宮城晴美(沖縄女性史家) 「あの時、なぜ戦争に反対しなかったの?」 沖縄戦の体験談を聞いた時、そう問うたり、疑問を持った経験はありませんでしょうか。いま、まさに私たちに向けられている言葉のような気がします。新基地建設反対の民意は無視され、〝離島防衛〟の名の元に軍備が強化されつつあるいま、沖縄の地勢は「戦前」の域に差しかかっているといっても過言ではありません。次世代から、今度は私たちが問われる番です。戦争は絶対ダメ!まず、声をあげましょう。
石原昌家(沖縄国際大学名誉教授・平和学) ノーモア沖縄戦は、戦争を体験した人たちの強い願いでした。にもかかわらず、沖縄戦終結直後から、沖縄は今日まで常に、米軍の他国・他民族を殺りくする出撃・出動基地にされ、沖縄は否応なしに加害の島にされてきました。とくに尖閣諸島の国有化以後、中国が軍事行動を活発化させています。それを理由に、日本は米国と共同で、琉球弧・南西諸島の軍事化と軍事演習を大規模に展開しています。それは「台湾有事」の現実化とともに、まずは、ミサイル基地化した八重山、宮古が直接戦争に巻き込まれ、沖縄島(本島)、日本列島全体が戦争に巻き込まれる危機が迫っています。沖縄戦前夜どころか、沖縄戦寸前だという危機意識を共有しましょう。「戦争をおこすな」の声が、全国一斉に鳴り響くよう、まず、第一声を沖縄から発しましょう。
具志堅隆松(遺骨収集ボランティア) 私達県民はこれまで、戦争につながる軍事基地の存在や建設に異議を唱えてきました。それは軍事基地のある地域が攻撃目標になることを沖縄戦を通じて身をもって体験しているからです。今、沖縄を取り巻く状況は、台湾有事によって沖縄が攻撃目標になることを日米両国共に認めています。これは沖縄が核戦争の戦場になるということも同然です。この危機を現実のものとして私たちは受けとめなければなりません。そして私達は、この危機を回避するためにアメリカ、中国、日本に対して声を上げます。県民の皆様も共に声を上げてください。
ダグラス・ラミス(国際政治学者・元海兵隊員) もし「台湾有事」が始まると、鹿児島県南部から沖縄県までの住民は戦争に巻き込まれるだろう、と日米両政府の2プラス2が発言した。なるほど。日米が中国と戦争したとしても、その戦争の暴力を鹿児島・沖縄県内に制限できると思い込んでいるのだろうか。日本本土の皆さん、だまされないで!司令部は東京の横田基地にある。日本国内のどこまでも広がりそうな戦争と一切協力しないで、我々と一緒に止めましょう。 ヌチドゥ、タカラ。
山城博治(平和運動家) 日米両政府は、沖縄・鹿児島両県にまたがる「南西」諸島=琉球弧全域を対中国戦争の最前線基地に仕立て上げようと躍起です。私たちは再び島々が戦場となることを断じて許しません。いったん戦争が起きれば日本の社会は根本から作り変えられ、戦前並みの軍事国家になってしまうこと必定です。手を取り合いましょう。意識的に作られようとする「有事」勃発、戦争勃発を止めていきましょう。 再びの沖縄戦NO。再びの戦争国家NO!
三上智恵(映画監督) 隣の国は攻めてくるのか、来ないのか。軍隊がいた方が安心なのか、逆に危ないのか。自衛隊を肯定するか、否定するか。人それぞれに意見は違うでしょう。でも誰かの安心のために、私たちの住む島々を戦場にしてもいいという人は誰もいないはずです。この地域を戦場にするもやむなしとする軍事計画が明らかになった今「私たちの島を再び戦争に使うなど、キッパリ断ります」と声を上げなければ、認めたも同然。立場やイデオロギーを超えて、命を守るその一点で共に行動しましょう!
