メルマガ149号

今回のメルマガは当会発起人の新垣邦雄さんからの投稿です。7月に入り、久米島での米軍訓練、自衛隊による琉球石灰岩の掘削調査・訓練という重大な動きが県内紙で報じられました。久米島にオスプレイが来ることは、米軍基地負担が重くなるということ以上に、米軍が水の供給が可能な40ヶ所の有人島で展開する「EABO(遠征前方基地作戦)」の実戦訓練であり、戦争準備であるということが有識者、二紙の社説でも指摘しています。琉球石灰岩の掘削調査は沖縄戦で、地下に多くの陣地を作り、長期戦に備えようとした日本軍の動きと重なり、着々と基地の地下化をすすめていく端緒であると考えられます。看過できないこの問題について解説をぜひお読みください。

米軍が久米島で初訓練ー「日米共同作戦」の実戦想定

米海兵隊が島々に展開
 7月11日沖縄2紙に「米軍 久米島で訓練」(タイムス)、「オスプレイ人員輸送」(新報)の記事が載りました。オスプレイが久米島に展開するのは初めて。両紙は米海兵隊が少人数で離島に分散展開し攻撃拠点を設ける「EABO(遠征前方基地作戦)」と報じている。
単に久米島だけの問題ではない。台湾有事に対処する「日米共同作戦計画」の県内離島への「実戦訓練」の先駆けと受け止められています。

 12日沖縄タイムス社説は「台湾有事を想定した日米共同作戦計画の原案では、南西諸島にある200弱の島のうち約40カ所を軍事拠点としてする可能性を取り上げている。水を受給することが条件で、大半が有人島になる。このような戦略や計画を基に、米軍が県内の他の島々屁へも活動の範囲を広げていく懸念は拭えない」と明快に指摘しました。全く同感です。また同社説は「沖縄を再び戦場とする想定の、いかなる戦略、構想、訓練にも反対する」と明快に打ち出しました。まったくその通りだと思います。

琉球石灰岩に陣地構築
 沖縄では沖縄を戦場と想定し、自衛隊による陣地構築のための「琉球石灰岩の掘削検査・訓練」が実施されていることが判明しました。去る大戦の首里城地下日本軍司令部壕のように、沖縄に戦争準備の陣地構築を進める狙いです。「北大東村への自衛隊レーダー配備」も報道されました。沖縄島(本島)からはるか東の北大東村へのレーダー配備は、いったい「何から何を守る」ためでしょうか。第一列島線(南西諸島ー台湾ーフィリピン)を突破した中国軍を「中国から米国本土を守る」ための防衛ラインが目的ではないのか。北大東島(村)も、中国軍を撃退する米軍「EABO」作戦に組み込まれるのではないか。そのような疑念を拭えません。

 米海兵隊が久米島に展開する「EABO」作戦訓練は、台湾有事=中国との戦争、に向けた「実戦訓練」と筆者は見ます。タイムス社説も同様に捉えています。筆者は、「日米共同作戦計画原案」をスクープした共同通信・石井暁専任編集委員、軍事シャーなリストの小西誠氏に「台湾有事対処の実戦訓練ではないか」と質問しました。両氏とも同じように見ています。そして、両氏ともに久米島を皮切りに、「台湾有事に対処するため想定する島々で同様の訓練を重ねていく」と見ています。

「水のある40の島」
 2021年12月24日地元2紙に掲載された「日米共同作戦計画(原案)」はどのような内容だったか。やや乱暴に要約すると「米海兵隊はEABO作戦訓練を下敷きに、有人、無人の水のある40の島に、臨時攻撃拠点を設ける。米軍の高軌道ロケット砲・ハイマースを投入し、海上の敵艦船を攻撃し、米軍艦船の活動を容易にする。自衛隊が支援する。米軍は小規模部隊で島から島に展開する」というものでした。石井暁記者の記事は、40の島々を明示せず、与那国、石垣、宮古の自衛隊基地所在の島々も含まれる、としていました。島名を明示しなかったのは島々の住民に不安を与えないように、との配慮であったと思料します。

 今回の報道で、久米島が、米軍が想定する「臨時攻撃拠点」の一つであることが明らかになりました。米軍が従来、EABO訓練の拠点としている伊江島が含まれることは間違いないでしょう。「臨時攻撃拠点」を設置する条件は「水のある島」、つまり水道のある島です。間違いなく有人離島が対象になります。「40の島々」を想像すると、私たちが知っている有人島=人間の住んでいる島、のほとんどが、米軍の「臨時攻撃拠点」に含まれていると考えても決して被害妄想ではないと思います。沖縄県民、あなたの住んでいる島が、米軍の「臨時攻撃拠点」になる。米軍のハイマースロケットが持ち込まれ、中国との戦争の戦場になるということでしょう。

沖縄県は「静観」
 久米島で米軍が訓練、の報道に対し、「(沖縄)県は、日米地位協定で米軍の久米島分屯基地使用が認められていることを理由に、静観する構え」(タイムス社説)とのことです。また久米島町長は「住宅地上空を飛ばない、夜間飛行をしない、町民生活への影響を最小限にとどめる」(琉球新報)と容認姿勢です。

 県民、住民の安全に責任を持つ沖縄県、町長の対応としてはあまりに生ぬるいと言わざるをえません。久米島で米軍が初訓練をする。このことを「地位協定で許されている」とか、「住民生活への影響を抑える」など、基地負担の増減のレベルで捉えるのは、問題の本質を見誤っています。つまり、平時(戦争時ではない)の「基地負担」の問題ではなく、有事(戦争)を想定する「戦争準備」の問題と正しく認識する必要があります。

「沖縄を戦場と想定する戦略、訓練に反対」
 その意味で沖縄タイムス社説は本質を明確に捉えています。「沖縄を戦場と想定するいかなる戦略、構想、訓練にも反対する」。沖縄県、久米島町長には厳しい現実認識に基づき、「戦争準備の訓練には反対する」と明確に打ち出すことを提起します。

 米軍、自衛隊が想定しているであろう有人離島の自治体、住民にも同様に提起したい。地元2紙、石井さん、小西さんが懸念するように、久米島を皮切りに県内の島々で同様な米軍・自衛隊の訓練が展開されることになるはずです。「NO」と言わなければ、島々の戦場化を容認するという誤った意思表示とみなされかねません。

 台湾有事の「臨時攻撃拠点」は、久米島や伊江島だけでなく、自衛隊のミサイル部隊が配備される沖縄島(本島)、宮古、石垣、与那国、奄美大島など、琉球列島の大小の島々がすべて含まれるということです。「有人、無人の水のある40の島々」が対象であることを、しっかり認識しなければなりません。

 沖縄の戦場化を憂える県内の各団体、有志は「戦場化に反対する全県組織」を近々、立ち上げます。「琉球石灰岩を掘削」する陣地構築検証・訓練、久米島を皮切りとする戦争準備の実戦訓練は、琉球列島全体を戦場とする画策にほかなりません。「沖縄を戦場と想定するいかなる戦略、構想、訓練に反対する」。このことを沖縄県、全ての市町村、県民に訴え、中止要求の連帯を広げていかねばなりません。


新垣邦雄(当会発起人)

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