今回のメルマガは 「日鉄呉跡地問題を考える会」(考える会)による中国四国防衛局への申し入れ報告です。日本製鉄呉地区の跡地を巡っては、防衛省が「多機能な複合防衛拠点」を整備する考えを示しています。考える会は、この計画に対して、「複合防衛(軍事)拠点」ではなく「平和産業」の誘致を求める署名19,533筆はすでに呉市長宛に提出済みのため、署名数を記載したボードを防衛局の担当者へ手渡しました。現在、日本製鉄によるUSスチール買収問題が連日マスコミで報じられていますが、この重大な「多機能な複合防衛拠点」計画が西日本全体の軍事強化と直結することにもっと関心をもち、声を上げていく必要があります。ぜひ申し入れ内容をお読みください。申し入れ内容を報じたニュースリンクもあわせて添付します。ご覧下さい。https://news.ntv.co.jp/n/htv/category/society/htb2ddacbb92e249aeb0445d1b4c509234
日鉄呉跡地の利活用についての申し入れ
2025年1月7日
防衛大臣 中谷 元 様
「日鉄呉跡地問題を考える会」
森 芳郎 西岡由紀夫
日本製鉄呉地区跡地の利活用についての申し入れ
2024年3月、防衛省は日鉄呉跡地の一括購入と「多機能な複合防衛(軍事)拠点」の整備案を公表しました。私たちは4月7日「日鉄呉跡地問題を考える会」を結成して、4月21日に市民県民集会を開催、6月3日に呉市長に署名と公開質問状を提出しました。呉市長に市民への説明会と意見交換会を求める署名は4000筆を超えました。
9月6日の4者(県・市・日鉄・防衛省)協議では、防衛省がゾーニング(配置)案の中間報告を行いました。そこで県は防衛省に「大まかなイメージで説明が不十分なため、早期の詳細説明を要請」し、市は日鉄に「土壌汚染状況等の真摯な説明をするよう要請」しています。そして市民の最も不安な「弾薬庫」について防衛省は「検討中で未定」として示さず、これでは市民の不安は募るばかりです。
これまで「専守防衛」を旨とした自衛隊は、安保法制の下で大きく変容し、アメリカ軍の戦争に協力することが求められ、防衛省・自衛隊は沖縄や南西諸島を始め日本全国で「戦争の準備」を着々と進めています。「防衛力の抜本的強化」のためとして、海上自衛隊呉基地は大拡張され、「台湾有事」に備えて兵站(へいたん:軍事物資の輸送・補給)拠点にされようとしています。しかし実際に有事(戦争)となれば、79 年前のように呉の街が標的となって廃墟と化すことも想定しなければなりません。戦争だけは絶対に外交の力で回避しなければなりません。
9月20日私たちは、下記の通りの要求項目を掲げて、広く市民の賛同を得るべく防衛大臣、日本製鉄社長、呉市長3者宛の第2次署名を開始しました。「日鉄呉跡地の利活用については複合防衛(軍事)拠点ではなく平和産業の誘致を」という市民の願いを集めるための署名です。さらに、10月3日には同じ
内容のオンライン署名を立ち上げました。日鉄呉跡地問題に大きな関心を持ち、呉市の将来について心配する市民から、全国各地や海外からも賛同の声が広く寄せられました。
12月17日までに集まった第2次署名は7,740筆、オンライン署名は11,793筆、合計の賛同者数は19,533筆となっています。
防衛大臣におかれましては、こうした多くの市民の願いを真摯に受け止めて、軍転法に基づき、呉市を真の「平和産業港湾都市」へと完成させるために国の機関として強力にご支援していただくことを私たちは強く望んでいます。自衛隊は憲法に基づき、あくまで「専守防衛」に徹するべきであり、それが「我が国の平和と安全と独立を守り、国の安全を保つ」最善の策であると私たちは考えています。何より戦後の歴史がそのことを証明しています。何卒よろしくお願いいたします。
要求項目
1 防衛省は、1950年圧倒的多数の呉市民の賛成によって成立した「旧軍港市転換法(軍転法)」の主旨に反する、日鉄呉跡地の「多機能な複合防衛(軍事)拠点」整備案を撤回すること
2 防衛省は、2025年度予算の概算要求における整備案のための調査費約5億円を取り消すこと
3 防衛省は、「複合防衛(軍事)拠点」の整備案における弾薬庫の整備を断念すること
4 防衛省は、呉警備隊の敷地の一部と、米軍「呉第 6 突堤」の敷地を交換する計画を中止すること
5 日本製鉄は、土壌汚染状況について真摯な説明を早期に行うこと
6 日本製鉄は、県・市との3者協議を真摯に進めること
7 呉市は、日本製鉄に対して、土壌汚染状況の早急な調査とその結果の報告を求めること
8 呉市は、県と共に日鉄呉跡地の利活用策の案をもとに積極的に「平和産業の誘致」を進めること
9 呉市は、市民の不安や疑問に答えるために「住民説明会」を開催すること