今回のメルマガは8月11日に開催された「沖縄・九州・西日本から全国に広がる戦争準備」報告意見交換会で発した共同声明です。当日は各地から具体的な軍事強化の状況について報告があり、その深刻さは予想をはるかに上回りました。「戦争出来る国」から「戦争する国」へ急速に変貌を遂げている現状を食い止めるには、各地での情報交換、連帯をすすめなければ歯止めかけられないということも共通認識として持つことができました。共同声明では戦争準備のための軍事強化を阻止するために私たちがなし得ることは何かを明確にし、政府への要求を突きつけました。公開されている当日の映像とあわせ、ぜひお読みいただき、拡散してください。
「8・11沖縄集会」共同声明
私たち市民は連帯して「国家のための戦争」を阻止する
日本政府は、いま、「中国への戦争態勢」を急ピッチで構築している。このまま進むと、沖縄は再び戦場化され、それは全国へと拡大し、東アジアに生きる私たちの生活と命は破壊される。このような恐ろしい状況の到来を私たちは座視しない。
沖縄・奄美を中心に始められた「対中戦争態勢」の構築は、いま、西日本各地に拡大されている。今日は、ここに.その軍事拠点化が進む沖縄・西日本各地に住む人びとが集った。各地・各団体・各個人がつながり合い、連帯して共に闘うことによって、戦争準備を挫折させ、戦争を止めるために。
沖縄から西日本に拡大する戦争態勢
ミサイル基地群の新設など沖縄・奄美を中心に始められた「対中戦争態勢」の構築は、いま、九州を中心に西日本に拡大されている。陸自・大分分屯地では大型弾薬庫9棟の建設に向けた工事が進み、陸自・湯布院駐屯地には「対艦ミサイル連隊」が今年度中に配備される。宮崎県えびの市の陸自駐屯地や鹿児島県さつま町にも弾薬庫の建設が計画され、熊本の陸自・健軍駐屯地にはすでに「対艦ミサイル連隊」が配備されている。
宮崎の新田原空自基地には、F-35B戦闘機部隊が今年度から配備される予定で、基地の大規模な拡張計画もある。民間空港の佐賀空港には来年オスプレイを配備する予定で、隣で新たな陸自駐屯地建設工事が進行中だ。そして広島県呉市の海自基地には、沖縄に部隊や軍事物資を輸送するための新部隊が来年3月に設置予定で、兵器の整備・生産機能も有する一大軍事拠点の建設構想もある。京都の祝園にも大型弾薬庫が計画され、予算化された。
民間の空港・港湾・船舶・公道の軍事利用
「特定利用空港・港湾」に今年度指定され、民間施設を「軍事拠点化」するための予算が全国16か所につけられた。そのうちの11か所が沖縄・九州・四国だ。昨年11月には、岡山と大分の民間空港が自衛隊統合演習で初めて使用された。現在の国際人道法(ジュネーブ条約第1追加議定書)において攻撃が禁止されている民間施設を軍隊が使うということは、その施設や民間人を、いわば合法的な「攻撃対象」として差し出すことを意味する。しかし、このようなことを、政府は全く説明しないまま、冷酷に事を進めている。
上記の演習では、北海道の美幌・陸自駐屯地の戦闘車が公道を走って釧路港に行き、そこから民間船舶で大分港まで移動、再び公道を走って福岡県の築城航空基地まで行き、そこから沖縄の那覇空自基地まで輸送された。沖縄後方に在る戦争兵器を「戦場」へと輸送するための訓練である。
これら沖縄から全国に拡大する軍事態勢は、誰のための、何のためのものか。
グローバルサウスの台頭
岸田首相は4月の米議会での演説で、「米国が何世代にもわたり築いてきた国際秩序は今、新たな挑戦に直面しています」と語った。そして彼は、「挑戦者」としてグローバルサウス諸国や中国・朝鮮などの名を挙げた。これらはかつて、日欧米・帝国主義諸国が侵略・植民地支配した国々である。
これら諸国は、日米欧・西側諸国の利益と支配のための「国際秩序」を批判し、公正・平等・平和な国際秩序を求めている。米国を筆頭とする「西側中心国」の支持・支援のもと行われているイスラエルのガザへの攻撃・虐殺を止めるために精力的に動いているのは、これら中国を含むグローバルサウスの国々である。
日米「覇権」維持のための戦争準備
いま日米欧が行っている中国包囲網の構築も、中国を弱体化させて、彼らが支配する「秩序」を維持するためのものである。「台湾有事」を名目に米日が台湾との軍事協力を進めているのも、台湾がこの包囲網の要の位置にあるからである。中国の脅威が声高に叫ばれているが、相手に脅威を与える軍事演習は、中国軍が米国の近くで行っているのではなく、この包囲網構築のために日米欧の軍隊が中国の近くで行っているものだ。
岸田は演説で「共にデッキに立ち、任務に従事し、そして、なすべきことをする、その準備はできています/日本は既に、米国と肩を組んで共に立ち上がっています/日本は国家安全保障戦略を改定しました」と宣言し、敵基地攻撃能力の保有についても語った。
「西側中心の国際秩序」の維持が困難になっているいま、日本は軍事力を出して、米国と共にその秩序維持の「任務に従事」するというのである。つまり、いま沖縄・西日本で構築されている軍事態勢は、覇権の維持を執拗に目指す日米国家の欲望が
つくり出しているものである。その「私利私欲」のために、私たち市民の命が、平和が、蹂躙されようとしている。
戦争を止めるための共同の闘い
私たちは、この「私利私欲のための戦争準備」を許さない。
私たちは、これを阻止するために、各地・各団体・各個人がつながり合い、共に闘う。連携・連帯して、共同の闘いを開始する。
そして、「国家による国家のための戦争」を、私たち市民・民衆の力で必ず止めることを決意し、宣言する。
この決意と宣言をもって、今日、私たちは、全国各地の人びとに呼びかけ、そして、政府に要求する。
【共同の闘いへの呼びかけ】
戦争のための軍事拠点化が進む各地の皆さん。各地の状況を伝え合い、連携・連帯して、共に闘おう!
互いの状況を知り、つながり合い、共同の闘いをすることによって、私たち市民・民衆の力で、「国家による戦争」を止めよう!
つながりを、さらに東アジア各地に広げ、私たち東アジアピープルの力で、東アジアでの戦争を止めよう!
【日本政府への要求】
私たちは、戦争を止めるために闘っている全国の人たち・仲間たちと共に、以下のことを政府に要求する。
一 与那国・石垣・宮古・沖縄・奄美大島・馬毛島・鹿児島・宮崎・佐賀・大分・呉・京都をはじめ沖縄・西日本・全国で進めている戦争拠点の構築を直ちに中止せよ!ミサイル部隊配備、弾薬庫の建設、基地の新設・拡張、民間空港・港湾・道路の軍事利用など、戦争に向けた政府の行為を直ちに中止せよ!
一 全国で進めている戦争態勢の構築を、すべての戦争準備を、いますぐ中止せよ!そして、中国はじめ東アジアの国ぐにとの平和外交を直ちに始めよ!
一 軍事力によって東アジアの平和を破壊して来た歴史を反省し、対話と外交の力によって、東アジアの平和の実現のために行動せよ!
2024年8月11日
ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会/自衛隊の弾薬庫等建設に反対する沖縄市民の会/ミサイル配備から命を守るうるま市民の会/大分敷戸ミサイル弾薬庫問題を考える市民の会/ピースリンク広島・呉・岩国/ノーモア沖縄戦 えひめの会/京都・祝園ミサイル弾薬庫問題を考える市民ネットワーク