今回は「南西諸島軍事強化トピック」です。毎日更新している沖縄「戦前新聞」の情報を当会発揮人の新垣邦雄さんに解説していただいています。年初から軍事強化、軍拡の記事が毎日、洪水のようにあふれかえり、毎朝の記事を確認するのが憂鬱になります。しかし、この状況をしっかりとつかみ、何が起きているのか、この解説で頭の整理をし、今私たちが何をすべきかを考えていければと思います。ぜひご覧ください。
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南西諸島軍事強化トピック (1月30日~2月5日)
◇防衛強化「不支持」51% 県民世論調査 反撃能力「反対」55% (琉球新報 2023/1.31)
◇「最前線化」危機感 自衛隊強化反対54% 「他国標的に」「負担増」(琉球新報 2023/1.31)
◇記者席 国場幸之助自民党国防部会長(衆院議員)「戦争体験者の言葉」(琉球新報 2023/1.31)
防衛強化・反撃能力反対ーかろうじて過半
琉球新報の県民世論調査で「防衛強化不支持51%」「反撃能力反対55%」。反対が上回ったとはいえ、かろうじての過半にとどまる。全国調査では防衛強化、反撃能力支持が多数を占める。「南西防衛強化」で有事に戦場となる沖縄県民の意識がこの現状は、極めて危機的な状況と認識する必要がある。県民調査の全体では「防衛強化不支持」が過半を維持しながら、南西諸島の軍備強化に「30代の8割が賛成」し、20~30代の若者世代は「抑止力は必要」と判断する傾向にあると解説されている。
日米政府は「中国脅威論」を宣伝し、あたかも中国が沖縄、日本に攻め込んでくるような印象操作で「南西諸島の防衛強化」、「反撃力=敵基地攻撃」の「長射程ミサイルの南西諸島配備」を正当化しようとしている。その印象操作に国民、県民が惑わされ、「南西諸島のミサイル要塞化」を国民が支持し、県民も若者世代を中心に「ミサイル配備も抑止力のために仕方がない」と受け入れる傾向にあること、反対運動の側にいる私たちが不利な情勢にあることを厳しく見つめる必要がある。
「戦争するな」と釘刺される自民国防部会長
県民に「国防強化」「南西防衛強化」を受け入れさせる旗振り役となるのが、沖縄選出の衆院議員で自民党国防部会長の国場幸之助氏だ。琉球新報の「記者席」で国場氏は「県内各地で説明会を開きたい」と語っている。大いに歓迎したい。私(新垣)は国場氏ら「防衛強化推進派」と「防衛強化反対派」の「公開討論会」を新報論壇で提起している。国場氏には防衛強化、反撃能力(敵基地攻撃力)、南西諸島のミサイル配備を推進する立場から公開討論会に出席し、政治家としての信念を開陳いただきたい。国場氏は沖縄戦体験者から「絶対に戦争をしてはいけないと釘を刺されている」とも語っている。「沖縄戦の地獄図を子孫に味わわさせるわけにはいかない」(玉寄哲永さん、88歳)と訴える戦争体験者と胸襟開いて「沖縄を二度と戦場にしない」ための信念と決意を語っていただきたい。
◇意外と知らない有事の話 「台湾有事は日本有事?」 一線画す選択も可能 安保法 参戦断る理由消す(沖縄タイムス 2023/1.30)
戦争が「できる国」から「戦争をする国」へ
沖縄タイムスは「意外と知らない有事の話」を連載している。第8回(1月30日)で石井暁・共同通信専任編集委員は「安倍氏が戦争を『できる国』に変え、岸田氏が戦争を『する国』に変えた」と語った。タイムス阿部岳編集委員のインタビュー記事だ。
「安倍氏が(日本を)戦争をできる国に変えた」とはどういうことか。沖縄での講演で石井氏は、「絶対に日本がアメリカの戦争に巻き込まれることはない、と安倍首相が国民、国会を騙して成立された安保法制により、米国が中国と交戦した場合、日本は断ることができず自衛隊は参戦せざるを得ない」と語った。安倍氏が作った「安保法制=自衛隊の自動参戦装置」が「日本が戦争をできる国」にしたということだ。
