今回のメルマガは当会の新垣事務局長からの寄稿です。10月23日より、キーン・ソード25が始まりました。演習前から、日本各地で準備がすすめられ、自衛隊と米軍が住民地域、民間港湾、空港を我が物顔で闊歩しているようです。
「台湾有事」を名目に、日米がさらに緊張を高め、ミサイル戦争への道をすすめるこの演習は日本の安全を守るどころか、戦争への一里塚といえるでしょう。選挙戦の最中に行なわれ、その陰にかくれるかのように行なわれる戦争準備を一人一人が考え、声をあげ、反対の意思をしめす必要があると思います。当会でも多くの団体と共同声明を出し、県、防衛局へ反対の意思を明確に示します。ぜひお読みください。
日米統合演習を阻止しよう 台湾有事「日米作戦」の実戦訓練
日米共同統合演習「キーン・ソード25」が10月23日から強行される。本紙16日文化面に寄稿した小西誠氏、また布施祐仁氏ら専門家は、同演習は「台湾有事に米軍・自衛隊が対処する『日米共同作戦』の実戦訓練」と見ている。県民を挙げて沖縄を戦場と想定する「キーン・ソード」演習の中止を訴えるべきだ。
16日本紙は米軍オスプレイが横田基地から嘉手納基地に「屋久島沖墜落以来の初飛来」を伝えた。また米軍ハイマースロケット砲が嘉手納基地から石垣に搬送されたと報道した。同演習が目的だ。
共同通信は2021年12月、台湾有事の「日米共同作戦計画原案」が策定され、「米海兵隊がハイマースを沖縄の島々に展開、自衛隊の支援を受け、中国艦船を排除し、米空母が展開する」と報じた。共同・石井暁記者は今年2月の本紙で「日米共同作戦計画が昨年末に完成。キーン・ソード訓練で実戦訓練を行なう」と続報している。
防衛省の同演習「沖縄関係資料」は、米軍ハイマースの石垣展開など「日米共同作戦」そのものの訓練を列挙している。
米軍嘉手納基地、自衛隊の勝連、那覇、南与座、久米島、宮古島基地などで、「地対艦・地対空ミサイルの対艦、対空戦闘訓練」を実施する。本紙で小西氏が指摘するように、「東北方面隊」「北部方面隊」など全国の地対艦、地対空ミサイル部隊が沖縄に結集し、自衛隊と米軍が総力を挙げた「ミサイル戦争の実戦訓練」を計画している。
嘉手納弾薬庫、自衛隊那覇基地で「滑走路修復訓練」を行なう。嘉手納基地だけでなく那覇空港が攻撃される事態を想定しているのだ。嘉手納弾薬庫では「CBRN」訓練を行う。「C・化学剤、B・生物剤、R・放射線、N・核」、「汚染の検知・除去、生物剤の同定・感染患者の収容」と明記する。嘉手納基地、弾薬庫が「化学・生物・放射線・核」攻撃にさらされる事態を想定しているのだ。
さらに自衛隊、米軍の中枢による「指揮所訓練」をキャンプ瑞慶覧、キンザー、石垣、与那国で実施し、自衛隊那覇基地に「防空指令所」を設け、「統合共同ミサイル防空、共同統合対艦攻撃、防空戦闘、実爆訓練」を行なうとし、嘉手納基地のF35A、F16戦闘機、那覇基地のF15戦闘機が「沖縄西方沖」に出撃する「訓練イメージ」図示する。日米一体で中国軍と戦闘する「作戦会議」と「出撃指示」を明確に打ち出している。
石破茂首相は「米国の核持ち込み、核共有」を打ち出した。復帰前の沖縄は約1300発の米軍核を貯蔵していた。「核密約」により再び沖縄に米軍の核が持ち込まれることを憂慮せざるを得ない。台湾有事は核ミサイ戦争にエスカレートしかねないことを注視する必用がある。
当会の具志堅隆松代表は記者会見で「沖縄がミサイル戦場となり県民は生き残れない」「全力で日米演習を阻止する」と訴えた。県民のみなさま、沖縄を戦場と想定する「キーン・ソード」演習に声を揃えて反対しよう。
新垣邦雄(当会事務局長)
※本稿は新垣さんのご承諾を得て、琉球新報10月18日文化蘭の論稿を転載しました。