メルマガ123号

今回は元共同通信台北支局長でジャーナリストの岡田充さんからの寄稿です。岡田さんには昨年6月に開催した当会のシンポジウムで基調講演をしていただきました。講演では中国脅威論や「台湾有事」が迫っているという国際キャンペーンは米国による「作られた危機」であること、それに日本が同調し日米の軍事一体化と「対中軍事同盟」化が進んでいること、それに日本のメディアや世論も同調し「作られた危機」が現実となる懸念が高まっている現状を明らかにしました。今回の寄稿では日中平和友好条約締結45周年を迎える今年、「台湾有事」を誘発する中国敵視政策をやめ、日中関係を改善するため「一つの中国」政策の意義を再確認すべきだと強調しています。本稿をぜひお読みいただき、4月29日の「台湾有事を起こさせない・沖縄対話プロジェクト」の第2回シンポジウムにご参加ください。シンポジウム詳細はこちらをクリックしてご覧ください。⇒ http://nomore-okinawasen.org/7562/

★「PAC-3について ~ 宮古島に配備する意味」のご紹介 

4月23日から「北朝鮮の脅威」を煽り、「北朝鮮からのミサイル破壊」を口実に強行配備されているPAC3。今回の配備はどのような意味があるか、私たちはもっと知る必要があります。その疑問に明快にわかりやすく解説していただいたシートを当会呼びかけ人である宮古島市議の下地茜さんから提供いただきました。ぜひご覧ください。
こちらをクリックしてください ⇒  http://nomore-okinawasen.org/7683/

日中平和友好条約締結45周年 「一つの中国」を無視するな

「民主的に選ばれた政治家同士の交流が非難されるいわれはない」。台湾の蔡英文総統とマッカーシー米下院議長(共和党)の会談(4月5日)に中国が大反発したことについての「朝日新聞」(4月7日付)社説の出だしだ。これを読み開いた口がふさがらなかった。
一方、「日本経済新聞」社説(4月5日付)は「米台の枢要な立場にある人物が連携を確認する意義は大きい」と、会談を手放しで絶賛する。両紙のトーンには温度差はあるが、米政府が国交のない台湾トップの米「訪問」を受け入れ、政治活動を容認したことの是非は問題にしない点で共通する。
米政府は、台湾総統が中南米諸国を訪問する際「経由地」の米国滞在を、陳水扁政権時代(2000~08年)から認めてきた。ただ米滞在中の政治活動は厳しく制限してきた。歴代米政権の「一つの中国」政策に基づく措置だ。
これに対しバイデン政権は今回、蔡氏がニューヨーク「ハドソン研究所」で講演(3月30日)、復路で下院議長と会談する「政治・外交活動」を容認した点で、従来政策を突破したのだ。米国務省は蔡訪問を「訪問ではなく経由地滞在」と言うが、それは強弁だ。
米政権はことし2月にも、台湾の呉釗燮・外交部長訪米を認めシャーマン米国務副長官と会談させている。これまでは台湾正副総統のほか、行政院長(首相に相当)、外交部長、国防部長らの米国「訪問」は認めてこなかったから、バイデン政権が「一つの中国」政策の骨抜きを狙っているとみる中国側の主張は理解できる。
「朝日」は「民主的に選ばれたリーダーの交流は当然」と、民主化に力点を置く。では、民主化という「内政上の変化」は、米中間で合意した両国関係を律する共同声明や条約などの枠組みを変えられるのだろうか。答えは「ノー」。
それを認めれば、外交関係が成立しなくなる。特に米中という世界政治・経済の枠組みに大変化もたらす大国間の外交関係では、慎重な対応が求められる。バイデン氏自身も習近平国家主席に「一つの中国」政策の順守を何度も約束している。だが中国側は、言行不一致だと非難する。
日中平和友好条約締結45周年を迎える今年、「台湾有事」を誘発する中国敵視政策をやめ、日中関係を改善するため「一つの中国」政策の意義を再確認すべきだ。
沖縄対話プロジェクトは琉球新報社と共催で4月29日午後1時、琉球新報ホールでシンポジウムを開き、台湾からジャーナリスト・識者3人をお迎えし、複雑な台湾問題を議論する。ご参加ください。

岡田 充(ジャーナリスト、元共同通信台北支局長)
※今回の原稿は岡田さんに、2023年4月21日に掲載された琉球新報の論壇の転載をご承諾いただき、末尾のシンポの開催日時を加筆編集したものです。

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