新年早々、羽田空港で起きた海上保安庁機との接触による日航機炎上事故から、自衛隊が共用する那覇空港でも起きかねないこと、今後急速に進められる全国の空港・港湾の軍事化による航空機事故の懸念が高まることを見せつけられました。
ヒューマンエラー防止、システム改善という視点だけではなく、軍民共用がいかに重大な問題を孕んでいるか、本稿をお読みいただき、お考えいただければと思います。
「軍民共用」那覇空港の誘導路増設 自衛隊機・民間機事故の危険高まる
今月2日に起きた羽田空港の日航機炎上事故は対岸の火事ではない。事故は海上保安庁機が滑走路に進入し起きた。自衛隊「軍民共用」の那覇空港では1985年に、自衛隊機が滑走路に進入、着陸してきた乗客204人の全日空機に接触した事故など重大事故が何度も起きている。その那覇空港で防衛省は「防衛強化」を目的に、自衛隊機の離発着に利便をはかる滑走路の誘導路増設を計画している。断固、拒否するべきだ。
85年の接触事故は、自衛隊機が管制官の離陸許可なく滑走路に進入したのが原因で、羽田空港事故と酷似する。全日空機はエンジンをもぎ取られ、燃料に引火すれば爆発炎上の大惨事となりかねなかった。2015年6月には離陸滑走中の全日空機の前を、管制官の許可なく空自ヘリコプターが横切り、全日空機が離陸を中止。直後に別の民間機が同じ滑走路に着陸し、あわや2機が衝突しかねない重大事態を招いた。18年6月にも戦闘機が停止位置を越えて滑走路に進入。83年には陸自大型ヘリの墜落炎上も起きている。
そのほか民間機と自衛隊機のニアミス、特に2010年以降はF15戦闘機の滑走路上のパンク、滑走路逸脱、滑走路灯の接触破壊による滑走路閉鎖が続発。重大事故の危険、交通運輸の深刻な影響に県議会、那覇など市町村議会が「那覇空港の民間専用化」を次々と決議した。県民の懸念に逆行し、F15戦闘機の配備が20機から40機に増やされ、E2C早期警戒機も配備され、スクランブル(緊急発進)の増加により那覇空港の危険性は高まり続けている。
さらに自衛隊機が使用するために那覇空港の2つの滑走路を結ぶ連絡誘導路を現在の1つから2つに増やすというのである。軍事専門家の小西誠氏は「那覇空港は過密な上に、空自のスクランブルが頻繁に民間飛行に割り込み、事故が起きやすい。誘導路増設による訓練強化で危険性が増す。羽田のような事故が起きてもおかしくない」と危惧する。
那覇空港だけではない。政府は県と「軍事利用しない」と覚書を交わした下地島空港を含め那覇、久米島、宮古、新石垣、波照間、与那国の7空港、那覇、中城、平良、石垣、与那国比川(新港)の5港を軍民両用の「特定重要拠点空港・港湾」として整備する構えだ。米軍、自衛隊基地だけでなく、沖縄全体の軍事要塞化が進む。
那覇空港の誘導路増設、空港・港湾の軍事化に県、議会、県民挙げて反対の声を上げるべきだ。
新垣邦雄(ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会事務局長)