今回のメルマガは新垣邦雄さんからの寄稿です。PFASへの懸念が払拭されず、安心して水道水が利用できない状況が続き、PFAS除去費を県民が負担することになろうとしています。新垣さんからはご自身の実生活の中での負担増について具体気な数字を示しながら問題点を挙げていただきました。ぜひごらんください。本稿は新垣さんの了承をえて、琉球新報論壇を転載しています。
PFAS除去16億円を県民負担 「買い水」家計負担にも補助を
私は沖縄市に住んでいる。9月28日、コザ音市場の国際反戦音楽祭で、「北谷浄水場のPFAS活性炭除去費16億円県民負担」に反対する署名を呼びかけ、80人に賛同署名を頂いた。その際、「水道水を飲んでいるか」と問い、全員が「飲んでいない」と回答。赤ちゃんを抱いた女性は「子どもに水道水飲ませられない」と答えた。
多くの人が「PFAS汚染の除去費を県民が負担することはありえない」、「全国で沖縄だけだろう」、京都の方は「水道水にPFASが交じるのか」と驚いていた。多くが「水を買う。浄水器」と答えた。
わが家はスーパーで飲料水を買ってきた。2016年に米軍嘉手納基地周辺でPFASが高濃度で検出され、北谷浄水場でも検出の報道があって以来だ。毎日100円で水を買い、夏場は2度の日もあった。平均で毎月4千円程度。飲み水に使ったが「味噌汁など料理用も」と妻が言い、昨年7月から毎月3千円の浄水器を使っている。「買い水」の頃で年間5万円近く、現在は年額3万6千円だ。
「買い水」「浄水器」でPFASが除去されるわけではないだろう。気休めでも「水道水よりはまし」の自己防衛だ。
北谷浄水場から給水する市町村、それ以外の地域でも「買い水」やリースの「浄水器」を使う家庭は年額4,5万円の出費を強いられている。北谷浄水場の給水地域に何十万人、何万世帯が住んでいるだろう。16億円もの浄水場の県費だけでなく、「買い水」や「浄水器」の家庭負担はどれほどか。億単位ではないか。沖縄県、関係市町村は県民の家計の負担を調査し、公表していただきたい。
反戦音楽祭では年額7、8億円と言われる「青パト」(米兵監視パトロール)費用を「浄水場の活性炭に回せ」「わが家の買い水の費用を負担して」の声も上がった。「嘉手納基地は北谷浄水場でなく、北部のきれいな水が給水されてるらしい」という声も聞いた。
ネット検索すると嘉手納基地には、北谷浄水場でなく、北部水系の「石川浄水場」から給水されているようだ。PFASの発生源と疑われる嘉手納基地の米兵や家族はPFASが混じらない「おいしいきれいな水」を飲んでいるようだ。米軍は基地内の調査を拒みながら、理不尽ではないか。
反戦音楽祭で「子どもに水道水飲ませられない」と語った女性は、「子どもの健康に悪影響が出る」と真剣な表情で話していた。以前、琉球新報は「PFASの影響と疑われる低体重児の比率が沖縄は全国で一番高い」と報じている。
反戦音楽祭ライブを浦添西海岸でも計画している。「海を埋めるな。おいしい水を」と叫びたい。
新垣邦雄(当会事務局長)