メルマガ第36号

「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」 賛同者・呼びかけ人の皆さま
いつも活動をご支援いただき誠にありがとうございます。
今号では、沖縄戦没者遺骨収集ボランティアで当会共同代表の具志堅隆松さんが6月17日、琉球新報に寄稿した「新たな戦没者を出さないために ノーモア沖縄戦連続講演会に寄せて」の原稿を、ご本人の承諾を得てメルマガで発信いたします。具志堅さんは4日からスイス・ジュネーブで開かれている国連の先住民族の権利に関する専門家機構に出席しており、「沖縄戦没者遺骨土砂問題の解決」と「台湾有事の回避」を訴えます。国連での発表についても後日、メルマガで報告いたします。

また火曜日のメルマガでは今号より前週の沖縄「戦前新聞」から南西諸島軍事強化に関連する記事の見出しを掲載します。その中で特に注目すべき記事をピックアップし、当会発起人の新垣邦雄さんが解説します。見出しのみの記事の詳細は毎日更新するホームページの沖縄「戦前新聞」のコーナーでご確認ください。今後ともホームページで毎日更新される「戦前新聞」をぜひご覧ください。

新たな戦没者を出さないために~ノーモア沖縄戦連続講演会に寄せて

これまで戦没者の遺骨収集を行ってきた中でその動機を訊かれることがよくある。今でも返答に窮するが、振り返ってみると、この40年の戦没者遺骨を取り巻く状況の推移により動機も変化していったのは確かである。
 初期の頃は沖縄戦で殺された人がその場所に埋もれているのを単純にかわいそうという気持ちから続けていた。次は遺骨収集を要請しても「沖縄戦の遺骨収集は終息しました」と言い切る沖縄県や国に対する不満から、掘れば見つかるという事実を示しながら、マスコミを通じて戦没者遺骨の存在と遺骨取集の必要性を社会に発信していった。
 その結果「終息宣言」から180度方向転換し、遺骨収集は「沖縄振興計画」の中に位置づけられ、さらに糸満市摩文仁の県平和祈念公園内に「遺骨収集情報センター」が設立された。
 その次の変化は見つかる遺骨のほとんどが身元不明遺骨のため、遺族の元へ帰すことができないので「厚生労働省はアメリカと同様に戦没者遺骨にDNA鑑定を実施して遺族を探して下さい」という、対政府交渉に軸足を置いた。遺骨返還要請活動を支えるための遺骨収集であった。
 結果、沖縄の戦没者遺骨は遺族へ返還するためのDNA鑑定の対象となり、さらに昨年10月からアジア・太平洋地域で見つかる遺骨も同様にDNA鑑定の対象となった。日本という国が戦後76年目にしてやっと国策で殺された戦争の犠牲者を家族の元へ帰すための国家事業に着手したということである。
 私はこの国家事業を私なりに評価して喜んだ。しかし、すぐにそれが幻想であるという事実を突き付けられた。防衛省は辺野古の新基地建設の埋め立て工事の土砂を、戦没者の遺骨が埋もれている南部から採取するという計画を発表した。これは遺骨収集をして遺族へ返還するということとは全く逆の方向性を持つ計画だ。戦没者の遺骨が混入する土砂を海に投入するというのだ。これは戦没者に対する冒涜である。人間の心を失った所業である。
 これまで政府要人たちが靖国神社参拝や全国戦没者追悼式などで「英霊に哀悼の誠を捧げる」と述べていることと全く相反する計画である。この欺瞞性は政府の対沖縄政策ではなく、国が「英霊」と呼んで最高の哀悼の意を表そうとしている戦没者に対する欺瞞性であり、裏切りである。
 岸田首相は沖縄の「慰霊の日」である6月23日の慰霊祭と8月15日の全国戦没者追悼式には戦没者に哀悼の意を述べる前に、このような戦没者を冒涜する計画を立てたことを戦没者に謝罪すべきである。
 これまでの活動は過去に起こった沖縄戦の犠牲者に対して責任ある国が責任を果たさないことに対する(或いはやるべきでないことをやろうとしていることに対する)憤りから来たものであるが、今それら過去の検証や未来への継承など全てが吹っ飛んでしまうような事態が迫ってきた。
 沖縄が再び戦場になる危険が迫っているのだ。米軍と自衛隊は既に合同で沖縄での軍事訓練を行っているが、中国が台湾に軍事侵攻する「台湾有事」のための訓練とも考えられる。実際に台湾有事を想定した日米両軍の共同作戦計画も策定されている。
 沖縄から攻撃すれば沖縄に反撃されるのは当然である。住民の避難はどうなるのかという質問に自衛隊は「自衛隊には住民を避難させる余力はない。自治体が考えてくれ」という旨を回答している。自衛隊は住民避難が必要な戦場化を想定しているということだ。
 これから先、県内でも住民避難やシェルター建設などが議論されるかもしれないが、140万の県民が海を超えて避難するというのは現実的ではない。沖縄にとって台湾有事の問題の本質は「攻撃すれば反撃される」ということで、沖縄の戦場化を回避するには攻撃させないことである。
 そのためには奄美から与那国まで連なる沖縄の島々に40カ所もの攻撃基地を作らせない・撤去させることである。沖縄で再び戦没者を出さないために、沖縄から出ていくべきは住民ではなく、沖縄を再び戦場にしようとしている危険要因の軍事基地である。

具志堅隆松(沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」代表、「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」共同代表)

今週の南西諸島軍事強化トピック 
(2022年6月27日~7月3日)