「岸田氏が戦争をする国に変えた」とはどういうことか。昨年末、岸田政権は国民への説明、国会論議もないまま軍事(安保)3文書を決定し、「敵基地攻撃能力保有」を決めた。
中国に届くミサイル開発と南西諸島への大量配備を決め、防衛予算に米トマホークの大量購入、ミサイル開発を盛り込んだ。軍事3文書に続く日米2プラス2(日米防衛、閣僚協議)と日米首脳会談は「力による現状変更(台湾有事)」に対する「統合抑止」を宣言した。中国との戦争態勢を整え、日米統合演習は激化している。台湾有事に即応する「戦争をする国」づくりに岸田政権が乗り出した。それが石井氏の言わんとするところだろう。
日米安保を守るのか国民の命を守るのか
タイムス記事で石井氏は「冷たいようだが、台湾有事を内戦と捉えて線を引くことは可能だ。台湾有事は日本有事、と自明のごとく考えるのはおかしい」と指摘した。台湾有事に米軍が関与すれば自衛隊が自動参戦せざるを得ない。そうなれば沖縄だけでなく日本全体が戦場になりかねない、と石井氏はじめ多くの軍事専門家が指摘している。「日米安保を至上のものとして守るのか、それとも国民の命を守るのか」と石井氏は問いかける。
ノーモア沖縄戦の会は、石井氏、小西誠氏を招いた講演会を3月12日に沖縄・宜野湾市民会館で予定している。石井氏と相談し、石井氏の講演タイトルは「戦争ができる国から戦争をする国へ」とすることにした。軍事ジャーナリストの小西氏には、日米の軍事戦略文書、シンクタンクの報告・提言を読み解いていただき、南西有事の戦争はどこで始まりどのように沖縄、日本を戦場化していくか「台湾有事シミュレーション=戦争シナリオ」を詳細に解説していただく。
小西氏は「もはや戦争準備から臨戦、戦時態勢に移行しつつある」「現実を国民はリアルに認識する必要がある」と話している。
◇存立危機で反撃力行使 首相、具体例は説明せず 防衛増税「柔軟に判断」(沖縄タイムス 2023/1.31)
◇攻撃着手の定義「困難」 衆院予算委 反撃力行使で防衛相(沖縄タイムス 2023/2.4)
◇石垣市長、反撃能力を容認 平時の空港・港湾使用「協力する」(琉球新報 2023/2.5)
◇自衛隊南西シフトを問う 揺らぐ石垣 「発射地に」懸念広がる 与野党意見書、不安映す(琉球新報 2023/2.5)
台湾有事(中国の台湾武力統一の試み)が起こりうる場合に、日本、自衛隊はどのように関与し、「敵基地攻撃(反撃)力」を行使するのか。岸田首相は通常国会冒頭の施政方針演説で「南西地域の防衛体制の抜本強化」を表明し、衆院予算委員会で「存立危機事態で反撃能力(敵基地攻撃)を発動」と言明した。沖縄の島々にミサイルを配備して事態に備え、日本の「存立危機」事態とみなせば自衛隊が敵基地攻撃に踏み切るというのだ。
敵基地攻撃ー首相「手の内明かせない」
それでは、どのような局面で敵基地攻撃を発動するのか。岸田首相は予算委での質疑で「手の内は明かせない」と繰り返し、のらりくらりと追及をかわし続けた。「存立危機事態」認定は米軍への攻撃をも「存立危機」とみなして自衛隊を自動参戦をさせる仕組みだが、「日本が直接攻撃を受けていなくても敵基地攻撃を発動できるのか」の肝心な質問にも首相は、禅問答のような答弁で明快な説明を拒んだ。防衛省が開発仲のミサイルの射程についてすら浜田防衛相は説明を拒んだ。
共同通信・石井氏は沖縄での講演で、「日本がまったく攻撃されていない段階で自衛隊が敵基地攻撃する可能性」を指摘していた。
