メルマガ378号

今回のメルマガは9月2日琉球新報文化面掲載、新垣邦雄事務局長の寄稿です。同日、沖縄県庁で沖縄県と「米兵女性暴行事件根絶のための意見交換」を行いました。県の女性問題担当の亀浜礼子政策参与、基地対策課長、同課の米兵事件問題の担当職員らと女性団体、ノーモア沖縄戦の会が参加し。専門の有識者も参加し、米兵女性暴行事件の調査、資料収集を行い事件根絶の抜本策米軍、日米政府などに申し入れることを確認しました。
 悪質な米兵事件は全国で起きています。神奈川県逗子市での事件を紹介しました。米兵特権を忖度する甘い警察・検察捜査、起訴率の低さ、軽すぎる刑罰・処分が「米兵事件の再発」を許しています。全国の有志・団体、有識者が力を併せて「米兵事件・女性暴行事件の根絶」を目指しましょう。

95年少女事件から30年 なくならない米兵女性暴行 「厳罰化」の根絶策求める

「1995年9月4日の少女暴行事件から30年を迎える。95年事件を受けた「沖縄の負担軽減」日米SACO報告は、「普天間飛行場県内移設」「那覇軍港浦添移設」でさらに沖縄基地を強化するまやかしだった。「日米安保共同宣言」(96年)で日米安保は「日本周辺」から「アジア太平洋」に拡大され、拠点となる沖縄基地は強化された。米兵性加害事件の「再発防止」を掲げた97年日米合意「米兵事件通報手続き」も反故にされた。「再発防止」はまやかしであり、米兵事件は隠ぺいされ、多発し続けている。

在沖基地で8年間に949件
 在沖米軍基地で女性暴行事件が異常多発している。地元2紙によると2012年から20年の8年間に在沖基地で「女性暴行」の被害報告が949件。年平均約120件に上る。「基地内で性的暴行が多発すれば、必然的に基地外で民間人が被害に遭う危険が高まる」(しんぶん赤旗)。米兵が基地外で飲酒すれば女性暴行の危険性はさらに高まるだろう。米兵の基地外への外出、基地外への居住も禁止するべきではないのか。
 なぜ米兵事件、性加害事件は無くならないか。ノーモア沖縄戦の会と、「沖縄県女性団体連絡協議会」の伊良波純子会長、「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」の高里鈴代共同代表らが話し合った。「事件がなくならないのは刑罰、処分が軽いため」であり、「厳罰化が必要」で一致した。私たちは「米兵事件の起訴率の低さ」、量刑の軽さ、日米の「裁判権放棄密約」身柄拘束、警察捜査を阻む「日米地位協定」など米兵特権構造が事件続発を招いている、と見ている。

通り魔、両腕骨折に猶予刑
 米兵事件裁判の量刑の軽さや捜査、訴追を妨げる「米兵特権」について本土の事例を挙げる。今年4月、TBSテレビ報道。「神奈川県逗子市で米海軍横須賀基地2等兵曹(31)が通行人4人重軽傷を負わせた。1600万円の損害賠償判決が出たが、米兵は判決前に帰国した」という報道だ。被害者女性1人は米兵に突き飛ばされて顔から倒れ、眼窩、両腕を骨折、全治9カ月のひん死の重傷を負った。しかし刑事判決は懲役2年4カ月ながら執行猶予4年で米兵は釈放された。釈放された米兵は損害賠償判決の直前に米本国に転勤していた。米兵は謝罪もせずに本国に帰った。今も治療中の被害女性は「死んでも不思議でなかった。通り魔殺人未遂事件」と怒り、弁護士は「米国に帰国させないよう要請したが裏切られた」と憤まんをぶつけた。

検知拒否しタクシー帰宅
 驚くのは上半身裸、酩酊状態の米兵は警察官に拘束されたが「手錠をされず、逮捕もされなかった」ことだ。「警察署に任意同行されたがアルコールや薬物の検査を拒否してタクシーで帰宅した」とニュースは報じた。通り魔的犯行、被害の重大さ、上半身裸、酩酊ぶりから弁護士は「現行犯逮捕も当然なのに、警察は米軍人だから配慮したのか」と警察の忖度を疑った。

飲酒・民家侵入が多発
 私は性加害事件だけでなく米兵の「民家侵入」、しかも「酒に酔った侵入事件の多さ」は非常に危険な状況と考える。
 2018年9月、読谷村。「酒に酔った上半身裸の米陸軍上等兵(23)が民家に侵入し緊急逮捕」。毎日新聞は「高校二年生の長女が生後5か月の妹を抱いて窓から裸足で逃げていた」と続報。本紙は父親の発言「娘はレイプされて殺されると思ったから逃げた」、「再発防止策」要請書を提出したが「米軍は受け取りを拒否した」と報じた。同村では12年11月にも酒に酔った米兵が民家に侵入、男子中学生を殴打する事件があった。 ▼今年3月。「沖縄市の民家に侵入、台所で寝ていた米空軍曹長(37)を沖縄署が逮捕。酒気帯び運転基準の6倍のアルコール検知。▼今年4月。金武町の民家屋上に侵入した米海兵隊伍長(21)を石川署が現行犯逮捕。▼24年12月、公明党県本部は沖縄防衛局等に米兵によるタクシー乗務員への強盗未遂と雑居ビル侵入容疑逮捕2件に抗議。上原代表はいずれも飲酒後の重大な不法行為と抗議▼24年12月。県警は那覇市泊の尚学院ガラスドアを壊し侵入した米軍キャンプ・キンザー海兵隊上等兵(21)を器物損壊、侵入容疑で那覇地検に書類送致。同容疑者は泥酔し素手でドアを破壊、両腕から出血▼24年5月。沖縄市は米兵5人が住居侵入や建造物侵入で逮捕されたことで在沖米海軍や沖縄防衛局など日米4機関に抗議、要請文送付。
 ネット検索すると「米兵が酒に酔い、民家に侵入」事件が多数出てくる。沖縄は戦後、米兵の女性暴行、殺人が多発した。米兵の民家侵入の目的は窃盗ではあるまい。屈強な米兵が酒に酔い、民家に侵入すれば性加害、傷害、殺人事件すら懸念される。米兵の住居侵入事件はいわば女性暴行の未遂事件であり、厳重に処罰する必要があると私は考える。
 
県と意見交換
 ノーモア沖縄戦の会、伊良波氏、高里氏ら女性団体は沖縄県と女性暴行事件に関する「意見交換会」を開始する。司法の刑事判決、米軍による退役、本国移送など「処分の厳罰化」など「事件根絶策」を洗い出し、米軍、日米政府に要求したい。米兵の女性暴行事件を1件たりとも起こさせてはならない。「日米合同パトロール」でうやむやにするわけにはいかない。

新垣邦雄(当会事務局長)

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