「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」 賛同者・呼びかけ人の皆さま
いつも活動をご支援いただき誠にありがとうございます。
今回は「ノーモア沖縄戦 愛媛の会」の高井弘之さんから原稿をお寄せいただきました。現在の日本政府の軍事強化の政策は戦争の「導火線」となり、奄美・沖縄の人びとの命の犠牲を当然の前提とする常軌を逸した「作戦」であると鋭く指摘した渾身の内容です。ぜひ本文をお読みください。
「東アジアでの戦争の危機」
日本の「外交―安全保障問題」、つまりは、「戦争と平和」をめぐる現実は、いま、どうなっているだろうか。その状況の骨格を記したい。
「戦争―安全保障」をめぐる論議の現実
いま日本では、ウクライナの状況を受けて、日本の「安全保障」をめぐる多くの主張・論議が飛び交っている。これらは、それぞれの意見の違いはあれ、そこには、「他国(具体的には中国)が日本を攻撃して来ることに対してどう備えるか」という共通の「前提―論議の土俵」が存在している。この「前提」で、政府・自民党などは、「敵基地(中枢)攻撃能力」の構築と軍事費の倍増などを主張している。
しかし、「日本が攻撃される」というのは、あくまで想定された主観的「仮定」に過ぎない。いま中国政府に、日本を攻撃する理由もメリットも意図もなく、実際、それを示すような「客観的」兆候や気配があるわけではない。
ところで、当然のことだが、戦争は、他国が自国へ攻撃して来たときだけでなく、自国が他国を攻撃したときにも開始される。しかし、この可能性については、いま、いっさい論議されていない。近代日本国家の戦争はすべて日本の侵略や先制・奇襲攻撃から始められたという歴史を持つにも関わらず。
「戦争への導火線」を敷設する日米政府
では、〈現実〉はどうだろうか。いま琉球弧では、(「中国軍からの防衛」ではなく)中国軍を攻撃するためのミサイル基地群が島々につくられ、米日にNATO主要国を加えた合同軍事演習が中国の近くで、中国に圧力を加える形で、頻繁に行われている。
中国軍を攻撃する「日米共同作戦計画」が両国間で策定・承認され、それに基づく実際の戦闘訓練も行われている。それは、米日の軍隊が琉球弧の島から中国艦船を攻撃した後、反撃から軍を守るため別の島に移動してまた攻撃する形を繰り返すものである。だが、日米軍が去った島には、住民が住んでいるままであり、ここに、中国軍の反撃のミサイルは飛んで来る。
つまり、これは、琉球弧を再び戦場―「捨て石」とし、奄美・沖縄の人びとの命の犠牲を当然の前提とする常軌を逸した「作戦」なのである。
さらに、外交・経済分野も含めた「中国封じ込め態勢」を構築し、中国に対する極めて攻撃的な布陣を敷きつつある。
戦争を防ぐのは「軍備」ではない
以上のような「現実」こそが、東アジアに戦争を呼びこむ。戦争になれば、それが侵攻であれ、そこからの防衛であれ、人びとの命が守られることは決してない。大事なのは、日本の市民を含む東アジアの市民・民衆を戦争の暴力から守ることである。戦争によって〈生きる権利〉を奪われないようにすることである。
では、どうすれば、戦争を阻止できるか。もちろん、軍備の強化などではない。いま「戦争の可能性―危機」をもたらしているものは何かを正確に把握し、それを取り除くことである。それは、東アジアでは、上に記した「米日による中国への攻撃態勢―軍事包囲網」である。戦争を未然に防ぐためにすべきことは、この「戦争への導火線」を解体―撤去することである。
〈生きる権利〉の保障こそが政治の仕事
したがって、私たち市民・住民の安全を確保するためには、軍備、つまり軍事予算など全く必要ない。必要なのは、日本政府が敷設中のこの「戦争への導火線」を、政府に撤去させることである。
そして、「国民の安全を守る」という虚偽の名目で使われる「国家安全保障」予算を、私たち市民ひとりひとりが幸福に生きていくための費用(社会保障―社会福祉など)にこそ使うべきである。
私たちの〈生きる権利〉を奪う戦争を呼び込むためではなく、私たちひとりひとりを「個人として尊重し」、その〈生きる権利〉を保障するための「民衆の安全保障」のためにこそ、「私たちの予算」を使わなければならない。私たち市民の〈平和的生存権〉を保障することこそが、「憲法が政府に命令している」ことなのだから。
東アジアでの戦争―「沖縄の戦場化」を阻止するために、私たちは、このような〈政治〉を実現しなければならない。
※愛媛では、去る5月15日に、「ノーモア沖縄戦・えひめの会」の発足集会を行いました。また、『東アジアで戦争を呼ぶのは誰か―中国包囲網・琉球弧での日米戦争計画―』というタイトルの拙著・ブックレットを作成しました。ご一読していただけると幸いです。
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第一章 琉球弧の「中国攻撃拠点化」と日米共同戦争計画
第二章 米日らの中国包囲網と日本の「反中国」全体主義
第三章 「東アジアの現実」を捉えるための視座―複眼―
第四章 欧米日列強による中国侵略100年
第五章 戦後東アジアにおける台湾・沖縄・韓国―強いられた「米日の最前線」―
第六章 私たちは、何を、どうすべきか―〈平和と共生の東アジア〉に向けて―
<ご注文先>
Eメール/takaihiroyuki123@gmail.com Tel/090-2783-4568
〔価格700円/A5判 102頁〕
※ 10冊以上ご注文いただける場合は、1冊分600円とさせていただきます。
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高井弘之(「ノーモア沖縄戦・えひめの会」運営委員)