務局長)

「メルマガ172号」への1件の返信

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

以下の注意事項をご確認の上、良識あるコメントにご協力ください

  • コメントをいただいてから掲載まで、お時間をいただくことがございます。
  • 各コメントに対して当会より個別の返信はおこないません。回答を必要とする当会へのお問合せは、お問合せフォームにてお受けいたします。
  • 当会の目的や参加者の交流促進に寄与しないと当会が判断したコメントは、掲載を見送らせていただく場合がございます。
  • 投稿コメントの公開を希望しない場合は、コメントの記入欄にその旨ご記載ください。また、お名前のみ公開を希望しない場合、お名前欄にペンネームをご記入ください。

*