メルマガ45号

「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」 賛同者・呼びかけ人の皆さま
いつも活動をご支援いただき誠にありがとうございます。
今回は戦時体制の集大成というべき希代の悪法、土地規制法に対する谷山博史さんの渾身の原稿です。「戦前の密告制度の再来」ともいうべきこの法律をどうすれば私たちの手で止めていけるのか、その処方箋を示してくれています。文中でも強調されている通り、「私たち一人ひとりの力は微力であって無力」ではありません。声を挙げず、行動しないことで、どのような社会が迫ってくるのかを我が事として考える分岐点にきています。ぜひともこの原稿をおよみいただき、文中で示しているページにアクセスしてください。そしてご自身にとどめず、一人でも多くシェアしていいただきますようお願いいたします。

土地規制法がやってくる!!
パブリックコメントで希代の悪法に抗う

戦争準備とともにやってきた

土地規制法はここ数年来加速する日本の軍備拡張と同時並行で準備が進められてきた。その背景にはアメリカのインド太平洋地域での覇権維持のための中国封じ込め政策がある。軍事面での米軍の海洋プレッシャー戦略と経済面でのインド太平洋経済枠組み(IPEF)である。軍事戦略においては南西諸島を舞台とする日米共同作戦計画が事実上すでに動き出している。南西諸島での軍事要塞化は住民の激しい反対が予想されていたし、現に住民の抗議・阻止活動は激しさを増している。またひとたび戦争が始まれば住民の反対を完璧なまでに封じなければならない。そのために日頃の調査・監視活動が必要となる。土地規制法の目的はまさにそこにある。
土地規制法は基地や原発など安全保障上重要な施設の周辺及び国境離島を「注視区域」または「特別注視区域」に指定し、区域内の土地・建物の所有者や賃貸者、出入りする人々を調査し、それら施設や国境離島の安全保障上の機能を阻害する行為を取り締まるものである。「機能阻害行為」すなわち施設や離島の機能を妨害した事実だけでなく、妨害する恐れを調査監視するため、住民やその他関係者の個人情報まで調査される可能性が高い。そして調査対象者の「その他関係者」に情報提供を義務づけるのであるから、まさに戦前の密告制度の再来と言わざるを得ない。

全面施行まであと一か月あまり

政府は6月1日に土地規制法を一部施行した。9月の全面施行までに土地等利用状況審議会を発足させ、私権制限に関わる基本方針や各種政令・府令をパブリックコメント(パブコメ)にかけたうえで閣議決定する。この法律は昨年6月、多くの市民、憲法学者や弁護士会などの反対を無視し、国会審議における立憲野党の強い疑念に何ひとつ答えることなく強行採決された。法文には、何が重要施設なのか、誰の何をどうのように調査するのか、規制の対象としての阻害行為は何なのかなど、法の適用方向を左右する基本概念の内容が曖昧で基本方針や政令等に委ねられることになっている。このうち特に重要なのが調査や規制の要件や内容を決める基本方針である。
 私たちは多くの市民団体、国会議員や地方議員の協力を得て法案審議の段階では法案の廃案を、法が成立してからは廃止を求める運動を展開してきた。またこれまでに4回政府に対して法の施行状況に関するヒアリングと基本方針の内容に関する交渉を行ってきた。当初政府は基本方針をパブコメにかけない方針であったが、私たちの働きかけの結果7月26日からパブコメの募集が始まった。運動の成果である。この希代の悪法は廃止するしかないと考えているが、運用がまじかに迫っている以上せめて運用において少しでも市民の人権が損なわれることがないようにしなければならない。そのためにパブコメはもっとも効果的な手段なのである。

パブリックコメントを出そう

パブコメ募集が始まった直後の7月28日、私たちパブコメ・キャンペーンを始めた。政府の基本方針案を事前に入手して分析を行ったうえでのキャンペーンの呼びかけである。これまで命どぅ宝の会とも密接に協力してきており、7月23日には「沖縄が危ない!土地規制法がやってくる!!」というタイトルで講演会を開催していただいた。会場に集まった方たちの土地規制法に対する危機感は並大抵のものではなかった。そこで私が強調したのは8月をパブコメ月刊にすることである。パブコメの期間は8月24日までで1か月に満たないが、この期間にできるだけ多くのパブコメを政府に送りつけること、そしてそのことメディアや市民に広く周知し土地規制法の問題点を訴えることが重要である。私たちを縛る法律が施行されるのをただ座して待つのではなく、今このタイミングでできることに集中したい。
 基本方針案に関するパブコメの出し方については、土地規制法廃止アクション事務局のサイトに詳しく説明が載っているので末尾のURLからサイトに入っていただきたい。サイトには基本方針案へのパブコメの意義、基本方針案の解説、パブコメ意見例も掲載している。廃止アクション事務局のサイトにあるパブコメ意見例を見れば基本方針案の問題だらけの実態が見えてくる。合わせて57のパブコメ意見例を作った中から簡潔な意見例につけた仮のタイトルだけいくつか紹介すると、「高所からの監視は『機能阻害行為』に該当しないと明記せよ」「土地規制法は罪刑法定主義違反の違憲立法であり廃止せよ」「思想・信条にかかわる情報は収集しないと明記せよ」「密告奨励の窓口をつくるな」「『その他関係者』から『利用者の家族や友人・知人』を外せ」「個人情報を厳格に保護すべき」「情報収集の方法は厳しく制限されるべき」などと続く。
 私たちひとりひとりの力は微力であっても無力ではない。小さな力が沢山集まれば政府をも動かすことができるはずである。みなさん、ぜひみんなでパブコメを送りましょう。このキャンペーンを一人でも多くの人に広めてください。

