参院選候補者に「台湾有事」「防衛強化」の公開質問状を送り、回答を得ました。

 「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」は参院選沖縄選挙区候補者、県出身の比例代表候補者に、「台湾有事」対処を想定する「日米共同作戦計画」、「自衛隊ミサイル部隊配備」、有事の際の「住民避難」、「敵基地攻撃能力(反撃能力)」保有、米軍の核兵器を国内に配備・運用する「核共有論」、防衛予算(軍事費)の拡大などについて賛否や見解を問う公開質問状を送りました。公開質問状を沖縄選挙区候補者の伊波洋一さん(現職、無所属)、古謝玄太さん(新人、自民党公認、公明推薦)、比例代表候補者の今井絵理子さん(現職、自民)、上里清美さん(新人、共産)、宮城一郎さん(新人、社民)に宛てて用意しましたが、自民党県連は比例代表の今井絵理子さんへの質問状を「全国を飛び回っており届ける責任を持てない」として受領せず、古謝玄太さんは質問状を受け取られたものの、回答期限の6日、自民党県連は「回答を保留する」としました。以下、伊波洋一さん、上里清美さん、宮城一郎さんの回答を公表します。

  • 自衛隊と米軍の台湾有事の「日米共同作戦計画原案」策定と推進をどう考えるか。賛否(番号を丸で囲む)とその理由をお書き下さい。
名前賛否理由
伊波洋一反対「台湾有事」に米軍が介入し、同時に集団的自衛権により自衛隊が介入して代理戦争を戦うことを予定した「共同作戦計画」であり、安倍政権の安保法制強行制定時に危惧されてきたことだ。中国との緊張を不用意に高め、台湾と日本本土を防衛するために、沖縄を戦場にする計画は絶対に容認できない。
上里清美反対南西諸島はじめ沖縄本島が戦場になることは許されない。県民を捨て石にするな。
宮城一郎反対日米の軍事一体化、台湾有事を想定した訓練そのものが中国を刺激する。
  • 南西諸島で進む自衛隊ミサイル部隊配備や弾薬庫設置などの関連施設建設について賛否とその理由をお書き下さい。
名前賛否理由
伊波洋一反対地域に分断を持ち込み、住民合意のない南西諸島への自衛隊ミサイル部隊配備などの軍事化に反対する。
上里清美反対自衛隊ミサイル部隊は米軍と一体に強化されている。(質問1)と同様に、南西諸島を戦場にまきこむ危険を高めることには反対。基地配備は紛争の誘因につながる。
宮城一郎反対攻撃対象となり、住民が巻き込まれる。
  • 軍事施設が敵国からの攻撃目標になるとの軍事専門家からの指摘があります。その指摘について、賛否とその理由をお願いします。
名前賛否理由
伊波洋一賛成ロシアによるウクライナ侵攻においても当初ロシアは「軍事施設を攻撃している」と侵略を正当化していた。ジュネーブ諸条約では「軍事目標主義」を採用しており、軍事施設は攻撃の目標になることを示している。
上里清美賛成軍事施設が標的になることはロシアのウクライナ侵略をみても明らか。先の大戦でも同様であった。
宮城一郎賛成敵国の中枢をたたくのが軍事戦略上の鉄則。ウクライナ戦争然り。
  • 自衛隊は「有事の住民避難は自治体の役割」としています。有事にあたり、沖縄県や市町村が避難計画を策定することで、実際に住民を安全に避難させることが可能だと考えますか。可能とする場合は出来るだけ具体的に手段[移動手段・避難シェルターなど]や決定プロセスなどをお書き下さい。
名前賛否理由
伊波洋一不可能現行法では、国は武力攻撃事態・予測事態になってはじめて国民保護措置(住民避難)を指示するのみで、航空機や船など輸送手段確保はすべて県・市町村に丸投げされている。住民避難には、石垣市(想定6万5300人)で航空機435機(1日45機(150人搭乗)、9.67日)、宮古島市で381機が必要と試算されている。さらに武力攻撃事態等になれば、「特定公共施設利用法」が発動され、自衛隊・米軍の活動のために、港湾や空港などの利用が制限される。仮に国が関与しても、安全に島嶼である本県から住民が避難することは不可能である。
上里清美不可能石垣市は全員避難に10日間、宮古市は避難完了に航空機381機が必要の試算です。現実離れしています。どこに避難するのか? 避難後の暮らしは? 紛争中に空路も海路も危険。
宮城一郎不可能物理的に不可能。市町村の能力の範疇を超えている。
  • 岸田政権は「反撃能力(敵基地攻撃能力)や核の共有」についても前向きな姿勢を示しています。そこで以下の3項目それぞれについての賛否とその理由をお書きください。

