メルマガ364号

今回のメルマガは当会の新垣邦雄事務局長の論考です。本稿は「台湾有事に米軍が関与すれば、沖縄、嘉手納が攻撃目標になる」と軍事専門家は指摘しています。であれば玉城デニー知事は、県民の命を守る立場から「台湾有事で在沖米軍は出動するな」と日米政府に申し入れよ、と提起する内容です。沖縄は在沖米軍基地が存在するため、常に「戦争の最前線」に置かれることを宿命づけられています。在沖米軍基地を無くし、米軍に沖縄から出撃させない、「自衛隊も米軍もミサイルとオスプレイを持って出て行ってくれ」(具志堅隆松共同代表)と主張し続けるしかありません。ぜひお読みください。

有事の際の米軍不出動 知事が日米に働きかけを

ヘグセス米国防長官と中谷防衛長官が、台湾有事への「共同対処」発言を繰り返している。日米の軍事一体化がミサイル配備の予備段階から「実戦態勢」に入ったと危惧される。沖縄が「最前線」に立つわけにはいかない。
 ヘグセス国防長官は3月30日、防衛首脳会談後の記者会見で、台湾有事などで「日本は西太平洋で最前線に立つ」と発言。31日付本紙はヘグセス氏が「日本は中国の武力行使を抑止する不可欠のパートナー」と述べ、同氏が署名した国防総省文書が「中国による台湾侵攻阻止」を記したと報じた。本紙は両氏が「沖縄、南西諸島の訓練拡大に合意」とも報じた。
 米国防総省が「中国の台湾侵攻阻止」方針を示し、国防長官が「日本は最前線に立つ」と宣言、日米が「沖縄、南西地域で訓練を拡大」するというのだ。
 中谷防衛大臣は会談で「東シナ海、南シナ海はワンシアター」と伝えたとも報じられた。ワンシアターは「戦域」の意味だ。東シナ海だけでなく、南シナ海やインド太平洋までを米軍と自衛隊の「戦域」とみなす危険な発言だ。
 ヘグセス国防長官は5月31日、アジア安全保障会議で「米国の軍事資源を中国抑止のためアジアに集中」し、台湾有事で「米軍は戦い、決定的に勝利する」と言明した(日経新聞6月1日)。バイデン前米大統領は「台湾有事に米国が関与」と数回発言したが、その都度、米高官は軍事関与を否定した。今回の国防長官発言を米国政府は否定していない。「台湾有事への米軍関与」は米国の方針と見ざるを得ない。
 「台湾有事に米軍が関与すれば、真っ先に沖縄、嘉手納が攻撃目標となる」(我部政明琉大名誉教授)と専門家は指摘してきた。安保法制が集団的自衛権を認め「米軍が中国と交戦すれば、自衛隊は参戦せざるを得ない」と石井暁・共同通信編集委員が沖縄講演で指摘した。在沖米軍が台湾有事で出動すれば、沖縄の戦場化と日中戦争への拡大、日本の戦場化は避けられない。
 玉城デニー知事に提言したい。「台湾有事で在沖米軍は出動するな」と日米政府に申し入れてもらいたい。明田川融法政大教授は、在日米軍の台湾出動に日本政府が「ノー」と言う「事前協議制」の活用を提言している(月刊『世界』)。岸田元首相は台湾有事への米軍出動の事前協議があれば「イエスもノーもありうる」と国会答弁している。沖縄を犠牲にしないために知事は行動してほしい。

新垣邦雄(当会事務局長)

※本稿は新垣さんのご承諾を得て、沖縄タイムス6月27日の論壇を転載したものです。

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