土地規制法廃止アクションのサイト以下です。
http://juyotochi-haian.org/2022/07/28/pubcome_okurou/
土地規制法「みんなでパブコメ」セミナーのYouTubeは以下です。
https://youtu.be/W-l5XZXKmMQ

谷山博史(ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会呼びかけ人・土地規制法廃止アクション事務局)

土地規制法学習会参加アンケート

去る7月23日に仲松正人弁護士、今回のメルマガに投稿いただいた谷山博史さんを講師に実施した土地規制法学習会参加者のアンケートです。「希代の悪法」土地規制法についてまだまだ周知されておらず、その問題の本質が見えにくい状況がうかがえました。アンケートで示された貴重な提案を参考に、今後も当会でもこの法の重大な問題点を表に出し、廃止へむけて取組みをすすめていく必要があると思います。

<アンケート>(抜粋)
◆SNSのアカウントでは一瞬土地規制法の話題を見たことがありましたが、特定秘密保護法案などに比べると、あまり広がっていない印象を受けます。もっと大きな輪にしていかないといけないと思いました。SNSのアカウントを作成する予定はないのでしょうか。わかりやすく問題点をまとめて発信したり、パブコメやFAX通知の際にテンプレを示したり、リンクに誘導したりすることができれば拡散しやすいのではないかと思いました。
◆仲松さんのお話 法律の全体的な内容とその問題点がよく理解できました。 
谷山さんのお話 反対運動の具体的な動きについて知ることができ、少し展望をもつことができました。
◆地域の中でゆるやかでもいいので、土地規制法も含めて、話ができる関係を作っていくことが大事だと思いました。
◆土地規制法が国会で成立してから無力感を感じていました。もう全面施行するところまできていてどうしようもないと思っていました。「沖縄県民有志の会」があるということでパブコメします。最後のナカマツケイコさんのお話、わかります。親戚の30代の男性も私と共通して悲惨な未来(沖縄が戦場になる)を私と共通して想定している。ただ彼は中国という非道な国(香港やウイグルの次は台湾や沖縄という)が、沖縄を侵略すると思っている。私は日米が煽って戦場になると思っています。
◆知らず知らずのうちに政治の状況が急変し、日本の有事が沖縄に限局してきているのを痛感します。自民党政権を安泰にしている日本国民は不思議な国民です。そして今後も沖縄蔑視と基地固定化はすすみます。沖縄の無力を感じ、県民の意識改革も必要だと思います。
◆土地規制法の怖さを感じました。個人情報保護法に関わる動きも知らなかったです。仲松さん、谷山さんのお話によって、少し理解をすることができました。周りにも伝えていく共有していくためにも、より理解を深められようにしたい。そのためにまた機会があれば勉強会などに参加してアクションを起こしていけたらと思います。また沖縄戦を生き延びた方の思いをうかがい、今がまさに戦前と似ているということも改めて感じました。
◆土地規制法がいかに法的に問題があるかをわかりやすく説明いただいた。またこれまでの法整備に至るまでの国家間などの流れについて初めてうかがうことを含めて知ることができた。短い講演時間であったが、とても理解しやすい内容だった。結果として来場していただいた方々にも問題点の共有と危機感を以てアクションにつながるのでは期待した。
◆仲松弁護士の土地規制法の中身、審議過程をふくめやかりやすく講演いただきました。谷山さんの土地規制法の国際的=アメリカの国益を反映した背景及び闘い方の具体的な説明に今後の意を強くしました。2022年6月より辺野古現場で防衛局の職員が前面的強行に出てきているのが目につきます。また青パト(80億 今後より45億円)を使って沖縄中の監視活動を行っているのではないかという恐怖があります。米兵犯罪防止を口実にした沖縄人監視活動に政府が利用しているのではないだろうか。
◆安全保障の名を借りた戦争準備、国体護持、政権維持のための法律であることがよくわかりました。権力者がこのような悪法を勝手に成立させる社会になってしまったことが恐ろしいです。我々に何ができるのか、もっと無関心な市民、国民、若者を取り込んでいく工夫を真剣に考え、行動したいとも思います。
◆「土地規制法」なので、土地を所有していない重要施設周辺に居住していない者は大丈夫!!と思いがちです。 “その他の関係者”で誰でも対象になり得るのだということをもっと周知していくことが重要だと思います。そうすると若い人たちも自分の情報が収集されることは恐怖だと思うので、関心を持つのではないかと思いました。
◆最後に持ち上がった土地規制法パブリックコメントのための勉強会を身近な仲間たちとやるというアイデアに行きついたこと、素晴らしかったと思います。ぜひ実践したいと思います。
◆きちんと学習したいと思い、参加しました。わかりやすくてよかったです、しかし会場から立たれた戦争体験者の切なる訴えをあいまってこの法律のひどさ、恐ろしさを実感させられました。地域コミュニティをつくっていくこと、自分の足元を固めること、力をもらった気がします。ありがとうございました。

文責  瀬戸隆博(ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会呼びかけ人)

「メルマガ45号」への1件の返信

  1. 話を聞けば聞くほど、文章を読めば読むほど、内容がわからず内閣がやりたいようにやれる内容であること。違反にならない説明以外はすべて違反になる可能性があるものだと感じました。個人情報、思想信条もとりたい放題にとれ、憲法に反する内容だとも感じています。将来が恐怖に感じています。絶対廃案になってほしいです。

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