①反撃能力(敵基地攻撃能力)について

名前賛否理由
伊波洋一反対専守防衛の範囲を越え、憲法に違反する。
上里清美反対他国領空内に自衛隊機が侵入して爆撃することも「排除しない」(岸防衛大臣)というように、「専守防衛」(防衛上の必要からも相手の基地を攻撃することなく、もっぱらわが国土およびその周辺において防衛を行うこと)投げ捨て、戦争放棄をうたい、海外での武力行使を禁止した憲法九条に真っ向から反する。
宮城一郎反対憲法違反、専守防衛に反する。
  • ②アメリカと核兵器を共有し、日本国内に核兵器を配備することについて
名前賛否理由
伊波洋一反対周辺国の警戒心を高め、さらなる「安全保障環境」の悪化につながる。唯一の戦争被爆国として、核兵器の廃絶を訴えるべきだ。
上里清美反対日本の非核三原則にも反し、世界は核兵器廃絶に向かっている流れにも逆行する。核共有したら、在沖米軍基地あるいは自衛隊基地に米軍の核爆弾を貯蔵・管理する施設が造られ、自衛隊が核攻撃に参加することになる。日本被団協が「日本国民を核戦争に導き、命を奪い国土を廃墟と化す危険な『提言』」だと撤回を求めたのは当然。他国領空内に自衛隊機が侵入して爆撃することも「排除しない」(岸防衛大臣)というように、「専守防衛」(防衛上の必要からも相手の基地を攻撃することなく、もっぱらわが国土およびその周辺において防衛を行うこと)投げ捨て、戦争放棄をうたい、海外での武力行使を禁止した憲法九条に真っ向から反する。
宮城一郎反対非核三原則に反する。

③軍事費を2倍に増額することについて

名前賛否理由
伊波洋一反対用途も示されず増額ありきで、財源の裏付けもない。軍事ありきの国づくりに浪費すべきではなく、少子高齢化対策や、子どもの貧困や教育・保育の無償化などに使うべきだ。
上里清美反対軍拡では他国との軍事緊張が高まり、沖縄を戦争に巻き込む危険が増すだけ。しかも「いずも」型護衛艦への搭載=空母化を狙ってF35Bステルス戦闘機の配備、「イージス・システム搭載艦」など米国兵器の爆買いで米軍の戦費肩代わりになりかねない。財源もあきらかではない。軍拡でなく憲法九条をいかした対話による平和外交をすすめるべき。軍事費増額ではなく、国民の福祉、教育等の増額を!
宮城一郎反対軍拡よりも国民生活の向上に予算を使うべき。憲法違反、専守防衛に反する。

「参院選候補者に「台湾有事」「防衛強化」の公開質問状を送り、回答を得ました。」への3件のフィードバック

  1. 伊波洋一さん、上里清美さん、宮城一郎さんのっさんの御三方がきちんと回答したことに感謝です。他の候補者が受取拒否、回答保留という拒否をした事に正体を見た感じがします。自民候補の皆さんは、台湾有事が叫ばれる事によって沖縄の未来に何が待ち受けているか思い至ることが出来ず、沖縄が戦争に巻き込まれても「マサカヒャー」「チケーネランサ」「ワカランタルムン」「アギジャビヨイ」とに安全圏から他人事のように眺めるのでしょうか。沖縄のことに寄り添っているような仮面の下の企みを見抜く時が今だと思います。

  2. 伊波さんと上里さんは、流石によく勉強していますね。僕は東京選挙区なのですが、誰に入れればいいのか? 皆目見当がつきません。護憲を基本に沖縄と琉球弧の問題に真摯に対応くれそうな人に投票しますが、帯に短し襷に長しで、投票直前まで悩みそうです。

奥平 等 へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

以下の注意事項をご確認の上、良識あるコメントにご協力ください

  • コメントをいただいてから掲載まで、お時間をいただくことがございます。
  • 各コメントに対して当会より個別の返信はおこないません。回答を必要とする当会へのお問合せは、お問合せフォームにてお受けいたします。
  • 当会の目的や参加者の交流促進に寄与しないと当会が判断したコメントは、掲載を見送らせていただく場合がございます。
  • 投稿コメントの公開を希望しない場合は、コメントの記入欄にその旨ご記載ください。また、お名前のみ公開を希望しない場合、お名前欄にペンネームをご記入ください。

*