今回のメルマガは欠陥機オスプレイ来るな!6.21佐賀駐屯地 抗議集会に参加した当会運営委員の月野桃子さんのリポートです。現地で見聞し、ご自身の目で確認した具体的で臨場感たっぷりの報告と力強いメッセージをぜひお読みください。
欠陥機オスプレイ来るな!6.21佐賀駐屯地 抗議集会と、水陸機動団崎辺分屯地と佐世保港の視察に参加して
田植えのまっただなか、苗がゆれる田園地帯をバスは走りました。到着した佐賀空港から見えるのは、有明海の対岸にある雲仙岳。どこか懐かしい感じの風光明媚な場所で、オスプレイ配備と陸上自衛隊佐賀駐屯開設の準備が進んでいることにまず驚きました。
オスプレイ配備に抗議する集会とデモには佐賀の皆さんに加えて、九州各県から、そして全国から、600人以上が集まりました。
佐賀空港には中国や台湾からの観光客も多いそうです。「日本への玄関口の空港に、隣国を武力で威嚇するかのようなオスプレイが配備されるなんて合理性に欠く」という地元の人の発言は説得力がありました。おいしい海苔を育む有明海と、バルーンフェスタ(熱気球大会)が開かれる佐賀の空。ふるさとの海空の恵みと平和を、欠陥機オスプレイによって脅かされる不安と憤りに心の底から共感します。
「佐賀にも、九州・沖縄にも日本のどこにもオスプレイいらない」
佐賀空港には、木更津駐屯地(千葉県)に暫定配備されているV-22オスプレイ17機と、目達原駐屯地(佐賀空港から北東約20キロ/吉野ヶ里町)のヘリコプター約50機が移駐される予定です。配置される隊員は700~800人。オスプレイが配備されれば、水陸機動団を琉球諸島に輸送することに使われ、佐賀空港は兵站拠点になるといわれています。 高遊原分屯地がある熊本空港のように、C-1/C-2/C-130Hのような輸送機が離発着し、「訓練」と称して外国軍のC-17大型輸送機が飛来するようになるかもしれません。現在でも九州4か所で設定されている陸自オスプレイの低空飛行訓練区域は、今後「九州7県85カ所に広がる可能性がある」と報じられています。(2025.6.29しんぶん赤旗)これらのことはどのような軍事的意味をもつのか?琉球諸島の戦場化準備を止めるためにも、よく考えたいと思います。
佐賀空港から西50キロ強にある長崎県佐世保市の海上自衛隊崎辺基地の隣に、水陸機動団の崎辺分屯地があります。水陸両用車AAV7の練習場ばかりではなく、弾薬庫や整備場のようなものまでありました。海を埋め立てながら、水陸機動団を輸送するための大きな岸壁もつくられつつあります。防衛省のWEBサイトには「いずも型護衛艦(全長248m/F-35B戦闘機等を搭載する事実上の空母)」「おおすみ型輸送艦(全長178m/ドック型揚陸艦)」らしき艦船が係留しているイメージ図があります。自然と平和を破壊する工事。陸海空の敵基地攻撃拠点づくりの大規模な軍事強化だと感じます。
崎辺分屯地もある佐世保港は、外国の豪華客船も入る民間の港と、米海軍・海上自衛隊の艦船がズラリと並んで停泊(通称「メザシ係留」)する軍港が、並存しています。造船所や船の整備場、米軍の巨大燃料施設と前畑弾薬庫もあります。軍用と民間の施設が混在する広大な港湾の周りは、佐世保市の中心。佐世保駅があり人口密集地です。「ジュネーブ条約『軍民分離の原則』に照らしてどうなの?」という思いがよぎりました。
6月23日、米海軍は佐世保港に強襲揚陸艦アメリカの代わりに同型の強襲揚陸艦トリポリを新たに配備しました。F35B戦闘機を20機、オスプレイを10機以上も搭載可能。沖縄の海兵遠征隊を載せてインド・太平洋地域で展開する、事実上の「空母」です。
また佐世保港から南東わずか30キロ強にある長崎空港は「特定利用空港」に指定されており、住民から「有事の際、相手国から軍事空港とみなされ危険ではないか」と指定撤回を求める声があがっています。長崎の空も、平和の空でなくてはなりません。
私たちが佐世保を訪れた6月22日にはアメリカがイランの核施設を攻撃しました。国際法違反であるにもかかわらず、トランプ大統領は「広島や長崎と同じ」「原爆投下が戦争を終結させた」などといってイランへの空爆を正当化しました。何万人もの命を奪い、戦後、今にいたるまで被爆者を心身ともに苦しめ続けている原爆の実相を全く見ない暴言であり、被爆者への冒涜です。断じて許せません。
日本被団協の代表委員の田中熙巳(てるみ)さん(92)はこう言います。
「戦争を止める力は、自らが被爆者にならないように一人ひとりが平和のために声をあげ、行動を起こすことです」
沖縄と佐賀・長崎、九州、そして全国の平和を願う住民・市民運動が、お互いを知り、つながり、戦争を止める、沖縄・西日本ネットワークの取り組みが今後ますます重要です。
7月の参議院選挙では、大軍拡とアメリカ従属の政治をやめさせる候補者に投票しましょう。
10月(18日か19日)には、京都府精華町での平和の集会が計画されています。精華町は大型弾薬庫14棟の増設計画が進んでいる祝園(ほうその)弾薬庫がある街です。ぜひ全国から参加して/連帯して、学びと出会いで平和への希望を紡ぎましょう。私もがんばります。
月野桃子(当会運営委員)