うるま市石川のゴルフ場跡地へ陸自訓練場を整備する計画が断念されました。降ってわいたようなトンデモ計画にいち早く地元から反対の声があがり、市内外でこの計画の不条理さを我が事として問題をとらえる動きが広がりました。計画が表面化してからの動き、抗議を示すことの意味について、久高将雄さんに寄稿していただきました。ぜびお読みください。
沖縄から「むしろ旗」を うるま陸自訓練場新設
昨年12月、突如として国はうるま市石川の東山カントリークラブ跡地に陸上自衛隊の訓練場を計画し、用地買収に動いている旨を新聞報道で知る。
降って湧いたニュースに石川地域は大騒ぎとなった。2024年の国の予算編成の中で、防衛省予算約7兆7千億円が閣議決定した。
県内の自衛隊関連の整備費として473億円のうち、数億円が石川地域のゴルフ場跡地買い取り予算として明らかとなった、与那国島から石垣島、宮古島、沖縄本島、奄美大島まで南西諸島軍事要塞化がほぼ完結しようとしている。
国防だ!自衛だ! 戦争がやって来るぞ!と盛んにあおり立ててミサイル配備、避難シェルター、避難訓練、県内港湾の拡張整備。ついには先島諸島住民の本土(九州)疎開準備計画まで公然化してきた。国からの説明は「敵からの攻撃、戦争に備える」「備えあれば憂いなし」という。恐ろしい話だ。私たちは再び過ちを繰り返してはならない。
軍備増強で平和が創造できるのか?まさに標的の島になろうとしている。自衛隊の建設予定地は住宅地、公共施設に近接する生活の場である。今回の建設計画は、地元住民へ事前説明は一切なかった。昨年12月、石川旭区自治会はいち早く建設反対の意思表示をした。「住宅地近くに自衛隊の訓練場はいらない」の声は、隣の東山自治会をはじめ、近隣の自治会へ波及した。
2月17日に来県した木原防衛大臣に、玉城デニー知事は白紙撤回要請をした。さらに自民党県連も同27日、白紙撤回した。開会中のうるま市議会、沖縄県議会も反対、撤回要請を決議した。 3月26日、超党派の県議団は内閣、防衛省への要請行動を展開した。このように自衛隊訓練場反対の声が大きなうねりとなり、県民の総意となりつつある。
3月20日うるま市石川で、市民大集会が開催されて、計画断念を求める決議が採択された。市民集会は会場を埋め尽くした市民が、玄関ロビーまであふれ熱気で包まれた。玉城知事のメッセージは、参加した市民を大きく励ました。地域住民と行政、諸団体が「イクサやナラン」と声を上げた。
戦争の道へと、一歩踏み出しつつある現状を憂い、思想信条、保革の違いを認め米軍基地、自衛隊の賛成・反対を一時保留として、そこを乗り越えて腹八分、腹六分で駄目なら腹五分でよい。不条理にあらがう沖縄から「むしろ旗」を掲げたい。
久高将雄(うるま市在住)
※今回の寄稿は久高さんの承諾を得て、4月6日の沖縄タイムス論壇を転載したものです。