2022年3月20日 「琉球新報」
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沖縄が再び戦争の舞台となることを阻止することを目的に「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」の発足総会が19日、沖縄市民会館で開かれた。南西諸島で自衛隊やミサイル部隊の配備が進んでいることに危機感を共有。採択した決議文は、沖縄を二度と戦場にしないことを目的に政治信条を超えた県民の結集を呼び掛け、台湾や尖閣有事を口実とした戦争への反対を日本、米国、中国、台湾政府や世論に訴えることを決めた。
主催者によると集会にはオンラインを含め607人が参加。会員は1265人となった。
決議文は有事の住民避難を自治体任せにする防衛省の姿勢に「軍隊は住民を守らない、軍隊は住民を死に追いやる、という沖縄戦で得た教訓をすでに私たちに突き付けている」と批判した。
共同代表の山城博治氏は22日に玉城デニー知事と面会し、決議文や設立趣旨を説明する考えを示した。鹿児島県やうるま市で呼応した動きがあることも報告された。
共同代表の宮城晴美氏(沖縄女性史研究家)は「(将来世代から)なぜ、あのとき戦争に反対しなかったのか、と言われることがないようにしたい」と阻止を誓った。
戦没者の遺骨収集を続ける具志堅隆松氏は「なぜ米中が戦争したら日本が参加しなければいけないのか。なぜ沖縄が戦場にならなければいけないのか」と疑問を連発。言論弾圧が厳しかった当時と異なり「いまは自由にものが言える。戦争に巻き込まれたくないと声を上げよう」と訴えた。
元米海兵隊員で国際政治学者のダグラス・ラミス氏は戦争で攻撃拠点となった基地に対し「(相手国は)国際法の下でやり返す権利がある」と指摘し「悲劇的なことは、(戦争に巻き込まれる)沖縄の人たちは戦争を認めたことがなく、許したこともなく、自らやっていないことだ。関係のない人たちがたくさん殺されることになる」と危機感を語った。
琉球新報社編集局の新垣毅報道本部長は基調講演で、日米安保体制を維持するためには国民が犠牲になることもいとわない「日米同盟の国体化」が進んでおり、国体護持のために再び沖縄が「捨て石」となる懸念を指摘した。
日中韓や東南アジア諸国連合(ASEAN)など計15カ国が加盟した地域的な包括的経済連携(RCEP)協定に触れ「経済交流を積み重ね緊密化する中で、安全保障も次の議題として載せ、アジアで紛争の火種を除去する対話の枠組みを築くべきだ」と語った。(知念征尚)