台湾有事が起こりうるとして米軍、自衛隊はどのように関与するのか。米軍がどのように関与し、自衛隊が巻き込まれていくのか。自衛隊はどのような局面で「敵危機攻撃」を発動するのか、想定される具体的な事例の説明はなされず、「敵基地攻撃」の実態は厚いベールに覆われたままだ。一方で日米は、台湾有事を想定する大掛かりな共同演習を繰り返している。日米軍が想定する戦争シナリオを国民があずかり知らぬまま戦争準備の実戦訓練が積み重ねられている。このままでは「ある日突然」戦争が始まり、沖縄が最前線基地となり戦火が日本全体に広がることになりかねない。
石垣市長は容認
中山義隆石垣市長は琉球新報社の取材に「反撃能力を容認」する見解を示した。記者の質問「反撃能力(敵基地攻撃能力)を行使できる装備が石垣島に配備される可能性がある」との問いに「武力行使3要件を満たして行使するという話で、あくまで専守防衛にこだわっていると認識している。仮に配備となっても大きな懸念はなく、基本的に容認だ」と明言した。自衛隊による平時の空港・港湾の使用についても「平時の使用促進について特に異論はない」と断言した。
石垣が「捨て駒」に
しかし保守系議員からも不安の声は漏れる。新報の取材にかつて八重山防衛協会事務局長を務めた野党の砥板芳行市議は「『台湾有事』を前提にした議論の中での長射程ミサイルの配備は、石垣を捨て駒にしてしまうということだ。要塞化どころか最前線しかねない」と不信感を口にした。同議員は「保守層からも不安の声が寄せられ、島外への移住を検討する市民もいる」と明かした、という。
自衛隊を容認、ミサイル部隊配備も容認してきた保守系議員、保守層の間にも「長射程ミサイルの配備」により動揺や反対に転じる亀裂の動きが出てきている。島々に配備される「敵基地攻撃」力を有するミサイルが、どのように運用されることになるのかを明らかにすることは、ミサイル配備反対運動が反転攻勢に転ずる機会となるはずだ。
3月12日の小西氏、石井氏の講演会でベールに覆われた「敵基地攻撃」の実態、米軍と自衛隊は「どのように戦争をするのか」を明らかにしていきたい。
1月30日(月)https://nomore-okinawasen.org/5496/
沖縄住民避難 3月図上訓練 政府 県と先島5市町村参加 初実施、台湾有事想定(琉球新報 2023.1.30)
意外と知らない「有事」の話 ⑧ 一線画す選択も可能 安保法 参戦断る理由消す(沖縄タイムス 2023.1.30)
基地着工 安保激変 @馬毛島 自衛隊と関係構築着々 中種子・南種子町(琉球新報 2023.1.66)
中国と対話継続大事 「不幸な歴史に向き合い、未来に過ちなきよう」 村山談話作成の谷野作太郎氏 「日本の心配を気後れせずに伝えて」(琉球新報 2023.1.30)
社説 一方的増税問いただせ 国会論戦(沖縄タイムス 2023.1.30)
社説 平和ガイドアピール 切実な声、重く受け止めて(琉球新報 2023.1.30)
1月31日(火)https://nomore-okinawasen.org/5527/
防衛強化「不支持」51% 本紙・JX通信県民世論調査 反撃能力「反対」55% 増税「不支持」 74%(琉球新報 2023.1.31)
政府と県民 溝深く 反撃能力で「緊張」61% 「抑止力向上ならず」過半数 インフラ使用反対58% 若年層は賛成多く 抑止力一辺倒に疑念 意見示す手続きなく(琉球新報 2023.1.31)
「最前線化」危機感 県民世論調査 自衛隊強化反対54% 「他国標的に」{負担増)(琉球新報 2023.1.31)
意外と知らない 「有事」の話 ■9 近い将来の衝突否定 米国内は「戦争必至」の見方だけ? 調査会社「リスクもどき」(沖縄タイムス 2023.1.31)
存立危機で反撃力行使 首相、具体例は説明せず 防衛増税「柔軟に判断」(沖縄タイムス 2023.1.31)
