メルマガ263号

今回のメルマガは新聞に寄せられた声です。毎日の紙面に今の沖縄、軍事強化に対する危機感、未来への不安など、自身の戦争体験と照らして多くの声が寄せられます。それらの一部を抜粋して紹介します。ぜひお読みください。

沖縄の声(2024年6月1日~9日)

6月1日 琉球新報 宜野湾市 73歳 女性
「命を懸ける仕事」
 辺野古の座り込みに行ったら、ある人が「座り込みは命を掛ける仕事じゃないです。体を一番大事にして、命を掛けたらダメです」と言った。そう言う本人が命を縮めてゲート前に座っていることを知っているから、誰も何も言えなかった。
 命懸けで抗議している人に「命を懸けてする仕事じゃない」と言われて「魂殺されるよりはいいよな」と思ってしまった。何度反対の意思を示そうと、国が大切な人たちに圧し潰されて、少しずつ魂を殺されかけている。病気になったり、歩行困難になったりして座り込みに来られない人も増えている。
 命を懸けなくても、魂を殺されるのは嫌だ。ただの利権の新基地工事を、日本の国を守るためという言葉で、海を殺し、山をはげ山にするのを黙って見ているのは嫌だ。命を削ってでも、魂は殺させたくない。そう思って辺野古座り込みに人は行くのだと思った。

6月1日 琉球新報 那覇市 96歳 男性
「戦えない国に徹せよ」
 日本は戦うことのできない国であることを自覚するべきだ。なぜなら海に囲まれた日本は中国やロシア、北朝鮮と事を構えるのではなく、友好、親善の外交力で国民の安全を国是とすべきだと思うからである。
 しかし、現実は戦争推進勢力にそれなりの勢いがあり、「戦争放棄」の日本国憲法を否定し、交戦権を認めてほしいという人まで出ている。そういう人は仮に戦争になったら、どうなるのか考えたことがあるだろうか。
 戦争になったら国民の生活は破壊される。空幕やミサイルで外へ出られなくなる。畑仕事や買い物、病院にも行けない。全ての産業が機能しない。食料自給率が30%くらいの日本はどうなるか。彼我の軍隊が戦うだけだと思うのは浅はかだ。
 日本では原発12基が稼働中という。沖縄にはない。ミサイルが飛んで来たらどうなる。抑止力は机上の空論だと識者は言う。日本は戦うことの出来ない国に徹すべきだ。

6月4日 沖縄タイムス 西原町 75歳 男性
「不都合な真実を隠す意図か」
 与那国島へは一周マラソンとドラマのロケ地巡りで訪れ、思い出深い。昨今は台湾有事にかこつけた軍備増強の世論醸成で何かとかまびすしい。
 そんな中、「与那国陸自『撮影禁止』本紙5月20日付)には驚いた。公道から駐屯地ないの撮影禁止の看板が掲示されていたのだ。専門家は法的根拠はなく、表現の自由を制限しかねない、と指摘する。
 数年前だが、上海マラソンの折、寒山寺が見たくて駅で列車を待つ間ビデオを撮っていると突然、遮られた。幸い注意で済んだ。ソウルではガイドの方に青瓦台前ではカメラを向けないように言われた。(略)
 公権力が自由権を制限し、不都合な真実を隠そうとたくらんでいないか。前述の報道は平和な時代に最も重要である。

6月4日 沖縄タイムス 宜野座村 小6 女子
「平和には他国との理解必要」
 私は今日の朝、学校で5月27日の夜に、ミサイルが飛んだということを知りました。しかも来るのが沖縄だということでびっくりしました。
 今、私たちは社会科の学習で、日本国憲法の三原則についてやっていて、平和主義という原則をつくっても、他国がこうやってミサイルなどを飛ばしてくると、意味があるのかと疑問になります。
 でも大事だと思うから、もっと他国との理解が必要だと思いました。

6月5日 琉球新報 那覇市 85歳 女性
「投票に行こう」
 繁多川自治会では、毎月第3日曜はボランティアの日である。(略)見かけない青年がいる。汗びっしょりで花の手入れをしている。反省会の席で彼は県議選に立候補した青年だと知った。
 「地域出身の者です。地域自治会と共に、住民の安全に寄与できるよう頑張ります。基地のない平和な沖縄を目指します」とあいさつした。
 沖縄を取り巻く政治状況は一層厳しさを増す昨今。国は、県が承認していない辺野古埋め立て工事を代執行で実行する。全国に全く例がない。なぜ沖縄では許されるのか。困難や課題にどう向き合って克服していくか、沖縄の政治力が問われている。
 16日は県議選の投票日。「自分たちのことは自分たちで決める」その第一歩が選挙だ。辺野古新基地建設反対の立場をはっきりと打ち出し、住んでいる地域の将来を考える候補者に一票を投じたい。