<ここに注目!!>
◇「日米は戦争を準備」 台湾有事 岡田氏 那覇で講演(沖縄タイムス 2022.6.27)
◇「台湾有事 住民犠牲に」 命どぅ宝の会 「戦争回避」強調(琉球新報 2022.7.1)
 「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」は6月26日、那覇市で共同通信客員論説委員・岡田充氏を招いた講演会「南西諸島有事を勃発させないために」を開催した。岡田氏講演のポイントは、中国側に台湾武力統一の差し迫った意図はなく、「台湾有事」は米国による「作られた危機」であること。日米安保が「対中軍事同盟」に変質し、南西諸島に攻撃拠点を置く「日米共同作戦計画」は戦争シナリオにほかならないこと。台湾有事で沖縄が「中国ミサイルの攻撃目標、戦場となり住民が巻き込まれる」(琉球新報)こと。戦争の危機を回避するために①中国敵視政策の停止②「一つの中国」政策の再確認③外交努力による平和解決ーが提起された。

◇欧州引き込み安保協力 首相G7サミットデビュー(琉球新報 2022.6.29)
◇NATO会議初出席 首相、アジアへ関与歓迎(沖縄タイムス 2022.6.30 
◇日韓停滞 3カ国結束に影 対中戦略疎外 米は不満 (沖縄タイムス 2022.6.30)
 岸田首相はG7デビュー、NATO会議にも日本の首相として初出席。米国はG7、欧州NATO各国を「中国包囲網」に唱導し、岸田首相は嬉々として旗振り役を演じた。欧州NATOは「中国包囲」に前のめりだが、韓国は対中国の共同戦線に距離を置く。「米政府は、日米間がまとまりやすい北朝鮮問題で結束を強めることで、中国と戦略的パートナー関係を保つ韓国を引き寄せて対中包囲網拡大につなげる青写真を描く」と米国の韓国巻き込み戦略は露骨だ。韓国がアジアの隣国であり経済大国の中国との良好な関係を保つのは当然だ。先のアジア安全保障会議でアセアン各国は米国、日本の「対中包囲」の扇動に冷ややかな目を向けた。「米国か中国か」の二者択一に警戒感(産経新聞)、マレーシア国防相は「ASEAN10カ国は自分たちの運命を決めることができる。いかなる大国もこの権利を奪えない」と述べ、米中いずれかの陣営に帰属するような展開は避けたいと強調した(産経新聞)。右寄りの産経新聞ですらこう書いた。米国に付き従い隣国中国との関係を分断する日本政府の対応は、アジアの安定、日本の国益を損ねている。

◇住民避難の限界「議論を」 県有識者会議 有事対応で指摘 緊張緩和の必要性求める(沖縄タイムス 2022.7.1)
◇台湾有事「想定議論を」 県有識者会議 国民保護法も言及(琉球新報 2022.7.2)
 「台湾有事で沖縄は戦場になる」と軍事専門家が指摘するなかで、あたかも有事の住民避難が可能であるかのように「石垣市、宮古島市が住民保護計画」、「沖縄県、住民避難訓練へ」と計画、訓練が一人歩きする様相を見せている。県有識者会議から「有事の国民保護法の住民避難が非現実的なものになっている」(沖縄タイムス)と批判の声が上がった。石垣市の保護計画では「全住民の避難に10日間」(琉球新報)、宮古の保護計画は「航空機381機必要」(同)。台湾有事の南西諸島有事は「ミサイル戦争」(小西誠氏)と言われる。ミサイル戦争下で人口5万の石垣市、宮古島市の住民の逃げる場所はなく、島外に逃げるいとまがあるはずもない。「戦時の住民避難は不可能」(佐道明広中京大学教授、新報)。
不可能な住民避難のために「避難区域」を設け、「避難訓練」を行わせるのが政府の算段であろう。騙されてはいけない。「戦争の選択肢はありえない」が結論だ。

宮古島の駐屯地 陸自が3年記念 市民団体は抗議(沖縄タイムス 2022.6.27)

「日米は戦争を準備」 台湾有事 岡田氏 那覇で講演(沖縄タイムス 2022.6.27)

自衛隊や米軍機「運用に影響も」 風力発電設備巡り防衛相(沖縄タイムス 2022.6.27)

ミサイル強化 実情報告 東京 沖縄の基地パネル展示(琉球新報 2022.6.27)

南西地域配備「一部改善を」防衛省行政レビュー(沖縄タイムス 2022.6.29)

防衛費の大幅増 自衛隊強化必要 金城・河野氏の政策(沖縄タイムス 2022.6.29)

欧州引き込み安保協力 首相G7サミットデビュー 中朝ロと対話停滞、緊張続く(琉球新報 2022.6.29)

日米韓、安保協力を強化 対北朝鮮 5年ぶり首脳会談(沖縄タイムス2022.6.30)

日韓停滞 3カ国結束に影 対中戦略疎外 米は不満 (沖縄タイムス 2022.6.30)

NATO会議初首席 首相、アジアへ関与歓迎(沖縄タイムス 2022.6.30)

住民避難の限界「議論を」 県有識者会議 有事対応で指摘 緊張緩和の必要性求める(沖縄タイムス 2022.7.1)

有事想定計画 自治体任せ 避難に壁  県、国の関与促す (沖縄タイムス 2022.7.1)

台湾有事「想定議論を」 県有識者会議 国民保護法も言及(琉球新報 2022.7.2)

「二度と沖縄を戦場にさせない」
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店名 七〇八(ナナゼロハチ)
店番 708
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名義 アラカキヒトミ(会計担当)

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店番号 :311
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