與那覇有羽(唄者・民具作家 与那国在住) 歌 むどぅてぃ くようんでぃ うぐい だらしゃんが つだりぬ はぐてぃに なてぃどぅ むどぅたんでゃ 訳 戻って 来なよと (あなたを)送り出したのだが 白い小箱に なって 帰って来たんだ この歌は私が2018年6月23日与那国島、比川浜で歌ったトゥバルマの一節である。言うまでもないが沖縄戦を歌っている。こんなことが二度とあってはならない、記憶に留めねばと歌った。しかし今の現状はいかがであろう…。誰のための戦いのか? 戦(イクサ)を繰り返してはならない。今、断固たる平和を沖縄から日本、米国、中国へ、世界へ伝えねばならない。それは特別な行動ではない。人としてあたりまえのことである。沖縄へ関わる全ての人々へ。あなたの一言、一挙一動が沖縄の未来を創ると私は信じている。私は何度でも歌う。平和な沖縄の未来をあなたとともに。
高嶺朝一(琉球新報元社長) 東京とワシントン政府、マスコミの多くで、対中国の考え方と論議が軍事化されていることが緊張を煽(あお)る結果になっています。これ以上の軍事化は不可能と思えるくらいです。列島と海は軍事基地、艦艇、軍用機、最新のミサイルなど兵器で埋まっています。さらに最新兵器の配備も計画されています。そのような状況そのものが危険だと思います。米国・日本と中国の首脳は話し合いをすることで、偶発的な衝突を避けるべきです。できると思います。軍事化以外の気候変動、海洋環境汚染防止、海洋資源の確保や新型コロナ対策とポストコロナの経済回復策、特に観光産業の回復に向けてどのような協力関係をつくれるかなど差し迫った共通の課題に目を向けることが必要です。そこから話し合いを始めてもいいのではないでしょうか。沖縄に住むわたしたちは列島の軍事化に反対し、軍事化以外のいま直面している諸課題の解決に向けて、中国と話し合ってほしいということを日米両政府に要望し、「県民の会」設立趣旨に賛同し、県内外の人々に訴えたいと思います。
伊佐眞一(沖縄近現代史家) いま、米軍と自衛隊が中国に向けて最新のミサイルや軍艦を配備しています。そして標的にされた中国は、奄美や沖縄を攻撃目標として照準を定めています。かつて1944年、第32軍が進駐して沖縄を要塞化したあと、いったい何が起こったでしょうか。あのとき沖縄の人たちは日本軍が沖縄を守ってくれると信じたのですが、実際は10月10日の猛爆撃とその後の凄惨な沖縄戦でした。これと同じことがまた起こっても不思議でない事態が進行しています。空想でなく、現実味をおびているだけに、身震いするのです。二度と絶対に私たちの島々を戦場にしてはなりません。そのためにも、一人でも多くの人が強い声を上げてほしいと思います。
宮城恵美子(元琉球大学教員) 現在、日米両政府は、琉球弧の島々を日米軍事要塞の島に変えつつある。本来、政治は平和的に対話し外交を行うべきであるにも関わらず、現在の日米政府は真逆の政策をとっている。台湾有事は日本有事とあおっている。もしも一旦火の手が上がれば島民の逃げ場はない。島民を血の海に投げ込む政策を止めさせねばならない。過剰な基地負担は構造的差別と呼ばれて久しいが、今の状況は構造的迫害である。私たちは二度と沖縄を戦場にさせてはいけない。
前泊博盛(沖縄国際大学教授) 「戦争誘発する軍軍強依存の危機」 自衛隊の軍備増強の中で、外交小国・日本の現状が明らかになった。戦後最長の外務大臣就任期間を誇る岸田首相が、軍事強依存の外交無策を露呈している。そのツケを沖縄が払わされ、犠牲を強いられようとしている。このままでは、沖縄戦の時と同様に「捨て石」にされかねない。自衛隊ミサイル部隊の先島配備で沖縄は主要島嶼が「標的の島」化されている。平時に米軍コロナも防げない日米安保体制の中で、有事にどれほどの国民が犠牲になるのであろうか。いまこそ国民も含め岸田政権には「軍事強依存」から「外交強国」への脱皮を求めたい。
新垣邦雄(団体職員) 米軍機の飛行訓練が増えた。前泊博盛沖国大教授が言うように戦闘機とは異なる航空機の飛行も目にする。かつてなかった光景だ。台湾有事に向けた米国民の避難のための離発着訓練ではないか。皮膚感覚が戦争の危機を訴える。米国はベトナム、湾岸、イラク、アフガンと計画した戦争を実行してきた。次の戦争は沖縄を戦場と想定している。初孫の写メを見るたび、やるせない思いになる。子孫、これから生まれる子どもたちのために戦争計画を止めるしかない。
桜井国俊(沖縄大学元学長) 「明日では遅すぎる」 沖縄県民は辺野古新基地NOの意思表示をしたが、政府はそれを無視し建設を強行してきた。そして今、政府は、沖縄の声を一切聞くことなく、米国のお先棒を担いで琉球弧の島々のミサイル基地化を進めようとしている。首相も「敵基地攻撃能力」などという憲法違反の言葉を平気で使う。しかしメディアからも国民からも大きなNOの声が挙がらない。日米両軍がミサイル基地を整備すれば対岸の中国も当然整備する。まさに一触即発の危機。いつ沖縄が戦場になってもおかしくない。NOの声を挙げるのは今しかない。
与那覇恵子(名桜大学非常勤講師) 10年前から沖縄戦を体験した方達が「戦前に酷似している」と警告してきたにも関わら ず、安倍政治が支配する日本は、ついに彼の目標である「戦争のできる国」に作り替えら れてしまった。米国隷属の宿痾から抜け出せない日本は、安倍元首相の号令一下、米国の 代理戦争、日中戦争の準備を整え沖縄(南西諸島)を再び戦場にする。奇しくも復帰50周 年、自らの命を守るため、沖縄は怒りを力に変え日米政府に一丸となって抵抗する。命ド ゥ宝!