6月6日 琉球新報 那覇市 88歳 男性
「平和を目指して」
 沖縄の施政権が米国から日本政府に移転して52年が過ぎた。当時は「祖国復帰」の言葉や歌の文句「民族の怒りに燃える島」がよく聞かれた。
 当時の若者は老人へと変わった。今では若者は本土へ航空機でパスポートを持たず自由に飛び回る時代になった。その一方で、自公政権は戦争をあおり立て、日米は「未来のためのグローバル・パートナー」を目指し、憲法を改正して自衛隊を強化し、戦前の沖縄に再び戻そうとしている。
 今こそ、真の平和が必用ではないか。新報ホールで開かれた第47回5・15平和行進団結式の若者の血気に声援を送りたい。

6月7日 沖縄タイムス 那覇市 80歳 男性
「地方自治崩壊させる悪法だ」
 大規模な災害や感染症の流行など、想定外の事態に国が自治体に対応を指示できるようにする地方自治法改正案が、5月30日の衆議院本会議で自民、公明、日本維新の会、国民民主党などの賛成多数で可決し通過した。(略)
 国は大規模災害や感染症などの対策といっているが、本当は台湾有事を想定に画策した悪法であり、即時撤回すべきである。国が指示を出す自治体に事前協議の仕組みを盛り込まず危険であり。地方自治法を根底から崩壊させる法令だ。戦前の治安維持法であると言わざるを得ない。国と地方の対等な関係も崩壊させるものであり、絶対に反対である。

6月8日 琉球新報 うそっぱち 糸満市
「牛島満司令官 辞世の句掲載 大本営発表かなと思った -戦争経験者 陸自殿」

6月8日 琉球新報 ティータイム 那覇市 81歳 男性
「こんな日本に誰がした」
 時代を反映した恨み節がある。「飢えて今頃 妹はどこに 夜の夜風も こんな女に誰がした」。歌は「星の流れに」。「こんな日本の誰がした」とも唄われた。終戦2年、日本国憲法が施行された1947年の流行歌である。(略)
 憲法が国民に喜んで受け入れられたのは、戦争でさまざまなものを失った反省を踏まえ、二度と戦争をしないようにと国民が望んだからだ。
 戦禍で失われた美しい日本を取り戻すため、憲法9条は戦争の放棄と戦力および交戦権の否認を掲げ2項に軍隊は持たないと明記した。99条で天皇はじめ全ての公務員に憲法を尊重し擁護することを義務付けた。
 つまり、大臣、国会議員や市町村長も憲法を擁護する義務があるのである。戦う覚悟とか、憲法改正、9条の2項を撤廃せよ、書き換えよなんて市町村長は叫んではいけない。

6月9日 琉球新報 那覇市 55歳 女性
「司法に勇気もらった」
 朝ドラ『虎に翼』が面白い。日本初の女性弁護士で、後に裁判官になった三淵嘉子さんがモデル。5月3日の回はとりわけ印象的だった。
 主人公の父が汚職容疑で逮捕され。無罪の判決文を書いた裁判官は言った。「干渉? そんなもんじゃない。あいつらは私利私欲にまみれた汚ねえ足で踏み込んできやがったんですよ」「司法の独立の意義も分からぬクソばかどもだ」
 その後のシーンで主人公が法律を「きれいな水」に例えたことにも驚いたが、憲法記念日にこんなセリフが聞けるとは! 胸がドキドキして本当にうれしくなった。
 5月16日の本紙1面。辺野古に関する訴訟で初めて住民側の主張が認められたと大きく報道していた。現代の司法もまだ捨てたものでないと思うと同時に、粘り強く闘って勝利を得た辺野古住民と弁護団を心から称賛したいと思った。
 「潮目が変わる判決」「司法に良識残る」「傍聴席どよめき、笑顔」。社会面の見出しにも心が躍った。もらった勇気を覚悟に変えて、明日からの生き方に生かしていこう。
 
6月9日 沖縄タイムス 浦添市 78歳 男性
 終戦の年に生まれ、戦争の記憶はない。同級生の中には戦争で両親を失い、多数の孤児たちが首里厚生園で暮らしていた。
 出生秘話も後に聞かされた。防空壕の中やヤギ小屋で生まれたと告白するのは良い方で、母親のおなかの中でこの世の光を見ることもなく戦場に散った話は悲惨すぎる。(略)
 各地で慰霊祭が行われたり、終戦記念日が近づくとそんな光景が脳裏に浮かぶ。戦争の語り部が減る中で、大戦を正しく反省すると言いながら、国会では戦争を知らない世代が真逆の論戦を展開する。全ての基本は平和で人権が尊重される社会がいつまでも続くことだ。

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