存立危機で反撃力行使 首相、具体例は説明せず 防衛増税「柔軟に判断」(沖縄タイムス 2023.1.31)
台湾有事勃発を警告 米軍幹部「25年までに」(沖縄タイムス 2023.1.31)
2月1日(水)https://nomore-okinawasen.org/5547/
基地着工 安保激変 @馬毛島 家賃高騰 都会並みに 宿舎争奪戦 収容も限界、観光に影(琉球新報 2023.2.1)
新戦略構想で増加も 米軍つり下げ訓練 過去に車両、コンテナ落下(琉球新報 2023.2.1)
土地規制 利用状況調査へ 重要施設 5都道県初実施 南西諸島 追加見通し(沖縄タイムス 2023.2.1)
権利と安保の両立課題(沖縄タイムス 2023.2.1)
権利と安保の両立課題(沖縄タイムス 2023.2.1)
社説 沖縄の危機感に向き合え(琉球新報 2023.2.1)
2月2日(木)https://nomore-okinawasen.org/5568/
「台湾有事」を起こさせない 対話プロジェクトに寄せて 我部政明 戦争回避の出発点に 台湾の専門家と意見交換(琉球新報 2023.2.2)
リポート’23 石垣発 陸自駐屯地 来月に開設予定 閣議決定で基地機能強化 長射程ミサイル配備へ(沖縄タイムス 2023.2.2)
基地着工 安保激変@馬毛島 南日本新聞社提供 ⑦ 南日本新聞社提供 ひずみ 高額日当で人材引き抜き(琉球新報 2023.2.2)
基地着工 安保激変@馬毛島 南日本新聞社提供 ⑦ 南日本新聞社提供 ひずみ 高額日当で人材引き抜き(琉球新報 2023.2.2)
地元反応見極め運用拡大 米軍、ヘリ輸送を重要視(沖縄タイムス 2023.2.2)
2月3日(金)https://nomore-okinawasen.org/5582/
想い風(うむいかじ) 有事の「舞台作り」着々 米の「ウクライナ戦略理論」 沖縄平和理論の構築を(沖縄タイムス 2023.2.3)
馬毛島基地 賛成できぬ 西之表市長 工事中止は求めず(琉球新報 2023.2.3)
米、新たに比4基地使用 台湾・南シナ海で中国抑止(沖縄タイムス 2023.2.3)
比に2000億円超支援 政府 米を含め安保協力深化(琉球新報 2023.2.3)
2月4日(土)https://nomore-okinawasen.org/5597/
石垣陸自 来月16日は発足 防衛省計画 弾薬搬入、15〜19日調整(琉球新報 2023.2.4)
陸自補給拠点「反対を」 市民団体、沖縄市に要請(琉球新報 2023.2.4)
ブルービーチで上陸訓練 日米、入砂島も使用(琉球新報 2023.2.4)
攻撃着手の定義「困難」 政府予算委 反撃力行使で防衛省(沖縄タイムス 2023.2.4)
攻撃想定し共同訓練 自衛隊・海保 防衛相「早期に」(沖縄タイムス 2023.2.4)
防衛財源 国会論戦 政府 強化資金法案を提出 増税巡り 与党も異論(沖縄タイムス 2023.2.4)
2月5日(日)https://nomore-okinawasen.org/5617/
台湾有事回避 政治の力で 柳澤さん石垣で講演 米中への外交努力訴え(沖縄タイムス2023.2.5)
台湾有事回避 政治の力で 柳澤さん石垣で講演 米中への外交努力訴え(沖縄タイムス2023.2.5)
石垣市長、反撃能力を容認 平時港湾使用「協力する」 事前に住民説明必要(琉球新報 2023.2.5)
意外と知らない「有事」の話 ■10 米国の台湾政策は変わったの?(沖縄タイムス 2023.2.5)
新垣邦雄(ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会発起人)