メルマガ41号

「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」 賛同者・呼びかけ人の皆さま
いつも活動をご支援いただき誠にありがとうございます。
今回は来る7月23日の土地規制法学習会へむけて、この法律の問題点、危険性を鋭く指摘した原稿をお送りします。もうすぐ施行されるこの悪法を本気でとめるために、ぜひお読みいただき、一人でも多くの方々に拡散していただくようお願いいたします。下記に企画のチラシをご案内しておりますので、ぜひご覧いただき、ご参加ください。
※今回の原稿は沖縄タイムス、琉球新報で紹介された原稿を転載しております。

※発起人の宮城恵美子さんの沖縄タイムス(2022.7.21)の原稿もあわせて掲載いたします。
 

土地規制法の危険性 沖縄スパイ戦 再来許すな


昨年6月に国会で可決・成立した土地規制法の全面施行が9月に迫っている。この法律は基地や原発などの国の安全保障に関わる「重要な施設」周辺や国境離島の区域を「注視区域」に指定し、土地・建物の所有者や利用者の行動を調査、監視、規制するものである。また特に重要な施設や離島周辺は「特別注視区域」に指定され、土地・建物の売買・賃借等の取引は事前報告が義務付けられる。この措置は沖縄の台湾有事を想定した軍事要塞化と密接にかかわっている。
9月までに法文では明記されていなかった重要施設が何なのか、処罰対象となる重要施設や国境離島の「機能阻害行為」とは何なのか、調査対象や内容は何なのかが決められ、全面施行後に順次区域指定と住民調査が始められる。
この法律による調査と規制のターゲットは第一に沖縄である。指定区域内の住民調査では、土地等の所有者・賃借権者を調査するだけではなく、近隣の住民をはじめ「その他関係者」には情報提供の義務が課される。いわば密告の義務化である。そして自衛隊や公安警察が調査の実働部隊にもなると考えられる。これは軍の命令によって住民同士が監視し合い虐殺まで引き起こした「沖縄スパイ戦」の再来と言っても過言ではない。
今なぜこの法律が作らなければならなかったのか。それは、政府が戦争に備えるためにまず初めにすることは、市民の目と耳と口を塞ぐこと、そして最後には身体を縛ることだからである。すなわち、沖縄で進んでいる島々のミサイル基地化、頻繁かつ大規模に繰り広げられる軍事演習、「台湾有事は日本の有事」といった政治家の発言に見られる世論誘導と連動した戦争準備の立法なのである。軍事要塞化に対する批判は萎縮させなければならないし、ひとたび戦争が始まれば住民の反対を完璧なまでに封じなければならならない。そのために日頃の調査・監視活動が必要となるのである。
私が関わっている土地規制法廃止アクション事務局は、この法律の基本方針をパブリックコメントにかけるためのオンライン署名活動を行っている。基本方針では処罰対象となる「機能阻害行為」や調査対象・調査内容がほぼ決まってしまうため、その案に市民の意見を反映させることが不可欠なのである。法の全面施行前に今一度この法律の危険性を広く知ってもらわなければならない。沖縄では7月23日午後2時から那覇市の八汐荘にて土地規制法に関する「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」の講演会が開催される。
講演会https://nomore-okinawasen.org/2039/

谷山博史(団体職員)


「戦争ができる国」日本の戦争準備法


7月8日「元海上自衛隊員が選挙演説中の安倍元総理を射殺」との衝撃ニュースが駆け巡った。「坂を転げ落ちるように戦争シナリオができあがろうとしている」と岡田充氏(共同通信社客員論説委員)は「米中対立と沖縄」(本紙2月5日)で警告していた。同情票で選挙が自民党有利に働けば戦争へと坂を転げ落ちるスピードは増すと懸念したが、メディアは安倍氏称賛の声を流し続け、結果はやはり自民党圧勝。沖縄を戦場に想定した九州での日米軍事演習も終了し「あとは政治のゴーサインを待つのみ」と思われるが、ゴーサインへと向かうスピードが増す。安倍神格化が進む状況では、坂を転げ落ちる日本を止める歯止めも利かない。日本を「戦争ができる国」にした張本人は安倍晋三氏であり、政権終了後も安倍政治が継続中であるとの認識は、現状の戦争迫る危機の把握に必須なのである。
第二次安倍政権下(2012年~2020年)で日本は「戦争のできる国」に変質した。森友・加計学園等、権力私物化や権力への忖度がはびこり、黒塗り公文書で国民は知る権利を奪われ、政権批判ができないようメディア・コントロールが進みジャーナリズムも衰退、報道の自由度は途上国並となった。政権が作ったネトウヨは基地沖縄や原発福島の反対者を攻撃、中国ヘイトスピーチがネット上に氾濫、平和運動を萎縮させ中国敵視の世相を作った。司法では不正や曲解、政権癒着が横行、国会討議を経ない法制定、勝手な解釈、法の下克上などで法治国家は崩壊した。教育基本法改正、特定秘密保護法、安全保障関連法、「共謀罪」法、憲法改正手続き法、ドローン規制法、国民の権利を奪い監視社会を強める戦時体制確立の悪法成立は今に続く。「集団的自衛権」により「米国の代理戦争が出来る国」になった。残るは、緊急事態条項や自衛隊明記など戦争合法化の改憲だ。「安倍は死すとも安倍政治は死なず」戦後の米国隷属路線は自公政権とそれを支持する国民によって強化され続けている。
 その総仕上げとして、「国家安全保障上重要な土地等に関わる取引等に関する法律」が9月から施行される。野党の反対を押し切り与党や維新など改憲派が強行裁決した「土地規制法」(通称)は、何故、戦争準備法なのか?憲法の保障する人権や財産権を停止し、政府が勝手に法律同様の政令を出す自民党改憲の緊急事態条項の先取りだからだ。具体的内容記載も無く、区域や現地調査など総理大臣が決定、特に米軍や自衛隊の基地を抱える沖縄が対象で、個人の土地を国が管理し住民間監視を強め「基地機能阻害行為」として、基地や戦争反対の県民を取り締まる。戦争反対の市民に扮した米兵に銃を突きつける米兵、那覇軍港で見た訓練が現実となる。沖縄を戦場とするための法だ。復帰50年の今、日本は本法によって、基地無き平和を願って復帰した沖縄の私達の権利や抵抗を奪い、米国代理戦争の戦場にしようとする。命を守るため私達に何ができるのか? 

与那覇恵子(ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会 発起人)

「土地規制法」は戦争準備法―沖縄想定に住民生活を制限


安倍政権時代に、集団的自衛権が容認され、安保関連法等が国民の反対の声を押し切って制定された。そして昨年6月、戦前の「軍事機密保護法」に近い法律が安保関連法と同様に強行採決された。その法律は略称で「土地規制法」という。正式名は「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律」と「等」を3つも含む内容が曖昧な法律だ。
そして「土地規制法」成立半年後の昨年12月、「日米共同作戦計画」原案が共同通信によってスクープされ、県内2紙が報じたのが「台湾有事で南西諸島に臨時の攻撃用軍事拠点」という計画である。米軍と自衛隊が、琉球弧の中にある水の補給可能な約40の有人離島を伝い、その島々に「臨時」に拠点を置く。さながら日米がゲリラのように、「敵」の砲撃を避けては移動し、移動しては次の拠点で戦う、新しい海兵隊の運用指針(EABO)も示された。例えば宮古島では高機動ロケット砲ハイマース等を軍車両に搭載して島中を逃げ回るらしく、その車両を島に待機させている。島内が戦場と化し、島民は盾にされ、軍民混在が前提となる。
【再び地上戦の恐れ】
軍民混在したあの沖縄戦で「軍事機密保護法」によって住民が一方的にスパイ嫌疑をかけられ日本兵に殺害された事例は少なくなかった。沖縄戦の再来を思うと身震いする。このような日米軍事訓練が日々重ねられている。この軍事計画と合わせるかのように成立しているのが「土地規制法」である。
法の名の通り「離島」県、琉球弧・沖縄全体が法律の規制下に置かれる。法制定の前、外資による重要土地買収防止が目的と言われたが、国会審議では外資は一切関係ないと説明された。したがって法制定の必要性や根拠となる「立法事実」は無い。それでは何のために制定を急ぐのか、政府当局は真正面から戦争準備とは言えないから、本音を隠すために道筋を失った答弁をしている。
重要施設も周辺も国境離島も「等」は閣議で決まる。土地「等」も利用状況も利用の規制「等」も中味は後に指定されていく。注視区域や特別注視区域などに指定されれば、土地の利用状況が制限され調査される。人々が何をどうしたら規制されるのか、法文では不明確だが罰則規定(第27条・28条)を設けている。政府の恣意的判断に委ねられ、罪刑法定主義にも反しているのはまさに悪法と言えよう。重要施設の「機能阻害行為」が何を指すかも「閣議」で決まる。その一方で、法第22条は「目的達成のため」「関係行政機関の長及び関係地方公共団体の長その他の執行機関に対し、資料の提供、意見の開陳その他の協力を求めることができる」と明記されている。
【思想調査も対象】
第22条は関係者や自治体から公然と思想調査で国民が協力させられることに踏み込んでいる。従来、人権侵害やプライバシ―侵害等やってはいけない行為とされてきたことも、戦争を理由に「人権をストップする」と言わんばかりに公然と政府が情報収集できる。「他」の機関、労働組合等からも組員名簿提供や隣人による人の通報をも推奨される。まさに住民を監視して政府の戦争遂行への障害物を排除する法律と言える。
辺野古新基地闘争も国防上の障害として弾圧される。戦争準備法、住民監視法、治安維持法の側面を有しているだけに、「土地規制法」を廃案あるいは無効力化に持っていかねばならない。今こそ近隣諸国とは軍事ではなく相互信頼・相互尊重に基づく外交努力を尽くすように政府に強く働きかけていきたい。
「ノーモア沖縄戦命どぅ宝の会」主催で23日午後2時~4時半、那覇市の八汐荘で土地規制法勉強会「沖縄が危ない!土地規制法がやってくる!」を開催する。講師は法の危険性を訴えてこられた仲松正人(弁護士)と谷山博史(土地規制法廃止アクション事務局長)。

宮城恵美子「ノーモア沖縄戦命どぅ宝の会」発起人

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